Twitterでくっころについて呟きが通報されたので凍結されました!!(題名の「殺」が引っかかった模様)
───思わぬ邪魔が入った。
配下へと命じる。
「さあ。そやつも殺せ」
死者たちが包囲網を狭めている。女たちに逃げる隙間などない。いかに敏捷な草小人と言えども逃げきれぬ。必殺の包囲網が完成し、一斉に武器が振り上げられた。
◇
吟遊詩人たちに刃が振り下ろされる。
まさしくその瞬間、奇怪なことが起こった。
まず、床の1点が揺らめいた。いや、天上近くで灯ったままの
次いで、光の反射は広がった。まるで鏡面のようなそれは、生者たちを包囲していた闇の軍勢の足元、直径二十五メートルもの大きさとなると、その役目を果たし始めたのである。
広がった鏡面の上にいた者たちが呑み込まれた。まるで水没していくかのようにほとんどの死者が消えるのと同時。
鏡面より飛び出して来た者がいた。
彼女は宙に飛びあがると、自然の法則そのままに床へと落下。両の足が地面に付く以前に、鏡面は消滅していた。
フードとヴェールで顔を隠し、剣を帯び、褐色の肌と豊かな肉体を備えた彼女は女賢者。仲間たちの救援へと駆けつけたのである。
背後で負傷した仲間たちを一瞥すると、女賢者は無言のまま抜刀。
◇
強烈な一撃が、振り下ろされた。
敵手たる女はやはり高位の
それは、
彼はそうした。
裂帛の気合と共に叩きつけた
―――こうなっては止むを得まい。
杖を投げ捨てた
彼は、ランプを力強くこすった。
◇
「くっ……!」
「―――む、無理だって!」
起き上がろうとする女人馬を押しとどめながら、吟遊詩人は叫んだ。彼女を引っ張って物陰に隠れたいところだが、
症状悪化を避けるため、女人馬を仮死状態にする術に取り掛かった吟遊詩人。
その手を、女人馬は掴んで止めた。
「……駄目……だ。助け…あちらを……」
「あれに割って入れって?無理無理!死んじゃうって!」
「…どうせ、助からん……」
言われて、吟遊詩人は息を飲んだ。確かにそうだ。女人馬の傷は奇跡でも起きぬ限り、確実な死という結果に収束するであろう。
助かる手段はない。
「…ら……力を貸せ……」
熱に浮かされたような言葉。それをただ、吟遊詩人は頷き返すより他なかった。
「……頼む」
項垂れた女人馬。彼女の願いに応えるべく、吟遊詩人は刃を構えた。
◇
女賢者は、背後へと飛び下がった。敵へと踏み込めなかったからである。
それが、彼女を救った。
かたかた、とゆれたそれは、先端の口から煙を吹きだし始めた。いや、煙?
それは砂であった。恐ろしく細かい粒が噴出し、ランプを中心として渦巻き、そして。
爆発した。
まるで嵐のような奔流の中、それは集まり、形を成していく。
哄笑が響き渡った。しわがれた声。
それは、影だった。人型に立ちはだかる砂嵐。そこに投影された、顔のない影。
広大な玄室内の天井につっかえそうなそいつの身長は、10メートル近くもある。
「―――さあ!そやつらを殺せ!!そして、我が望みを成就させるのだ!!」
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