517神猫 ミーちゃん、お仕置きだべぇ~?
「グラムさん。手伝いましょうか?」
「み~?」
「いらん! それより重力を二倍に変えるぞ。いいな?」
「いいですけど、間違っても相手を粉々にしないでくださいよ。調べることがあるんで」
「知らん! 向こうの体に聞け!」
と言っている矢先に黄色マフラーの腹に穴が開いた。あぁ、勘弁してほしい……。
急に動きがよくなったグラムさんに、千手業衆が動きについて行けなくなる。
黒子のほうは残すところ数人。もう、白狼二頭で十分。レティさんも戦闘に加わらず白狼の観戦に回っている。
グラムさんの勝ちは揺るぎないけど、火と水のスキルによる攻撃に、少々イライラモードに入っている模様。この気の短さがグラムさんの最大の弱点だと思う。
しかし、この千手業衆、スキル用に篝火や水を用意したけど、自分たちが使えば相手も使うと考えないのだろうか?
樽に入った水を使い篝火を消し、樽の水をすべて凍らす。これでスキルは使えない。
「「なっ!?」」
「チッ、余計なことを」
今、また舌打ちしたよね? ミーちゃんも聞いたよね? これは、終わったら確実にお仕置き案件だ! プラス、烈王さんにもチクろう。
「み~?」
グラムさんに分身していた緑マフラーが三体の分身同時に超速攻撃を受け撃沈。首が変な方向に向いている。南無。
加速スキルでグラムさんの攻撃を躱し続けていたピンクマフラーも、重力の負荷を二倍にしたグラムさんの動きには敵わず頭を掴まれ捻られる。憐れ。
残るは赤と青マフラー。火スキルと水スキルを使っていたが、まだ隠し技は持っているだろうな。
グラムさんどうする?
「み~?」
黒子退治も終わったようで、白狼二頭が俺とミーちゃんも前でお座りしてハフハフ。褒めてほしいらしい。
「み~」
「「ウォン!」」
褒めて遣わす~。ははぁーってところか? 頑張ったからお椀にミーちゃんのミネラルウォーターを出してあげると、勢いよく飲み始めた。
「なんだ、私には労いの言葉はないのか? ミーちゃん、少年」
「み、み~」
「そうか、そんなに褒めてくれるのか! しょうがないな、ムニュムニュしちゃろう!」
「平和じゃな……」
「平和ですな……」
そんなお花畑のレティさんはほっといてグラムさんはどうなった?
赤マフラーと青マフラーが左右に分かれ、グラムさんに攻撃する機会を窺っている。
青マフラーが動いたと思ったら、消えた!? いや、いつの間にかグラムさんの後ろにいる!?
グラムさんがなんとか青マフラーの剣を躱すが驚愕の表情。
今のは加速なかじゃない。あれは……転移だ。俺にはまだできない、一瞬で転移する奴だ。そんなことまでできるのか。青マフラー、侮れん。
それにしても、グラムさんよくあの攻撃を躱せたな。野生の勘か?
青マフラーとグラムさんとの攻防が繰り返されるなか、赤マフラーが無造作にグラムさんに近づいていく。気でも違ったか?
青マフラーの攻撃を躱しつつ、赤マフラーにグラムさんの拳が……当たらない!? 二撃目の蹴りも空を切る。
「あれは私のスキルと同じだな。ほら、ここがいいのか? ここがいいのだろう? むふぅ!」
「み、み~」
ミーちゃん、レティさんにされるがまま……。
って、マジかよ! そんなスキルまで持ってるのか!
そして訪れたグラムさんの危機。
正面から来る赤マフラーと転移して後ろから攻撃する青マフラーの同時攻撃。グラムさんの胸に剣が突き刺さる……わけがない。
「「なにっ!?」」
人の姿は取ってるけど、ドラゴンだよ? もう後がないくらいの気持ちの必殺の一撃だったら、傷くらいなら付けられたかもしれないけど、その程度の力の剣如きで倒せるわけがない。
グラムさん赤マフラーの腕を掴み、振り上げたと思ったら地面に叩きつける。
「ぐはっ……」
何度も、叩きつけた後呆然としている青マフラーに投げつける。咄嗟に転移で避けた青マフラーだが、その場から離れホッとして気が抜けたのか、グラムさんをが見えていない様子。
あなたの横にいますよ?
グラムさんの手刀が一閃。青マフラーはおそらく、自分の首が斬られたことに気づかぬままあの世に行ったな。
「ちょと油断しすぎじゃないですか?」
「み~」
「ぐっ、め、面目ない……」
あの剣を受けたのはマイナス点だな。グラムさんなら片方なら躱せたはずだ。ドラゴンの防御力を過信しすぎだ。あの剣が特殊な剣だったら貫かれていたかもしれない。
まあ、ドラゴンだから死ぬことはないだろうけど。
「儂には圧勝にしか見えんかったんじゃが……」
「我々などより遥か高みの話でしょう……」
それより、千手業衆の遺体を回収し、お面と服を剥ぎ取り並べて驚愕。ピンクマフラーが男だとぉー! てっきり女性かと思っていた……世知辛い。
いやまあ、いいんだけどね……。
「み~?」
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