514神猫 ミーちゃん、安らかに眠れ~。
早朝に転移門を抜けてハンターギルドへ。メンバーは俺とミーちゃん、セリオンギルド長、グラムさん、レティさん、白狼二頭だ。白狼はレティさんが役に立つからといって連れて来た。残り一頭は家の警護に残してある。
ゼストギルド長もいつもの服装ではなく革鎧を身に着けている。セリオンギルド長も同じだ。
「では行くかのう。パミル君、あとは頼む」
「お任せください。ギルド長、お気をつけて」
「うむ」
ハンターギルドで準備した馬に跨り出発。
東門を抜け北に進路を取る。北の街道を二時間ほど走ったところで、街道をずれ北西に進路を変えた。しばらくすると森が見えてくる。
「ここからは馬を降りて歩くぞ」
馬を引きながら森の中を歩く。道というより獣道だね。森の奥に進むと人がポツンと立っている。
「お待ちしていました。ゼスト殿」
「うむ。して首尾は如何か?」
「入口に仲間がいますのでその者について行ってください。馬はここで私が見ています」
「ふむ。了解した。では、頼む」
更に奥に進むと小山が現れ、その小山にぽっかりと穴が開いている。
どこかで見たことがあるような?
「流れ迷宮じゃよ」
「み~?」
ゼストギルド長が俺が尋ねる前に答えてくれた。
「ここは元は流れ迷宮じゃった。しかし、今は活動を止めておる。死んだ流れ迷宮を利用しておるんじゃよ」
「それはいつからですか?」
「み~?」
「この大陸に人族が訪れた時からと言われておる。眉唾物じゃがな」
どういうことだ? 流れ迷宮は神人の地中船のはず。故障して動きを止めたのか? 乗っていた神人はどこに行った?
白狼たちが唸り声を上げ始める。
「囲まれているぞ。少年」
「どういうことじゃ?」
「嵌められた、というところでしょうな。ゼスト殿」
「まさか!? ありえん! 儂が昔から面倒を見てきた、家族同然の信頼できる者たちじゃぞ!」
と言われても、現れた連中は顔を布で隠し、明らかにこちらに殺気を向けているよね。俺は殺気なんて感じないけど……そんな感じ?
「
武器を持つ連中を鑑定すると、半分ほどの人が洗脳状態と出ている。うわぁー、面倒くさい状況だぁ。
「洗脳されている人もいるので、殺さず無力化してください。多少の怪我は大目に見ます」
「み~」
「承知した」
それにしても数が多い。五十人近くのの相手に囲まれている。
襲い掛かろうとしている白狼に、
「君たちはギルド長二人の護衛だからね。頼んだよ」
「み~」
と言うと、恨めしそうな目で俺を見ながら、すごすごとギルド長たちの所に行く。
「さて、死にたい者からかかって来い」
いや、だからね、殺しちゃ駄目だからね! グラムさん!
「チッ……」
今、舌打ちしたよね? ミーちゃんも聞いたよね? これは、終わったらお仕置き案件だ!
「みぃ……」
ミーちゃんのため息が合図になったかのように、戦闘が開始。ゼストギルド長を守るように白狼とセリオンギルド長が前に出る。
白狼たちは牙を使わず、ワンパンチで攻撃。それでも、ワンパンチを受けた相手は吹き飛んでいく。それをセリオンギルド長が土スキルで拘束する。初めて一緒に戦うというのに、長年の相棒のような阿吽の呼吸だ。
グラムさんは……余裕だね。素手で剣を掴み握力で剣を砕いている。相手を殴れば、その部分がおかしな方向に折れ曲がっている。死んでないよね。
レティさんは俺の護衛を淡々とこなして、俺の近くには誰も寄せ付けない。
じゃあ、俺は秘密兵器の性能試験でもしよう。腰のホルスターから銃を抜く。
テッテレー! ネロ専用銃Ⅱ型S! 名前にたいした意味はない。なんとなく格好いいから。
今までの銃は大気スキルで撃つ空気銃に対して、これはニトロセルロースを使った火薬式銃。形は今までの銃と同じでリボルバー型。
少し改良してレーザーポインターを上部から銃身の下に移動。これでレーザーポインターを装着したまま。ホルスターに収納できるようにした。
収納持ちの俺には余り意味がない。ただ、なんとなくそっちのほうが格好いいと思っただけ。
弾は全てホローポイント弾。先端の銅の被覆を削ったものだけではなく、被覆自体に五本の切れ目を入れた物の二種類。R.I.P.って奴だ。
ちなみに、R.I.P.はホローポイント弾の一種で、ラテン語のRequiescat in pace の頭文字で、『安らかに眠れ』っていう意味ね。俺の黒歴史の一ページから持ってきた。でも格好よくね?
鑑定して洗脳されていない者を選んで、実験台になってもらう。
殺していいのは殺される覚悟のある奴っていう格言があるくらいだ。
自業自得だろう。
「み~」
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