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「ほんとにおいしいです、このパスタ」








「そう?よかった」






泉さんは、オフィスの最寄りの駅から二駅離れたところにあるお店に連れて行ってくれた。








ビルの中にあるそのお店はイタリア料理専門のお店で、頼んでくれたパスタとカプレーゼは今までで一番じゃないかと思うくらいおいしい。









「美味しそうに食べるね」








「いや、だってほんとにおいしいんですもん」








「そうやって美味しそうに食べるの好きだな」








不意に出た''好き''というワードに、胸が大きく高鳴った。






「あ、の‥恥ずかしいです」









「ごめんごめん」











綺麗な顔を見ていられなくて俯くと、バクバクと心臓が鳴ってるのが聞こえる。









「ほら、食べな?」







わたし自身のことを好きだと言ってくれたわけじゃないことなんて痛いくらいわかってるけど、どうしてかすごく喜んでる自分がいた。

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