522神猫 ミーちゃん、同情くらいしようよ。
「な、なぜ、そのことを知っている!」
俺を射殺さんとばかりの殺気の籠った目で睨んでくる。殺気を感じるスキルは持ってないけどね、言葉の綾ね、綾。気配察知は持ってるんだけどなぁ。
「あんたたちのようなまがい物じゃない、本当の管理者に合って話を聞いたからだよ」
「み~」
「ま、まさか……まだ生きた管理者がいるというのか? どこで会った? 教えろ!」
こいつら知らないんだな。哀れだ。
「それが人にものを尋ねる態度?」
「み~?」
まあ、教える気はないけどね。
「貴様、いったい何者だ? なぜ我々も知らぬことを知っている?」
「何者だと聞かれれば、答えてやるのが世の情け。聞いて驚け! 見て笑え!」
「み~!」
指を突きつけ言ってやる!
「我らはお前ら本部にギルドを追い出された。ネロとミーちゃんだ!」
「み~!」
「何気に恨んでおったんじゃな……」
「自業自得のような気もしますが……」
そこの外野! 黙らっしゃい!
「そうか、貴様がブロッケン辺境伯か……ならば、死ね!」
ロープにグルグル巻きにされていたのに、そのロープを引き千切って俺に襲い掛かる。
「少年!?」
「ネロ!?」
「「!?」」
こんな時に限ってレティさんもグラムさんも白狼たちも近くにいない……な~んてね。忘れてない? 今の俺、AFでMAX強化できる状態だよ?
加速スキルを使い、取りあえず殴りかかってきた腕を、腰のサーベルを抜き叩きつける……手がどっかに飛んで行ったね。あれ? 光るおもちゃじゃないの?
「ガッ!?」
加速スキルを解くと、白狼二頭が老人を押さえつけ両肩に噛みついている。老人の腕を見れば……やっぱり、無くなっているね。
「あんな剣持っとたかのう?」
「恐ろしいほどの斬れ味でしたな」
「な、なにが起きている? 私はいったい……グッ」
ん? なにか様子が変じゃない?
取りあえず、白狼二頭はWait! 斬った腕を持って来て老人に渡し、ミーちゃんのミネラルウォーターを掛けようとしたら、自分で腕をくっ付けた。回復スキル、それも相当な熟練度のようだ。
白狼が噛みついた傷もあるので、そちらはミーちゃんのミネラルウォーターを掛けておいた。
「すまない。それより、ゼストとセリオンか? いったい何があった?」
「覚えておらんのか?」
「ああ、頭に靄がかかっているようだ……。今は何時だ」
「雪風の月の二十日じゃ」
「雪風の月だと!」
雪風の月って十二月のことね。あと四日でクリスマスなんだよ。この世界にはそんな風習はないけどね。
かくかくしかじかと、ゼストギルド長とセリオンギルド長が老人に今の状況を説明している。
俺は離れた場所でサーベルを振って考える。この剣、なんだ?
刃引きされた光るおもちゃの剣かと思ったら、もの凄い斬れ味。斬った感触さえまったくなかった。
それに、人によっては光らない。これはどういうことだろう。使い手を選ぶのか? 剣スキルや剣技スキルを持たない俺が選ばれるか普通? まったく謎だ?
「我々が魔王の手先に操られていただと……」
「そこに転がっておる蛇がそうじゃ」
「十二使の一人に成りすましていた」
「そうか、でかしたぞゼスト! 我々がこ奴から情報を引き出そう」
おいおい、勝手に決めんなよ!
「なに勝手なこと言ってんのよ。そいつは俺が捕まえたんだ、そいつは所有権は俺たちにある」
「み~!」
「この者は何者だ。口の利き方を知らぬ小僧よ」
おいおい、急にまた上から目線になったよ? さっき名乗ったの忘れてるのかもしれないけど、今までの状況をギルド長たちに聞いだのろう? どこからそんな言葉が出てくるんだ?
ゼストギルド長が俺について説明する。
「あの忌々しい小僧か……」
聞こえていないと思っているのか? 俺の
「残念だったな。その忌々しい小僧の所有物なんだよ!」
「我々に引き渡せ。我々が有意義に使ってやる」
「はっ、笑わせる。そのモンスターに洗脳され、その忌々しい小僧に完膚なきまでやられた分際でよく言うね!」
「み~!」
「ぐっ……」
何も言えないだろう。ざまぁ!
「人を見下し己を選民などと言う亡霊風情を信用できない。今ならわかる。あのセルティオを育てたのがお前らだってことがな!」
「み~!」
「その辺にしとくんじゃ。ネロくん。死者に鞭打つことはなかろう」
なぜ、そんなことをゼストギルド長が言うかといえば、あの黒子の中にセルティオがいたからだ。もちろん気づいたのは全員倒した後。全員を並べ、覆面を剥いだら見つけた。
ゼストギルド長は動揺していたようだが、俺はそんなところだろうなと気にもしなかった。あいつらは洗脳されて襲ってきたわけじゃない。己の意志で襲ってきたんだ。
どこに同情する余地がある?
いや、ない!
「みぃ……」
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