第四章
4-00『プロローグ/そして少女の思うコト』
――わたしは、たぶん、ワガママなのだ。
あれも欲しくて、これも欲しい。そりゃあ順位はあるけれど、一番があればほかはいいとか、二番以下さえ揃っていれば、一番に欲しいものを諦められるとか。
そういう妥協ができるほど、どうも大人になりきれない。
でも、仕方がないと思う。
知ってしまった以上はもう、知らなかった頃には戻れない。ひとたびプラスになったのなら、そのあとゼロに戻したところで、もう計算はマイナスだから。
手を伸ばすと決めている。
足を踏み出すと決意した。
だったらもう、わたしは欲しいものを妥協しない。
何かを諦めて最低保証をつけるより、欲深に振る舞って全てを失うほうが、まだしもマシだと思っている。
……なんて。本当は、そこまで達観できてはいない。
手に入らなかったくらいで諦められるなら、とっくに見切りをつけているはず。
結局、これはわたしが子どもなだけ。
現実が理想の妥協なら、どこまでも理想ばかりを追い求めているわたしは、ほら、夢見がちなオトメとか……そういうアレ。
だけど、もう、わたしは知ってしまったから。
諦めないと決めてしまった。そうして足掻いている自分は、これまで立ち止まっていた自分よりも、少しだけましなように思う。だったら、それで充分だ。
そう。たぶんこれは、それが手に入るかどうかという問題ではないのだと思う。
もちろん欲しいものは欲しい。それを諦めてやったりしない。
だけど、たとえ手に入らないと知っていても、求めることだけはわたしはやめない。
だってほら、自分の人生の主役は、ほかでもない自分なのだと言うわけだし。
それならわたしの物語は、なるべくなら面白いほうがいいと思う。うん、当たり前だ。
ひとりでは進めなかった道でも、見ていてくれる、いっしょにいてくれる人がいるなら歩き出せる。
遠く、ただ輝きだけしか見えない星にだって、手を伸ばし続けていられる。
ハッピーエンドを信じているわけじゃない。
誰かが涙を見せることだってあるんだろう。
だとしても、ここで全部を閉じてしまうことだけは、きっと違うと思うから。
だから、わたしは傷つくことが怖いし、誰かを傷つけてしまうことなんてもっと嫌だけど――。
仮にそうなるとわかっていても、求め続けると決めている。
――それだけは、決して誰にも譲れない、きっと、わたしだけの誓いなのだから。
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