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それからたくさんの話をして、たくさん泉さんのことを知った。









意外にもお酒が飲めないこと








同じ著者が好きなこと








機械には専ら弱いこと









時間を忘れて話に夢中になっていた。









「俺の話はおしまい。

次は長谷川さんの話をしよう」










「何にも面白いことないですよ?」








それでも聞きたいんだ、と話を始めた泉さん。






なんでも答えますよ、なんていうと意地悪そうな顔して頬杖をついた。









「休みの日はなにしてるの?」







「ほとんどお家にいますね。たまに友達と食事したり‥」









「買い物とか行かないの?」










意外そうな顔してわたしを見る泉さんに、首を振って答えた。










「わたし決められなくて、行ってもなにも買わずに帰ってきちゃうんです」









迷って迷って迷ったあげく買わずに帰ることなんてざらにある。









「そうなんだ、面白いな」








「だから買い物とかは決めきれないから、人と行くんです」









''今日の服も、新調したんですよ''









そんなことを言いかけて、やめた。







まるで意識してるのを知らせてるみたいで、 恥ずかしくなった。








「その服は?素敵だな」










その瞬間、ふわりと優しく笑う泉さんがわたしと目が合って、そう言った。








亜梨沙の助言聞いておいてよかった‥!







心の中でそんなこと思いながら、うれしさでいっぱいになる。







たくさん悩んでよかった。

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それでも彼に恋をする @mnmy1306

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