527神猫 ミーちゃん、薄情者……。

 烈王さんにも魔王認定され凹む……。



「だってよう。今のネロ、どう見ても真っ黒だぞ? なぜ眷属殿がそばにいるのか不思議なくらいだ」


「この世は光だけで成り立っているのではありません。闇があるからこそ光が輝くのです!」


「ネロ、上手いこと言うな。さすが、舌先三寸魔王。エールお代わり!」


「み~」



 舌先三寸魔王……今日から俺は舌先三寸魔王でいいや。



「グラム。ちょこっと東の魔王の所に行って、すべてを凍らせてこい。ちょっとばかし、お痛がすぎる。酒が手に入らなくなったらどうすんだよ!」


「み~!」



 酒か~い! ミーちゃんが突っ込んだ! ナイス突っ込み。やはり、お笑いコンビを組んだのだろうか?



「場所がわかりませんが?」


「適当でいいんだよ! 本気でやりたいならそこにいる奴に聞け」


「どこだ?」


「はひぃ……かくかくしかじか」



 グラムさん、ドラゴンの姿になって飛んでいった……。



「宣戦布告になりませんか?」


「いいんだよ。奴にそんな気概なんてねぇよ」


「知ってるんですか?」


「昔、魔王になりたての頃、ボコボコにしてやったことがある」


「み~?」



 イスカがガタガタと震えている。知っているのか?


 前に魔王を消滅できるか試したことがあるって言っていたけどそのことかな? これ以上、話を続けると機嫌が悪くなりそうなので話を変えよう。



 千手業衆の体の中にあったAFを烈王さんに見せる。



「AFか? 神力が切れかかってるな。ごみか?」



 これを人の体の中に埋め込んでいて、わざと使用回数を制限していることを伝える。ついでに神力を回復させる方法を知りたい。前にミーちゃんが修行して身に付けられるとか言っていたから。



「それは本部にある装置で回復させていたもの、回復させるのは無理かと……」


「お前は黙ってろ」


「はひぃ……」


「よし。じゃあ、練習だ! 眷属殿。ネロ、壊れてもいいAFを出せ」



 壊れていいAFなんてないんですけど……。ミーちゃんがキラキラした目で俺を見上げてくる。はぁ……仕方がない。今回手に入れたAFの気配察知を出す。気配察知は持っているから壊れてもいい。



「いいか、眷属殿。このAFに手を当て神気を流すんだ」


「み~?」


「あの渦の中で感じた力があるだろう? それを体の中から探してAFに流すんだ」


「み、み、み、み~?」


「考えるな! 感じろ! 大宇宙を見るのに小宇宙ばかり見ていては、いつまで経っても大宇宙は見えないぞ!」



 なのこっちゃ? ようわからん。



「み~!」



 わ、わかったんかい!?



 ミーちゃんの肉球から優しい光がAFに流れAFが輝きだす? あれ? だんだん眩しくなってきたぞ?



「み、み、みぃ……」



 流れを止めることができないみたいだね……。なんで、烈王さんとイスカは逃げるのかな?


 なんか光がヤバいくらいに輝いている。これは、俺も逃げたほうかいいかな? よし、逃げよう!



「みぃ……」



 カッ! と閃光がはしった後、ドーン! と爆音が鳴り衝撃波が俺を襲い、ゴロゴロと転げ回る。


 ミーちゃん! 大丈夫か!


 短毛のミーちゃんがモコモコのカール状になり、



「ケホォ……」



 口から黒い煙を吐き出し、パタリと倒れる。



「実験は失敗だ。成功には一パーセントの実力と九十九パーセントの運が必要なのだ!」



 なのだ、じゃねぇよ! ほぼ運じゃねぇか! ミーちゃん、神猫だけど、あんまり運は良いほうじゃないぞ!



「じょ、冗談だって。慣れだよ、慣れ!」


「みぃ……」


「力が入りすぎなんだ。そのAFはほんのちょとの神力でいい。ちょびっとだ、ちょびっと」


「み~」



 ミーちゃん、やる気なので、速さ強化三割増しのAFを置いてあげる。



「み、み、みぃ……」


「ちょびっとだぞ! よし、いい感じだ。もう切っていいぞ」


「み~?」


「もういいから! 流れを切るんだ! 眷属殿!」



 と言いつつ、逃げる烈王さん。俺も逃げよう。



「みぃ……」



 閃光と爆音が響き衝撃波が起こる。



「ケホ、コホォ……」



 アフロヘアーになって煙を吐き、またパタリと倒れた。


 大丈夫? ミーちゃん?



「みぃ……」



 薄情者~と恨めしそうに俺たちを見るけど、それでも起き上がり使命とばかりにやる気に燃えるミーちゃん。



「み~?」


「うーん。無理やり切るしかねんじゃねぇ? こう、ガッ! って感じで?」



 ガッ! ってなによ!? わかんねぇよ!



「み~!」



 わかったんかい! これだから天才って奴は……。


 ミーちゃんの前に気配遮断スキルのAFを置く。これは三個あるから問題ない。



「み、み、みぃ……」


「よし。いい感じだ。そろそろだ。 そこで、ガッ! だ!」


「み~!」



 今度は、爆発せず光が収まる。



「うむ。成功だな」



 成功らしい。


 これでAF使い放題だ!



「み~」






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