第10話
北九州市のアトラクション施設。宇宙船を模したモニュメントの下で、ゆかりとミナコが会う。
「計画は成功、といった所かしら」
ゆかりが先に口を開く。
「何故、こんなことを?」
ミナコが尋ねる。飛翔体襲来の犯人がゆかり達、と決めてかかってのことであったが。
「さあね。まあ、皆に『認識より次元が高い世界』に生きていると、認識させるためかしら?」
ゆかりもそれを否定しない。
「おかげで世界はめちゃくちゃです」
「その方が、あなた達にとって都合がいいでしょう? 『世界』を選択させるのに」
「……それを、何故知っているの?」
そのことについてはクロスフィア研究所内でも最高秘密、所長であるミナコはじめ数名しか知らないはずである。
「こんなことをしている私が、知らないとでも?」
はっ、と、ミナコは気付く。
「もしかして、あなたは──」
「さあね。調べれば、判るかもしれないけど」
ゆかりはミナコの言葉を遮る。否定もせず、認めもせず。
「では、これにて」
ゆかりは微笑み、その場を去る。一人残るミナコ。
「向こうに構ってばかりも、いかないようね」
ミナコは突然、指を鳴らす。すると一人の女性がすっ、と現れる。
「あの子について調べて。なるべくなら、向こうに気付かれないように」
「了解」
そしてまた、ミナコは一人になる。
終わり
これはまるで、SFの世界に迷い込んだかのようですね。 愛知川香良洲/えちから @echigawakarasu
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