第15話 猫路
片倉神社にお参りに行った帰り道、猫たちが列になりながら歩いているのを見た。面白いと思って後をついていった。
猫たちは迷いなく中央通りの端を歩いて行った。そして不意に横の道に入った。細い道だ。街燈が点々と灯っている。そうして町の奥へ奥へと進んでいった。それを追ううちに自分がどこにいるのかわからなくなっていく。と誰かに肩を叩かれた。後ろを振り向くと赤い外套を着た二十歳くらいの青年がいた。
「やめといたほうがいい」と青年は言った。
「どういうことです?」と問うと。
「あれは猫町に行く猫たちだ」
「猫町?」
「猫たちが暮らす一種の異界だよ。魔法使いでも行ったら戻ってこれるかわからない」
「そんな危ないのがこの町にあるんですか?」
「まあね。そもそもここが猫路だ。このままついて行ったら猫町に行ってしまう」そういわれて初めて背筋がぞっとした。そして自分が迷子になっているのに気付いた。
「私はいったいどうやってここに来たのだろうか」
「中央通までなら案内するよ」青年はそういうと歩き出した。とその時「なー」と鳴き声。見ると私が飼っている猫がいた。「おやおや、かわいいボディーガードがいたもんだ」そういうと青年は姿を消した。代わりに現れたレイはついてきてというように私の前を歩いて行った。私は妙に安心してレイについて行った。少し行くと自宅の前にたどり着いた。
私は肩から荷が下りたように安心した。レイは家の扉の前まで行き早く開けろというように猫パンチをしていた。
あのまま猫の行列について行ったら本当に猫町に行ったのか?
あの青年の後について言ったらどうなったのかは考えないことにした。
「君が守ってくれたのかな」レイを見ると「なー」とだけ言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます