急章

ぼくがさいごにであったのは、黒く大きなおとこのひとだった。目つきはわるいとても怖いひとだった。

「何の用だ?」

怖いおとこのひとは、ぼくをにらんできいてきた。

「そこでなにをしているの?」

「何って……暇なんだよ」

にらみつけてる目を空へとむける。

「俺は、社会の中でも邪魔ものでね、生きるためには誰かに迷惑かけることしかできないんだよ。みんな俺を嫌う。社会はみんな俺を憎んでる。だから、やることがないんだよ……」

「その迷惑をかけることって、ほかのひとにでもできるんじゃないの?」

「できるさ。俺みたいな惨めなヤツならな。もうこの町のことも知り尽くしちまった。」

怖いおとこのひとは、少しほほえんでいる。

「お前、迷子か?よかったら家まで送ってやるよ」


ぼくは怖いおとこのひとといえにかえった。ぼくは怖いおとこのひとにいえの場所を教えた。

「ここでいいか? ありがとな。俺の話を聞いてくれて。初めて誰かの役に立った気がするよ」

「こちらこそ、ありがとう。おくってくれて」

「元気でな」

怖いおとこのひとはほこらしげに笑ってどこかへと行ってしまった。

ぼくは外からかれんちゃんをみる。だけど、もうそこにはぼくのかわりがいた。ひとまわり大きいぼくに似ただれかがかれんちゃんのとなりにすわっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぼくは… カガリ ナガマサ @Kagari_Nagamasa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る