荒野というとモヒカンを連想する私は世紀末に毒されている(救世主の代わりにデュラハン)
砂漠と一口に言っても様々である。砂で覆われた砂漠、というのは少数派であり、実査には荒れ果てた荒野というパターンが極めて多い。そして、荒野にも様々な種類があった。一般に遊牧民が暮らす地域は砂漠、というよりは草原である。寒暖差が激しくわずかな雨のみが降るステップ地帯なのだ。砂漠と草原の中間と言ってもよかろう。
砂漠の遊牧民の勢力は大きい。人間や
今。この領域へと足を踏み入れる一隊があった。
◇
―――はてさて。どうなることやら。
女賢者は、周囲を見回しながら思った。夜の行軍が終わりに差し掛かろうとしている。羊の群れが幾つも固まって眠っており、その近くには羊毛のフェルトで作られた大きなテントが見受けられる。内側に骨格を織り込んだ円筒形の構造である。天井は煙を逃がすためであろう構造もあった。遊牧民の
遊牧民は通常1家族が1つの
一行は、それらの合間を抜けながら進む。やがて見えたのは、ひときわ大きなテント。
先頭の女人馬は、停止を命じた。
馬より降りた男たちが散っていく中、女人馬は
「父上。帰参致しました」
そう告げて先行した女人馬に続き、女賢者も物珍しそうに
果たして。待ち構えていたのは、髭を蓄えた身なりの良い、人間族の男。温和そうだが、状況からすれば彼が族長なのだろう。
「うん。よくぞ戻った。勤めを果たしたようだな」
「はい。裏切り者を斃し、ランプを奪還いたしました」
「よろしい。
それで、そちらの御仁は?」
女賢者は会釈。
問われた女人馬も頷くと、口を開いた。
「実は道中、色々ありまして。話すと少々長くなります」
「分かった。腰を下ろし、ゆっくりと聞かせてもらおう」
一同がストーブを囲んで座ると、女人馬は事の顛末を語り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます