520神猫 ミーちゃん、お茶が飲みたいかも~?

 グラムさんが飛び出し老人を殴る……う、受け止めた!?



「お前たち、れ!」


「みっ!?」



 グラムさんが殴った、モンスターが化けた老人以外も参戦。それもなぜか俺にも向かってくる。



「な、なにが起きたんじゃ!」


「ゼスト殿、ここは下がりましょう!」



 グラムさんがモンスターが化けた老人攻撃した一瞬、老人たちに俺の鑑定が効いた。洗脳状態となっていた。こいつがほかの老人たちを洗脳しているのか? グラムさんの攻撃で一瞬だけど気が緩んだせいかも。


 ゼストギルド長とセリオンギルド長を廊下に出し、レティさんと白狼が扉の前に陣取る。この地中船の中では土スキルが使えないので、武器を使わないセリオンギルド長も戦力外。仕方がない。


 しかし、この老人たち老人とは思えないほどの俊敏な動き、おそらくパワーも半端ないはず。躱した時の空を切る風切り音に恐怖を感じる。


 しかしだ! 今の俺はAFでMAX強化中! 分身、幻影、加速、転移を駆使して老人たちに接近し一人、また一人と無力化。


 薬でね。相手が眠り耐性とか持ってなくて助かったよ。


 見た目と違いタフそうだから、手っ取り早く無力かするには眠らせるのが一番。AFの中に異常状態付加スキルもあるけど、混乱と毒。この場では使い道がなかった。



「下賤な人族風情が!」


「俺が下賤な人族ならお前らはなんなのだよ!」


「み~!」


「我らは高貴な選民。貴様らとは違うのだよ!」


「魔王の配下に洗脳されることが選民か? ちゃんちゃら可笑しくてへそで茶が沸くわ!」


「み~?」



 そうなの~? ってへそで茶が沸くわけないでしょう! 水スキルを使えばできないことはないけど、言葉の綾だよ! 慣用句です! ミーちゃん、なんでそんなにがっかりしてるのよ! 俺に何を求めているんですか!?



「洗脳? 何を言っている。我らが理想のために利用しているだけだ!」


「洗脳されていることすら気づかぬ愚か者か。選民が聞いて呆れる。まあいい、話は後でゆっくり聞くさ。それまで、眠るがいい!」



 喋ったのは正面にいた老人だけ、ほかの老人は無言で攻撃してくるが、最後の一人も無力化に成功。みんなに手伝ってもらい、縄で縛りあげる。



「ネロくん、無双じゃな……」


「AFの力もあるのでしょうが、あれは薬のようですな」


「多才とは思っとたが、薬まで使うとはのう。薬師の孫とは聞いとったが……」


「ハンターというより、暗殺者ですな……」


「みぃ……」



 殺してないからね! 眠らせただけですからね! 暗殺なんてしてないからね! ミーちゃんも、その憐れむような目はやめて!



 グラムさんのほうは一進一退。思った以上に強敵のようだ。まあ、苦戦しているわけじゃないし、重力三倍状態だからね。


 だとしても、ドラゴンのパワーを受け止めるのは凄い。普通の人族ではまず無理。強化された千手業衆だって、まともに受けられるか怪しいのに。


 このモンスターは只者ではないな。


 まあ、逃げ場もないし、のんびり観戦。



「あ奴、何者じゃ?」


「モンスターです」


「モンスターじゃと!?」


「では本物の十二使はどこだ?」



 十二使、この老人たちのことか? ここにいないってことは喰われたんじゃない?



「み、み~?」



 グラムさんと戦っている老人がだんだんと正体が露わになってくる。服が剥がされ露わになった体には、鱗がびっしり。顔の形も変わってきた。


 竜人か? と思ったら、



「この蛇野郎が!」



 とグラムさんが悪態をついたので、竜人ではなく蛇なのだろう。ミュラーさん、ごめんなさい。俺には見分けがつかなかったよ……。



「みぃ……」



 戦いが続くにつれ更に姿が変わってくる。さすがにここまでくると俺でも、竜人ではないとわかる。細い舌がチロチロと口から出て、体がだいぶ細くなっている。


 体が蛇に近くなるにつれ動きも良くなっているのは、本来の姿に戻りつつあるからか?


 でも、元の姿に戻ったら手も足もなくなりそうだ。そうすると、グラムさんが言った腕や足の一本、二本は構わないってのどうなるんだ? まあ、いいか。


 それより、飽きてきた。



「グラムさん、いつまでそんな雑魚と遊んでいるつもりですか? 手を貸しましょうか?」


「チッ、いらん!」



 また、舌打ちしたよ。帰ったら重力五倍の刑だな。



「貴様ら! 魔王軍十二将の私を雑魚呼ばわり! 脆弱な人族如きにやられるものか!」


「「魔王軍十二将(じゃと)!?」」


「み~?」



 魔王軍十二将? なにそれ? 魔王の間でも中二病が蔓延しているのか? というか、どこの魔王よ?


 自称魔王軍十二将の姿が完全に蛇の姿に変わった。体長二メルを超える黒い大蛇だ。火の玉や酸のを飛ばして攻撃している。



「ゴブリンキングにこんな配下がいたななんてー」


「勝手にあんな知能の低い奴らの配下にするな!」


「じゃあ、オークキングの配下だったのかぁー」


「誰が豚の配下だ! 我は東の魔王デルアジーゴ様の配下だ!」



 はい、頂きました。しかし、東の魔王ですか。ロタリンギアの黒幕がここまで手を伸ばしているとは……。


 しかし、間抜けな魔王十二将でよかったよ。



「み~」




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