昔ソ連軍を魔法でファンタジー世界に召喚するネタがあったんだけど何か思い出せない(教えてください)
彼女は考える。
永劫の刻。幽閉の最中も、己は眠っていたわけではない。自分の置かれた状況を把握しようと努めて来た。そして星霊ども。星神の事も観察してきた。この異質な世界についても理解を深めて来た。地表の小さな生き物どもの営みも見た。なんという原始的な!!
しかし。恐ろしい。彼らは着々と発展し、文明を進歩させている。今は脆弱だ。だが、いずれ彼らも天翔る戦船や万物の根源すら砕く火矢、そして何よりも忌々しい
そうなる前に、彼らを滅ぼさねばなるまい。だがまずは神々。この世界で最も強大な力を持つ存在を、抹殺せねば。
我が種族のために。
◇
たった一人の女騎士に甚大な被害を与えられ、混乱する闇の軍勢。
その中央に位置する船。軍勢を指揮する
あれはなんだ。水の上に立っている。いや、何かに乗っているのか。矢が効かぬ。一撃で軍船を沈めるとはなんたる剛力!化け物め。
彼は盾と戦斧を手に取った。恐らく敵は魔法の産物であろう。逃げることはできぬ。逃げようとすれば追いつかれ、船を両断されるに違いない。
だから、真正面から向かう。飛びかかって来たところをこの斧で一撃してくれよう。
「奴に向けて進め!迎え撃つ!!」
◇
響き渡る角笛の音に従い、戦船どもが散開していく。いや、中央の一隻がこちらに舳先を向けた。面白い。迎え撃つ気か。受けて立ってやる。
女騎士は笑みを浮かべると、骨怪魚を操る死霊術師へと望む進路を伝えた。
◇
奴が迫ってくる。あと少し。
敵がはっきりと見えて来た。女だ。首のない女。奇怪な甲冑を身に着け、骨で出来た魚に跪いている。
もう少し。まだ早い。今だ!
女騎士が骨怪魚から跳躍する。彼女が振り下ろす刃を盾でいなし、そして
斧を振り下ろす。確かな手ごたえ。水中に飛び込む。
砕けた怪魚。もはや奴の足場にはなるまい。後方では手下どもが我先に、船から水へ飛び込んでいく。馬鹿正直に奴と戦う必要などない。斧と盾を手放す。兜も脱ぎ捨てる。身に着けているのは竹甲だ。水に浮く。
だが奴はどうだ?その甲冑は水に浮くのか?
◇
油断した。足を潰された!
女騎士の胸を後悔が占める。
闇の軍勢の戦船。その船上。数匹の
敵の策略に引っかかってしまった。船を焼かれれば、水に投げ出されるしかない。
―――だが問題ない。私は、水の上を歩けるのだから。
女騎士は事実を再確認した。
船尾まで一気に駆け抜け、そして跳躍。
水面はしっかりと、女騎士の足を支えた。
◇
その中央で、儀式の第一段階は頂点を迎えようとしていた。
ローブの大賢者によって高らかに掲げられた赤子。その身より、光が噴き出した。
翼。霊的なそれは、フクロウの翼に似て、そして13枚あった。
―――おお。なんという光景だ。
朗々と聖句を詠唱する大賢者の胸にあったのは、感動。己は今、神話の一端を目にしているというのだから。
繋がった。神獣を縛る鎖。その1本を外した。そして、神獣の身を掴んだ。
霊的な経路が構築される。赤子を通じ、神獣へとつながる糸を掴んだ大賢者は確信した。己の勝利を。
聖句は呪句へと変わり、そして環状列石がその呪力を増幅していく。
―――
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