第14話・果たすために。
陽side。
「おはよう苺華くん!」
リビングに降りると、ももが笑顔で挨拶してくれた。
日本一のモデルの笑顔は、やっぱり違うな。
昨日の夜に、下の名前で呼び合うルールが出来た。
まあ、俺が強引に決めたけどな。
何人かは嫌そうだったけど、なんだかんだ言って、皆下の名前で呼びあってる。
まあ、1人をはぶいてだけど。
華恋は、人の名前を覚えられないらしく、俺らの名前を覚えるまで、あだ名で呼ぶらしい。
「おはよ。あれ?華恋とルキは?」
ソファーで本を、読んでいる凛に訪ねた。
リビングには、ももと凛と歩輝しか居なかった。
まだ寝てるのかな?
いや、ルキに限ってそれは有り得ないか。
「生徒会の仕事なんだって」
「え…華恋って生徒会なの!」
凛の言葉に驚いて、思わず大きい声を、出してしまった。
それに歩輝が、舌打ちしたのは聞いてないふりを、しておこう。
だって怖いもん!☆
「へぇ。それにしても意外だな!」
別に失礼な意味で、驚いたわけではない。
あの華恋が、人と絶対に関わる生徒会に、入るタイプではないと思っていた。
うちの学校の生徒会は、特集で卒業まで変わらない。
華恋が一年の時から、生徒会やっていたなんてな。
意外だな〜。
ん?まてよ。
華恋ってたしかC組だったはず。
C組って…生徒会入れたっけ?
「C組って生徒会に入れないよね?」
凛も引っかかっていたのか、読んでいた本を閉じて、テーブルに伏せている歩輝をみた。
俺とももも釣られて歩輝をみる。
「……アイツは元々C組にくる奴じゃねーよ」
それだけ言って反対側の方に顔を向けた。
「え。じゃどうして?」
ももが、歩輝に尋ねるが、歩輝はそれに答えることは、無かった。
「そういえば今日テストだね!」
この空気に耐えられず話題を変えた。
「そう言えばそうだ」
「私やばいよ!」
「とかいいながらいつも良い点ばかりじゃん」
「え〜本当にやばいんだって!」
幼馴染って本当仲いいな。
楽しそうに、話しているももと凛を、みてふと思った。
華恋と歩輝も幼馴染みらしいが、あんな風に、会話するのだろうか。
華恋を、思い浮かべて笑わせてみるが、怪しく笑う華恋しか浮かばない。
身震いをして頭を振った。
こっわ!華恋こわ!
本人に大分失礼だな俺。
自分に苦笑いを浮かべた。
「……俺受けねーわ」
低い声で言ったのはもちろん歩輝だ。
「え。一人でサボるの?」
ももがそう尋ねると
「……さーな」
一瞬切ない顔を、浮かべたと思えばいつもの不機嫌顔に戻った。
ずっと思ってたけど、あの2人には誰も、触れてはいけない何かがある気がする。
だからみんなそれ以上触れない。
俺も触れない。
歩輝は特に何も感じないけど、華恋からはすごく感じる。
"私と関わらないで"オーラが凄い出てる。
まぁ。俺にはそんなの関係ないけどね☆
それに俺にはやる事がある。
キミと交わした"約束"を果たすために。
「…その為に俺は此処にいるから」
誰にも聞こえないように呟いた。
秘密のシェアハウス。 喜多来礼 @kitakore
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