525神猫 みーちゃん、生ごみじゃないよ~?
「た、助けてぇ……」
「死にたくねぇ……」
「腕が、俺の腕はどこに行った……」
「みぃ……」
死屍累々……死んでないけど。重力の枷を外したグラムさんは圧巻。あの老人たちでさえ俺で鎮圧できたのだから、多少あの老人たちより強かろうが、グラムさんの前では赤子の手をひねるようなもの。
しかし、殺さなかったとはいえ、ミーちゃんが俺の肩の上で目を覆うほどの蹂躙。逆に死んでないのが不思議なくらいボロボロ、周りは血の海。そこはさすが神人の子孫と言うべきか?
だけど、あれだけ粋がっていた奴らも、今では鼻水を垂らして生を懇願。完全に心を折られたな。今後、立ち直れるか? まあ、俺にはどうでもいいや。
「他愛もない。ネロの言うとおりまがい物だな。あいつに借りを返す前座にしようと思ったが、準備運動にもならん。まだ、千手業衆とやらのほうが手応えがあった」
グラムさん、あの迷宮の管理者にリベンジする気なのか? グラムさんではちょっと難しいかな? 純粋な身体能力なら勝っているだろうけど、あの神人の強さはスキルだと思う。
あの神人、時空間系のスキル持ちだ。時間を操られたら、それに対抗できる術がなければまず勝てないと思う。
グラムさんの時間だけ遅くして、己の時間を早めたら時間を止めるのと変わらない。烈王さんに聞いてから考えた、俺なりの神罰対象にならない抜け道だ。あの神人ならできるだろう。実際に使ったのかもしれない。
「ブロッケン辺境伯、おぬし何者じゃ……」
「魔王だろうが神人だろうがあなたたちには関係ない。今回はこの辺で許してやる。だがな、俺の親しい人に手を出してみろ……」
自分の首元を親指で引いてみせ、親指を下にしてみせる。
決まった……。
「「……」」
「ネロくんが自分を魔王と認めたじゃぞ?」
「人族初の魔王誕生ですな。やれやれ、悪を許さぬ魔王とは、前代未聞」
「み~」
おいおい、言いたいことを言ってんじゃないよ! ミーちゃんも魔王ネロ格好いい~じゃありません!
さて今度こそ帰りましょう。
本部を出ると土スキルで作った牢は健在。牢の付近に何人かうずくまっている。罠に嵌った害虫だ。鑑定しても洗脳されていないようなので、洗脳されいない組の牢に入れておく。
帰るのに、馬を預けたハンターさんを探したが見つからず……。あの人も洗脳されていたのかも。
さて、どうしよう?
「この者たちもこのままにはできんぞ?」
「洗脳されていたもの以外は、何かしらの制裁を与えねばならぬでしょう」
しょうがないなぁ。洗脳されている連中の牢に行き重力を解いて、ミーちゃんのミネラルウォーターを水スキルで霧状にして大気スキルで牢の中に散布した。
みなさん、急に我に返り自分の今の状況に困惑。
ゼストギルド長が俺のやっていることを理解したようで、洗脳が解けた連中に声を掛けた。
「おぬしたちは洗脳されておった。とはいえ、犯した罪は償わねばならん。じゃが、情状酌量の余地はある。そっちにおる連中は洗脳されておらん連中じゃ。その者らは王都に連れて行き裁判にかけねばならぬ」
「そこでだ、お前たちにはこの連中を王都まで連行する任を与える。手を貸すなら、セリオンの名に懸けて罪の軽減を約束しよう」
ゼストギルド長の話を引き継ぎ、セリオンギルド長が妥協案を出した。阿吽の呼吸だな。
全員が承諾したので牢から解放。洗脳されていないほうの連中をロープで縛りあげさせた。
セリオンギルド長はここに残り、ゼストギルド長を連れ俺たちは一足っ先に王都に戻る。
「こんなからくりがあったとはのう……。ドラゴンに乗せてもらっておったと思っとった」
「み~」
緊急事態だから仕方がない。本当はこれ以上知られたくなかったのだけどね。ゼストギルド長は信用できる人だし、誰にもこのことは洩らさないと誓ってくれたからね。
レティさんはここで離脱。白狼二頭が血だらけなので洗うと言っている。すべて返り血だけど。ついでにモフモフパワー切れで動けないとも言っている。このモフラーめ!
ゼストギルド長はハンターギルドに戻り大至急にハンターさんを集めて、もう一度本部に戻ることになる。護送用の馬車の手配などもある。大変だぁ。
「み~」
俺はゼストギルド長をハンターギルドに送ってから、牙王さんの洞窟に飛ぶ。
「東の魔王の幹部らしいのですが、いります?」
「み~?」
「いらねぇよ!」
「そんな危険物、持ってこないでください。ミー様……」
もしかして、何かに使う当てがあるかな? と思って黒大蛇を見せたけどいらないらしい。
しょうがない、やっぱり烈王さんの所に持って行って尋問だな。
「生ごみなんて持ってくんなよ!」
「み~?」
生ごみじゃなくて、まだ生きてますよ? 烈王さん、
「み~」
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