513神猫 ミーちゃん、モフモフに埋もれる権利あげます~!

 白玉粉の大量生産は無理だけど、新粉と餅粉を製粉業者に頼んでいる。


 その出来上がりを今から見に行く。



「どんなもんです?」


「もう少し米が白くなるまで削ったほうがいいですね」


「わかりました。削りを強くすると量が減ると思いますが構いませんか?」



 それは仕方がない。白くなるまで精米するのだからお米自体が小さくなる。日本酒の大吟醸なんかは半分以下にまで精米しているからね。


 お団子を作るためだから真っ白い粉のほうがいい。今の状態は、すこし黄色っぽい色になっている。米ぬかが入っているからだろう。



「削れた部分はどうしますか?」


「それはそれで使い道があるので別にしてください」



 取りあえず、試作品は持ち帰る。


 さっそくお団子作り。もちろん助手はエフさん。神猫商会会頭のみーちゃんが監査役でお作りします。


 まずはオーソドックスな新粉での団子作り。ボールに入れた新粉に熱湯を入れヘラでかき混ぜる。暑いのを我慢して手で少し練って形を作る。それを適度な大きさにちぎって蒸し器で蒸す。透明感がでたら蒸すのを止めて濡れ布巾などで包み、捏ねながら丸く形成で出来上がり。


 簡単そうに見えるが、正直、手が火傷しそうになるくらい熱いので結構つらい。


 餅粉は白玉粉と同じで餅粉に水を加えながら、混ぜて形を作り茹でれば出来上がり。


 新粉も餅粉も砂糖を加えると時間が経っても硬くなり難くくなる。今回は入れていないし、日持ちさせる気もない。このお団子はすぐ食べるのがお薦めなのだ。



「新粉は歯ごたえがあってお団子にはいいねぇ。餅粉は柔すぎるかもねぇ」



 その中間のだんご粉もある。新粉と餅粉を半々に混ぜたものだ。


 新粉のお団子はちょっと固めのお団子。餅粉のお団子は大福の餅を丸くした感じ。なめらかで柔らかいね。だんご粉はこれぞ団子って感じ。


 小さくした餅粉のお団子を伸ばして、餡子を少し入れ丸める。一口大福の出来上がり。


 ミーちゃんの目がキラキラからギラギラに変わり、一口大福を狙っている……。



「喉に詰まらせないようにちょっとずつ食べるんだよ?」


「み~!」



 クチャクチャと餡子を味わいな食べるミーちゃん。幸せそうです。



「丸めて串に刺すより。こっちの中に餡子を入れて包んだほうがこれは合うね」



 確かにエフさんの言うとおりなんだけど、大福は餡子がメイン、餡子の消費が激しくなりそう。今の一日に使う量では全然足りなくなる。



「だけど、これは売れるよ」


「み~!」



 イルゼさんが戻ってきたら相談してみるか。できれば今のお餅団子を新粉のお団子にしたいんだよね。餅は餅で別に売りたい。




「ネ、ネロ……こ、これはにゃんにゃー!?」


「本物のお団子ですね。姉さん」


「ネロくん。君は食べ物チートだよ!」



 チートと言われてもイカサマなんてしてないぞ? 純然たる俺の知識だ。



「これが前に言っていた本物のお団子にゃのかぁー! にゃんたる心地よい歯ごたえ。にゃんたる至高の味わい。新たにゃる境地の開眼にゃ~!」


「にゃ~!」


「がう!」


「きゅ~!」


「「かう!」」



 新たなる境地てどんな境地なんだろう?



「あっ、大福もありますよ。姉さん」


「まんじゅう怖い。もっとくれ~」


「ペロもにゃ!」


「み~!」



 饅頭じゃなくて大福ですから! 饅頭かぁ、今度作ってみるか? それから、ミーちゃん、まだ食べる気ですか? 中身だけ……。



「み~」


「餡子は日中も作れば問題ないと思います。今は人数もいますので」



 イルゼさん女性陣が頷いている。コンラートさんはお任せって感じだな。



「となると、問題はどうやって保温しておくかですね」


「保温できればいいのか? 作れるぜ」


「えっ、本当に!?」


「コンロの劣化版を作るだけだろう? 性能を上げるのは大変だが、落とすなら簡単だぜ」


「「おぉー、さすがイカレ頭」」


「うるせぇー!」



 さすが、うちの開発担当。なんでも作れる。



「乾燥しないようにもしたいのですけど」


「中に水を入れる場所を作ればいいんじゃね? 保温の温度で水が蒸発するようにすればいい」


「すぐに大きいのを四つ作ってください!」


「み~!」


「お、おう」



 せっかくなのでヴィルヘルム支店もこのお団子に変える。お餅は保存食として認知され売れているから問題ない。そういえば、向こうに新しいドラゴンが増えている頃かな? 物が出来たら行ってみよう。



「み~」



 夜のうちにレティさんに、明日ハンターギルドに討ち入りするから付き合うように言っておく。



「グラム殿も行くのだろう? パ~ス」


「駄目です。護衛対象は三人です。グラムさんは露払いでレティさんが俺たちの護衛です」


「み~」


「面倒……時間外労働費を請求する!」



 いやいや、時間内労働ですから!



「少年のせいですさんだ心と体を癒すのに、モフモフに埋もれたい!」



 なんで俺のせいなんだ? それにいつもモフモフに埋もれてるじゃないか……仕事もせず。



「いいでしょう。これが終わったら牙王さんの所に行きますので、そこでモフモフに埋もれてもらいましょう!」


「み~!」


「よし、行こう。少年たちには指一本触れさせはせん!」



 現金だね……。



「みぃ……」



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