543神猫 ミーちゃん、怪盗か!?

 NNNネコネコネットワークの情報によれば、東辺境伯の反乱時に壊滅された暗殺ギルドと盗賊ギルドの生き残りが復興のために手を組んだ集まりらしい。


 俺、関係ないじゃん! って言いたくなる。


 このアジトの中には三十名いるらしい。NNNネコネコネットワークの情報、恐るべし。対価はミーちゃんの猫缶とミーちゃんクッキー、、ミーちゃんジャーキーまで多数強奪された。


 ミーちゃん、強欲だ~! ってプンプンです。


 そんなミーちゃんはさておき、乗り込むのはうちのメンバーのみ。ペロとセラとルーさんにはAFを持たせてある。



「今回も殺しちゃ駄目ですからね!」


「またか……」



 グラムさん、どんだけ血に飢えているのさ!?


 この屋敷の二階と三階はペロ、レティさん、宗方姉が担当。一階部分はセラ、ルーさん、宗方弟に任せる。俺とミーちゃんとグラムさんは地下担当だ。



「では、突撃!」


「み~!」



 グラムさんが大きな鉄の門扉を蹴破る。鉄の門扉が飛んでいき屋敷に突き刺さった……。いや、まあいいけどね。


 何事かと飛び出してきた連中を、ペロたちが一撃で無力化させていく。そいつらはハンターさんたちが縛り上げるので問題ない。


 ペロたちが階段を駆け上がり、セラたちが奥の部屋に殴り込み。どっちが闇ギルドかわからないな。


 俺たちはマップスキルで台所の食糧庫に隠し階段を発見。グラムさんを先頭に降りていく。何人か待ち伏せしていたが、グラムさんを傷付けるどころか、ワンパンで沈められた。憐れ。


 地下は前にジンさんと乗り込んだマフィアの屋敷と同じような造り。左右に二つずつ部屋がある。奥の扉は地下道に繋がっているのだろう。


 人の気配がするのはその内一つ。グラムさんがドアを蹴破り中に入れば初老の男二人がいた。



「貴様はネロ!」


「奴ら失敗したな!」



 短剣を抜いて構えるがへっぴり腰のうえ震えている。完全にビビってるな。



「グラムさん、やっておしまいなさい!」


「み~!」


「はぁ……」



 またしても、ワンパンチで終わった。


 さて、楽しい家探し、家探し!



「みっ!?」



 盗賊かっ!? って言われても、それが今回のメインなお仕事。


 この部屋には大きな金庫が一台。隠し金庫が一つある。


 盗賊かっ!? なんて言っていたミーちゃんだけど、お口には開錠のネックレスが咥えられ、大きな金庫がガチャリと鍵が開いた。


 神猫商会の会頭だけに怪盗か!?


 冗談はさておき、金庫の中はお金だけ。こんな汚れた金はハンターさんの飲み代にしてしまえ!


 隠し金庫は……グラムさんが仕掛けを使わず、物理的に露出させた。迷探偵ミーちゃん、がっかり……。



「みぃ……」


「ミ、ミー様。俺が悪いのぉ……?」



 はいはい、ミーちゃん、さっさと開けて頂戴。



「み、み~」



 中身は書類。ざっと目を通す。闇ギルドに資金を出した貴族の名前と金額が書かれた書類に、血判状まである。それ以外にも国外の暗殺ギルド宛の俺の暗殺依頼書まで。


 いやぁ、恨まれてますなぁ。俺って。お門違いも甚だしい! ふざけるなって言ってやりたい!


 ほかの部屋は武器庫に食糧庫それにエール樽やワイン樽が積まれた倉庫。全部回収。


 上に戻ってハンターさんを呼び気絶した闇ギルド連中を縛り上げ表に出してもらう。ほかの階も既に鎮圧されたようだ。


 屋敷の中にいたのは二十二名。八名が地下道から逃げだしたか? 地下道で張っているハンターさんが捕まえるだろう。


 俺たちは猿轡され縛られた闇ギルド連中を連行しながら、わざと大袈裟に行進してハンターギルドに戻る。


 この行進を見た貴族連中は今頃、顔を青くしているだろうな。


 この捕まえた闇ギルドの連中は前に捕まえた連中と同じく、然るべき場所で役に立ってもらう。それまでは見せしめに魔界に行ってもらう。クックックッ……。


 場所は中央広場でいいだろう。ゼルガドさんに頼んでいたものは出来ているだろうか? あの仕掛けがないと面白みに欠けるからね。


 ハンターギルドに戻るとゼルガドさんがいた。作製を依頼したものは荷馬車に積んで持って来ているそうだ。それを中央広場の一番目立つ場所に設置するようにお願いする。



「お、おう。何に使うかわからねぇが承知したぜ」



 俺たちが戻って来たのを知って、ゼストギルド長とセリオンギルドが表に出てきた。



「上手くいっったようじゃな」


「地下道に八人ほど逃げられましたが、もうすぐ別動隊のハンターさんが連れて来るでしょう」


「この連中どうする気だ? ネロくん」


「見せしめのために公中央広場で公開処刑です」



 処刑といっても、刑を処すであって死刑ではない。



「さすがにそれはやりすぎじゃろう」


「大丈夫。グロいシーンは見せません。実際にはイリュージョンですよ」


「奇術師の真似事をするのか?」


「ただし、闇ギルドの連中には恐怖を味わってもらいます。俺に手を出したらどうなるか、その身をもって、ほかの馬鹿共の見せしめとなる生贄です」



 中央広場を見れば、ゼルガドさんがハンターさんの手を借り舞台を設置している。舞台といっても階段と人ひとり入る箱を固定しているだけ。たいした仕掛けじゃない。


 別動隊のハンターさんも戻って来た。ちゃんと八人いる。逃げきれた者はいないようだ。広場の準備も整った。


 さあ、始めましょう!


 ミーちゃん、またあれやるからね!



「み、み~」



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