S-03『プレプロローグ/春の朝のふたり』

「ふと、思ったんだけどさ」


 朝見た夢も忘れた頃。

 朝食の途中、俺は正面のかなえにそう切り出した。

 いちごジャムのビンとマーガリンを難しそうな表情で睨みつけていた叶は、こちらに顔を向けることもなく「何?」と言う。


「いや。さすがに、仕切るものくらい普通にあってもいいんじゃないかと思うわけよ」

「え……何? どういうこと?」叶が顔を上げ、きょとんと首を傾げる。「うん? トーストにジャムとマーガリンを両方塗る方法の話? 間をハチミツで仕切るとか?」

「なんの話してんのかわかんねえよ。違えよ」

「それはさすがにエネルギー摂りすぎかなと思うわけなんだけど」

「だからそんな話はしていない」


 首を振る俺。そりゃ確かにこいつにとっては重要な選択肢なのかもしれないが。

 朝食のトーストにジャムを塗るかマーガリンで行くかという方針でここまで悩めるのは叶のいいところだと俺も思うけれど。人生を楽しみすぎるあまり、楽しんでいる最中の叶は微妙にぽんこつっぽくなるような気がしてならない。

 ちなみに俺は基本的にマーガリン一択だ。甘すぎるものがあまり好みではなかったりする。ファミレスとかにある、あの強制的にマーガリンとジャムをドッキングさせようとしてくる系の使い捨てパックに、強烈な敵愾心を抱いていると言っていいだろう。

 ……いや、ジャムも好きなんだけどね? こう、なんだろう。いっしょに使うことを前提とされていると、ちょっと逆らってみたくなる的な反骨心が出てくるというか。どうにかあの押し潰すタイプのジャムマーガリンから、マーガリン成分だけ抽出できないかということに思考が向いてしまうというか。


 なんていうか、ひとりで時間を潰すことが俺はあまり嫌いではないのだ。

 夜中、電球から下がる紐でシャドーボクシングをするとか、電車や自動車で移動するときに窓の外で棒人間を走らせるとか。こういうの、誰もが通る道だと思うけれど。

 俺は未だに卒業できないない。中学時代、あまりに暇な休み時間を潰すために、ノートを取り出して《1、2、3……》とただただ数字を書き込んでいった記憶がある。10000の大台を達成したときの感動と達成感、それと相反するかのようなある種の倦怠と虚無感。時間と資源を盛大に無駄にしたことに対する、浪費への後悔と背徳的な快楽――あれはいいものだ。

 だって友達とかいなかったからね。ひとりしか。ソロ暇プレイも上手くなるというものだ。


 そこまで考えてから、俺は首を横に振った。


「――いや、だから。そんな話はどうでもいいんだ」

「急に黙り込んだと思ったら、なんで二回も言ったのさ……」


 俺の脳内など知る由もない叶だから、怪訝な表情をされてしまう。

 それもそうだ。馬鹿なことを考えていないで、話の軌道修正をしよう。


「俺とお前の部屋の間の、仕切りの話だよ。さすがに、完全シースルーってのもどうかと思ってさ」

「ツッコミどころが多いことを言うなあ、また」

 ジャムのビンをことりと卓袱台に置いて、呆れた表情を見せる叶。俺は肩を竦めて、

「そんなに妙なこと言ったつもりないんだけどな」

「壁、壊した張本人が言う? あれ作り直すの、結構大変だったんだけど」

「まあ、それに関しちゃ返せる言葉もないんだけど」

「んじゃ、なんで今さら?」

「……トースト冷めるぞ」

「…………」


 叶はこちらにひと睨み利かせながらも、トーストにジャムを塗り始めた。

 それが終わるのを見計らってから、俺は再び口を開く。食べるためではなく話すために。


「気まずくない? 誤解を恐れず言うけど、主に着替えのときとか」

「……はあ」叶は盛大な溜息をついた。「それが今さらだって言うんだけどな」

「あー……気に障ったか?」

「別に。でもそれさ、わたしだって完全に気にならないって言ったら嘘になるわけじゃん? そりゃね。そりゃそうだよ。だけど、だから言葉にしてなかったんだけど」

「言い出さないことの理由が遠慮なら悪いとは思うけど。お前の場合は対抗心だろ?」


 かつて、叶はあえて俺に見せつけるように着替えをすることがあった。この奇妙な共同生活が始まった辺りのことだ。

 隠していない、というレベルではない。割と明白に、こいつは俺がいるときに着替えを行うとか、むしろ着替えないで下着姿のままいるとか、そういうことが多かったわけだ。

 警戒しているからこそあえて挑発的な態度に出る辺りが実に叶って感じだが、ともあれ。さすがに今はそんなこともなくなって、お互い言葉にはしないまでも気を遣い合っている。

 どっちかが着替えているときは、なんとなく別のほうを向いていたり、洗面所に避難してみたりといった感じだ。叶が下着姿で過ごすこともあまりなくなった(ゼロではない)。


「それに、遠慮してんならなおさら改善するべきだし、そうじゃないなら逆らう理由もない。違うか?」

「……だからってどうすんの? やっぱり壁を戻しますって話に向くなら笑うけど」

「そうまでしなくてもさ。普通に、視界を遮るものくらいはあっていいと思うんだよ、俺は」

「んー……まあ、それはでも、そっか。言われてみたら当たり前な気がしてきた」


 さくっ、とひと口、トーストを齧る叶。

 もしゃもしゃと咀嚼し始めたのを正面に見ながら、俺も食事を再開する。

 しばらくしてから叶が言った。


「にしても、どうするの?」

「まあ、なんかカーテンとかさ。そういう感じのものを設置できれば悪くないと思うわけ」


 コーヒーを啜る。

 さなかや勝司まさしと買い物に行った際の戦利品で、今は俺と叶の共有財産としてほぼ毎日の活躍を見せている。ただ舌が慣れてきたせいか、もう腕が上達してんだかしてないんだかはよくわからなくなってきていた。

 未だに、やっぱり彰吾しょうごさんが作るコーヒーのほうが美味いとは思うし。何が違うというのやら、だ。


「ああ、なる……そういうこと。考えてみれば、壁じゃなくても別に視界は塞げるわけか」

「主役理論とか脇役哲学とか、そういうの抜きにしたって、ひとりの時間は必要だろ? なんでもいいけど、布とか掛けておくくらいは悪くない……っていうか必須だと思ったわけ」


 正直な話、叶の艶姿(という表現もアレだが)を見せつけられ続けるのも、こう、精神衛生上あまりよくないと思うし。別に意識なんてしていないけれど。していないけれど。

 こういうのは形の上でも重要だろう。

 もともとお互い、独り暮らしを前提としてここに住んでいるのだから。状況が変わった以上は柔軟に対応していきたいところだ。それは、ただありのままを受け入れるのとは違う。


「日々の生活をよくできることなら、柔軟かつ積極的に取り入れていかないとな」

「いいこと言う。未那も脇役哲学のなんたるかがわかってきたんじゃない?」

「それはわからないままでいい。別に」

「あっそ。つれないね?」

「……まあ、お前だってひとりでいろいろやりたいこともあるだろ? 俺の目があるっていうことが、お前の《やりたいこと》の邪魔になってはほしくない。そんだけだよ」

「へえ。意外と考えてくれてんだ? それ何、ツンデレ?」

「やかましい。別にお前のためだけじゃねえっつの」


 ニヤリと厭らしい笑みを見せる叶に、ちょっとイラっときたので顔を背ける。再びカップを口に運んだ。

 そんな視界の端で、叶もまたコーヒーに手をつけていた。

 それをひと口だけ味わい、それから彼女はちょっとだけ顎を上げて、やはり妙に苛立たしい微笑でもってこちらを見つめて言った。


「ああ……ふぅん。そっか、なるほどねえ?」

「……なんだよ、その厭らしい顔は」

「いやいや。ごめんね? 確かに配慮が足りなかったよね。うん、そりゃそうだ。未那だってひとりの時間は欲しいよねえ? ごめんね、気が利かなくて」

 鬼の首を取ったよう、とでも言おうか。弱みを見つけたような、それでいてやけに慈愛が込められているような。そんな微妙な表情で叶はこちらを見据えていた。

 正直、意味がわからない。そりゃ確かに俺だって、ひとりの時間は欲しいけれど。

「何を笑ってんだ、お前?」

「いやー、別にー? ただほら、……ねえ? 未那だってはあるわけだしね?」

「はあ……?」

に勤しみたいときもあるでしょうってこと」

「……あー。そういうことか、お前……」

「いや、ちゃんと理解くらいはあるよ? 男子ってそうだよね。うんうん」


 なんでこんなに上から来るのかはいまいちわからないが、ともあれ言いたいことは察した。

 まあ、なあ。

 風呂場とかでやっちゃうよね。

 こう、鏡の前でかめ○め波のポーズを取ってみたり。

 あと意味もなく座禅を組んでみたり。あるいは読書に熱中しすぎて台詞を言っちゃったりとか。虚空に向かって「見ているな」とか呟いてみたり。あるあるだと思う。

 でもまあ、方向性は違うにしろ、誰だってそれくらいはやるのではないだろうか。特に脇役哲学を掲げる叶なんかは、むしろこういった独り遊びに詳しそうなものだが。

 ていうかやっぱり、さっき考えていたことを読まれていたのだろうか。


「――まあでも、確かにな。ひとりで時間潰そうと思うと、どうしてもやっちゃうよな」


 だから俺は答えた。ごく普通に。

 けれど――なぜだろう。

 叶の反応が、なんか妙におかしい気がする。


「うぇ!? ――ぶっ、けほっ!?」


 思わずといった感じで噎せる叶。飲みかけのコーヒーを吐く寸前だった。

 何やってんだ、こいつ。思わずジト目になってしまう俺。


「……何そのリアクション?」

「え。いや、だってまさか掘り下げてくるとは……やるわね」


 ――ですがいいでしょう、その喧嘩、買いましょう。

 そんな目の叶である。もうわけがわからない。そんな俺をよそに叶は続ける。


「うん。えっと――ていうか今なんかすごいこと言わなかった? 暇潰しって言った?」

「まあ暇じゃなきゃやらないし、さすがに」

「……えぁー。まあ、それは、えー……そう、なの……か? いやよく言えるね!?」

「うん? ああ……なるほどな」そこでようやく、俺は話の食い違いに気づく。「確かに、他人に見られるとちょっと恥ずかしいかもな?」

「ちょっと!? ちょっとなの!? ちょっとで済むものなの!?」


 ということは、叶はあまり他人には見られたくないということだろうか。

 まあ、気持ちはわからないでもない。俺は言った。


「まあこの歳になるとやってる奴も少ないだろうからな、そういうこと」

「うん? どうした? どうした未那?」

「お前がどうした。いや、小学生くらいならだいたいみんなやるじゃん?」

「やらねえよ!?」

「あー……えぇ?」

「え、何? 逆に何、未那は小学生の頃から、その……そういう感じだったん、です、か?」

「なぜ敬語?」

「いいいいから答えてほらハリー! ……わたし何訊いてんだ!?」

「知らねえけど……そう訊かれると、どうだろう。厳密な最初ってわかんなくない? 気づいたらやってるみたいな感じだし。そうだな、いちばん最初は赤ん坊の頃なんじゃない?」

「どぅおぇあ!?」

「まあ、子どもの頃は言っても意識してはやってない感じだけどさ」

「え、え、え、え、え? え? ごめん、わたしぜんぜんわかんない……」

「逆パターンもあるのかもな。その辺は人によるか」

「よるかな……まあ、よるかな……いやわかんないけど……」


 しきりに首を傾げる叶。なんだか納得していないご様子だ。

 ふむ。ただ考えてもみれば、叶はこれまで俺と違って、友人は多いタイプの人間だったわけだ。暇を潰すのにひとりでどうでもいいことをするというソロプレイは、基本的にぼっちタイプの人間の考え方だという気がする。

 それに、この手のことは『なんでそんなことしてるの?』とか『楽しいの?』とか訊かれても困るわけだし。理由などないし、やっていることが楽しいのではなく俺が楽しんでいるだけだ、という理屈はあまり共感を得られない。

 思い返せば中学時代、ノートにびっしり記された数字の羅列をクラスメイトの女子に見られてドン引きされた記憶もあった。他人には見られたくないという気持ちもわからなくはない。


「まあ、そうだな。確かにあんまり他人には見られたくないタイプのもんか、これは」

「普通はそうだと思うな、わたし!」

 顔を真っ赤にして同意してくる叶だった。そんなに恥ずかしがらなくてもいいと思うが。

 仕方ない。ここは人生ソロプレイヤーの先達として、アドバイスくらいはしてやろう。

「あんま気にすんなよ。意外とみんなやってるもんだって」

「それは……そう、かもしれないけど……っ! でも見られたら困らない? 困るよね? てか困るってレベルじゃないよね!? あれこれわたしがおかしいのか!?」

「相手によるだろ」

「えぁー……え、そう、かあ……?」

「たとえば俺、少なくともお前ならいいけど」

「――ブフォアッ!?」


 叶が噴き出した。もう口には何も入っていないのに。なんか無が零れた。


「ちょ、ちょ、待って、待――いや、え、そんなこと言われても困るっての……!」

「お前だってやるだろ?」

「ハァ――――――――――――――――――――――――ッ!?」


 なんだそのリアクション。

 面白えなコイツ。


「や、や、や――やってねえし! なんだし! おまっ、それっ! それはさすがに、ちょ、やっ、だ、ダメだろ!? いくらなんでもそれは反則でしょーに!?」

「何が?」


 と、俺は首を傾げつつも。

 ……いやまあ。

 もう、確実に話が食い違ってんだろうな、ってことはさすがにわかっていた。でなきゃここまで大仰なリアクションはするまい。

 いったい叶が何と勘違いしてるのかについては正直わからないが、ともあれ何か違うことについて話していることには気づいている。さすがに。


 ただ面白いから放置してるだけで。


 これで、意外と。からかうと叶は面白い。

 外じゃ絶対に見せない表情だろう。

 そういう面を見られることは、割と悪くない気分だ。正直、顔を赤くして狼狽える叶は、素直にかわいらしいと思う。

 もちろん絶対に言わないけれど。

 代わりに言う。


「ははは。そんなに焦るなよ。恥ずかしいことじゃないだろう」

「な、もっ……ばっ、ちょ!?」

「ていうか、お前がやってるときの音、ときどき俺まで聞こえてき――」

「みぎゃ――――ッ!!」

「痛――ってえっ!?」


 叶が俺に向かって放り投げたクッションが顔面に直撃し、思わず後ろに倒れそうになる。

 言うほど痛くはないのだが、なにせ突然だったため驚いてしまう。からかいすぎたか。

 とは思いつつも、素直に謝るのは癪なので言わない。ていうか、やっぱりいったい何を勘違いしてるのかが意味不明すぎる。


「てめ、何す――」

「ううううううううううう嘘つけえっ!! そ、そんっ、そんなことあり得るかあッ!!」

 もう必死の友利さんであった。

 ちょっと涙目だ。

「いや、でも実際に」

「いつ! どこでだあっ!! 言え、吐けっ!! その勘違いを正してやるぅ!!」

「まあ、たとえば昨日とか」

「昨日ぅ!?」

「夜、ちょっと目が覚めたときに」

「なんっ、いや、んな、だって何も――」

「――お前、ほら、本読んでたろ」

「いや読んでたけど! でもそれただの小説――」

「いやだから。――その小説の台詞、お前、自分で口に出してたじゃん?」

「それはだからっ! それは――……は?」

「声小っちゃかったけど。あれ、聞こえてたぜ?」

「……なんの話?」

「ひとりで暇を潰すときの話」

「――――――――――――――――………………………………………………」


 叶は、ふと真顔に戻って。

 とても長い。

 それこそ時間を忘れかねないような。

 そんな沈黙を経てから。

 小さく、蚊の鳴くよりか細い、今にも消え入りそうな声で。

 耳まで真っ赤な顔を下に向けて。

 ――言った。


「……くっしょん」

「は?」

「かえして」

「……まあいいけど。ほら」


 なんでか片言の叶に、投げつけられたクッションを投げ返す。

 叶はそれを受け取るなり、静かに卓袱台から離れ、自分の部屋のほうへと戻った。

 俺はそれを黙ったまま見つめていた。

 叶は、そのまま部屋の真ん中まで行くと、顔をクッションに埋め、そのままくずおれるように膝を突くと。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 言葉にならない慟哭を、クッションに向けて吐き出すのだった。

 まあ、勘違いには気づいたということなのだろう。向こうは。

 あんなリアクションになるなんて、いったいどんな勘違いをしていたというのか。ていうかどこに話を勘違いする余地があったというのか。

 わからかなった。

 ので、訊いてみることにする。


「……叶?」

「何? ……割と今、わたし自己嫌悪で死にそうだから、言うなら手短に」

 クッションに顔を埋めたままのくぐもった声。

 割と本気でダメージを受けている様子だ。

「今、話を勘違いしてたんだよな?」

「わたしに言わせりゃ勘違いしてんのはそっちだけど……もういい。なんでもいい。何?」

「いや。結局、いったい何と勘違いし」

「――訊くな」


 顔を上げて叶は言った。

 食い気味だった。


「その、話は、二度と、するな。忘れろ」

「……わかった。いや正直わからないが、わかった。オーケー。今のは不幸な事故だった。忘れよう。それでいいな?」

「…………それでいい」


 床にへたり込んだまま、クッションを抱きかかえてこちらを睨む叶。

 顔は真っ赤だし、目には涙が滲んでいるし、と。

 いくら天敵とはいえ、ここに追い打ちをかけるのは俺としても気が引ける。


「メシ食おうぜ」と俺は言う。「せっかくの朝食が冷めちまう」

「……作ったのわたしなんですけど」

「だから、出来がいいことは自分で知ってんだろ。もったいないぜ?」

「今ちょっと、未那の顔、あんま、見たくない」

「忘れろって話だと思ってたけど……じゃあ、どうすんだ? 今日の散歩やめにする?」

「……いや」


 ふるふると、叶は小さく首を振って。

 それから立ち上がり、とことこ元の場所に戻ってくる。

 その頃にはもう、普段の叶に戻っていた。


「それは行く。今回はもうわたしの負けでいいけど。リベンジは、する」

「何に勝ったかわかんねーけど」

「忘れろって言った」

「わーってるよ。もう言わねえって」

「……うな――っ!!」


 叫ぶ叶。彼女はこちらを睨みつけると、宣言するようにこう言った。


「――この恨み、いつか必ず晴らすからな……っ!」

「俺が悪かったのか……?」

「わたしが悪いしわたしの自爆だけど! 気づかれなくて助かったくらいだけど! 八つ当たりくらいされろ、バーカ!」

「……面倒臭え奴だよ、本当に」


 俺は軽く肩を竦めて再び食事を再開した。

 叶もそれに続く。さきほどの会話はなかったことになったらしい。


 ――さて。

 今日も、楽しい一日にできそうだ。

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