第3話 きっとこのまま咲かないはず

そして11月の第2月曜日

運命の日だ

あいにくの雨

俺は朝起きて制服を着る

しっかりネクタイを閉めて顔を洗ってびしっと決める。

地下鉄に乗り、三ノ宮でJRに乗り換えて何時もの新快速に乗る。

列車番号は「クモハ 223-3037 V27編成」

俺はこれを恋編成と呼ぶ事にした。

車内を見るとその人は...居た!

俺はドキドキしてる

その人を見るだけで

予め考えたセリフが飛びそうだ

それに想いを伝えるということを考えると...あぁ!職業体験どころじゃねぇ!

そして新快速は芦屋の手前の分岐点で速度を落とす

なんでだろう...今日に限って時間進むの新快速並に速い気がする...。

俺は自分に言い聞かせる

「落ち着け...セリフは電車の中で気になってたんでこれ受け取って下さい...え?待て待て受け取ってじゃなくて...あぁ!もうどうにでもなったらええねん!」

となった。

そして電車は定位置に着く

ピンポーンパンポーンとドアが開く

その人が降りる

「よし...行こう!」

それと同時に俺も降りる

先頭車両の真ん中あたりで背中をトントンとしようとする。

しかし俺は1度その人の真後ろで止まる。

「行くんか?ホンマに行くんやな?」と心に聞く

「行くに決まっとるやろおおお!!!」と返す!

俺は勇気を持ってその人の背中をトントンとする。

その人は俺の方に振り返ってイヤホンを取る

地味に驚いている

「はい?」と聞く

声はかなり大人しそうな人の声だった

俺は話そうとしたがほんの少し行き詰まる

「行け!行くんだ!俺!」

俺はそう自分に言い聞かせたて「あ、あの...で、電車の中で気になってたんでこ、これ...よ、よかったら...」

俺はその人に手紙を渡す

その人は「はい」とすんなり手紙を受け取ってくれた

俺は「し、失礼します」と言って電車に戻った

そして俺が電車に戻るとすぐにドアが閉まり、芦屋駅を発車する。

俺は絶望感に浸っていた

なぜなら緊張し過ぎて声が裏返って裏返った声になったり、ちゃんと話せなかったからだ。

でも...手紙を受け取ってもらえたのは嬉しかったな

後は返事が来るのを待つのみ!

そう心に言い聞かせて職業体験に行く。


そして体験終了後

その企業の人からは8時45分に実習服に着替えが完了してたらいいよと言うことでその人の乗る新快速に乗れることになってしまった。

まぁ、いいか

俺は企業先のロッカーで携帯を見る

何も通知が来ていない

まぁ、当然だな

俺は期待に胸を膨らまして家に帰る。

相談していた人達にこの事を話した

すると「1週間、1ヵ月は待つことやね」という事だった

とりあえず1週間だな...


そして体験2日目

俺は迷っていた

その人が乗っているであろう新快速に乗るか乗らないかで。

しかし俺はその人が乗っているであろう新快速の1本前の新快速に乗った。

血迷ったのだ。


そして3日目

その日はその人が乗っているであろう新快速に乗った。

俺は車内に入る

その人は...居ない!?

あれ?あの人が乗っていないの滅多に見ないけどな...

まぁ、多分風邪引いて学校休んでるかもしれないからな!とプラスに考えて職業体験先に行く。


そして4日目

この日も乗っていなかった

そして芦屋に着いた

この日は人が多くて1度降りないと降りる人が降りれない程人が多かった。

そして俺は1度降りる

その時に俺はなぜかチラッと後ろの方の車両を見る。

すると...そ、その人が...居た

俺はその時、なぜか心に物凄い衝撃が走った気がした。

ショックだったのか良く分からないがぶちぃ!と響いた感じがした。

いや、でも1週間待たなきゃダメだ!と何度もそう開き直らせて体験先に行く。


そして5日目最終日

俺の乗る車両には乗っていなかった

そして芦屋に着く。

恐らく今あの人は降りただろうな

俺は外を見るのも嫌だった

それを見たくなかったから

そしてドアが閉まり、芦屋駅を発車する。

そのまま同じように体験先に行く。


土曜日日曜日と日は過ぎて行く


そして一区切りの月曜日

この日は神戸線が人身事故、架線トラブル、急病人、非常ボタン取り扱い、振替輸送していた阪神電車が人身事故など、京阪神のJR線が大幅に遅れるという珍事が起きた日でもあった

その人身事故が俺の乗る新快速の一本前の新快速だった

そのため、その人が乗ってるであろう新快速に乗れなかった

そしてそのまま学校を終えて尼崎の駅に着いたと同時に着いた新快速に乗る

16時05分発の播州赤穂行きだ

俺はこの電車に乗るのも嫌だった

その人が乗るかもしれないからだ

そうこう考えているうちに芦屋駅に入る

俺は極力横を見ないようにしていた

定位置に着く

そしてドアが開く

するとさっと新快速を待っていた列から何かが移動した

俺はそれを無意識に目で追いかける

なんと...その人だった

その人は俺の座ってる席の近くのドアから乗ろうとしたんだろうが、俺の顔を見た瞬間に後ろの列に並んだ

最悪だ

なんて最悪なんだ

そのまま新快速は発車する

三ノ宮、神戸と発車していく

そして西明石に着く

ドアが開く

すると俺は無意識に後ろを見る

この時なぜ後ろを見ようとしたのかは本当に分からない

その人と目が合う

その人はすぐに目を逸らして逃げるように新快速から降りる

はぁ...やってしまった

なんであんなことしたんだろう...

俺って本当にバカだ...

そう自分を殴るように後悔していると、気が付けば姫路に着いていた


そして用事を済ませて駅に戻る

...

なんだろうこの絶望感

もう...何もしたくないと思うくらい絶望していた

って待てよ...なんでたかが恋愛でこんなにムキになってるんだよ

無理なら無理で諦めたらいいって言ったんだろ?

なら諦めたらいいじゃないか

...クソっ!

何でだよ...何でだよっ!

何故か自分の中で諦めがつかなかった

何でか...?

それが分かったらここまで辛くなる必要は無いんだよ!

...はぁ

他の奴から見たら俺はバカなんだろうな

一方的に恋をして

振られて

その人には色々と迷惑かけて

でもまだ諦めたくない俺がいる

何なんだよ...何なんだよ!

...

そして...日は過ぎていく

毎日毎日、後悔していた

しかし、俺はまだ高校2年生だ

この学校生活を楽しんだら...きっと払拭できる

そう信じて学校生活を楽しもうと俺は決めた


俺はこの時何も気付かなかった

まさかあんな事が起こるなんて...







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灯る面影、夢で咲いたなら... 祇園四条 @ASR223

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