いちばん恐ろしいモンスターは人間(人間?)
―――なんということだ!
村の中。もはや最後の一人となった
逃げるしかない。されど、最低限あの
だから彼は数歩後退すると、川へ身を投げた。全身を水に浸し、体中を覆い尽くす毛に水分を含ませたのである。
さらに起き上がった彼は神に祈った。暗黒神より引き出した加護は、
そこへ飛来する矢。炎の魔力を宿したそれは、勢いを弱めた。互角の魔法がぶつかり合えば、結果を定めるのはこの世の理である。だからじゅっ、という音だけを残し、それはただの矢として命中した。
もちろん、少年でも引けるような弱弓が巨人に致命傷を負わせられるはずもない。攻撃は、浅い傷を与えるのみに終わった。
敵の攻撃を防いだ
◇
敵が炎への防御を固めたのは、姫騎士らにも見えていた。
それはすなわち
だから、姫騎士は前に出た。突っ込んで来る敵の巨体を迎え撃つべく、棍棒を手にして走ったのである。
対する敵は、途中の家屋の前で足を止めた。支柱となっている骨を引っこ抜くと、呪句を唱え、印を切り始める。
そこへ、姫騎士の棍が振り下ろされる。
両者の武器は真正面から激突。力は互角。されど質量で圧倒的に劣る姫騎士は押し負けた。
宙を舞う、首のない女体。
とどめを刺そうと、
大地に転がった姫騎士が、それでも攻撃を受けようと棍を突き出したその時。
朗々たる呪句が響き渡った。
少年の声。
敵の攻撃が振り下ろされる、その瞬間。魔法が完成した。
姫騎士の背後から迸った強烈な
―――GGGYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?
目を押さえ、後ずさる
姫騎士は踏み込み、強烈な一撃を加えた。敵の膝頭へと棍を振り下ろしたのだ。
跪く
それがトドメとなった。
最後の
◇
敵の全滅を確認した少年は、姫騎士へと駆け寄った。体ごと振り返って来た相手の胸へと飛び込む。
「……もうだめかと思った」
姫騎士はただ、優しく少年の頭をなでた。
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