第4話 猫探し

 飼い猫が帰ってこなくなってから2週間が経った。この町は猫をとても大切にしているので、餌に困ることはないと思うが心配だった。これを仕事先の先輩に相談すると「猫のことは猫に聞くのが一番だ」とって今日猫集会に行こうと提案された。先輩は猫の言葉がわかるのだろうか。この町ならそういうこともあり得る。

 片倉神社に向かう中央通りを横に外れ、路地裏にはいると私は方向感覚を失った。先輩の背中だけが頼りだ。先輩は迷い無くズンズンと進んでいく、そしてとある建築中の一軒家の前で止まった。

 「ここだよ」と先輩は言って前に出た。

 「お久しぶりです。ブルーアイズ」先輩はお辞儀した。しかしそこには人はなく、猫が十匹くらいいるだけだ。ここが猫の集会場なのだろう。でもなぜお辞儀などしたのだろうか。いぶしがっていると「久しぶりだ、わが友よ。今日はどういう話を持ってきたんだい?」と声がした。あたりを見渡すも姿は見えない。不思議に思っていると、一匹の灰色の猫が青い目を光らせながら近づいてきた。

 「君かな今日の依頼人は」と猫がしゃべった。びっくりすると先輩が「彼らは魔法猫だよ」と言った。

 「ふむ、飼い猫が帰ってこないのか」と灰色の猫が言った。またまたびっくりしていると。

 「通行許可書の管理記録を検索してくれ」と猫が続ける。すると別の猫の周りに青い透明な柱が現れた。何らかの魔法なのだろう。少しすると。

 「二週間前に三匹温泉に行くために許可書を発行しています」と魔法を使っていた猫が言った。

 「お嬢さん。君の猫の名前は何というのかな?」

 「ミケです。三毛猫で、赤い首輪をしています」

 「該当者ありました」と声。

 灰色の猫によると猫はたまに二週間くらい湯癒に出かけるのだそうだ。そこで疲れを落とし、力を付けるのだという。

 通行記録によればミケは今日この町に戻っているらしい、もうすぐ家に帰るだろうと灰色の猫は言った。

 私は猫たちにお礼を言って家に帰ろうとした。すると「送っていくよ」と魔法猫が言った。一瞬視界が暗くなると自宅の前に立っていた。先輩も横にいた。

 「君、彼らに気に入られたみたいだね」と先輩。

 「にゃー」と猫の鳴き声がした。見るとミケが玄関の前にするするとやってきた。開けろ、ということなのだろうか。私はミケを抱き上げた。ミケはどこかいい匂いがした。

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