515神猫 ミーちゃん、戦隊ヒーロー?
レーザーポインターのスイッチを入れ、相手の胸を狙う。
引金は前と同様無い。引金の所に雷スキルで電気を流せば、中に設置した銀で作った導線が薬莢まで電気を通す。
ダァーン!
一瞬、すべての者の動きが止まる。
これはヤバい……ちょっと表現に困る光景が目の前にある。まさか、ここまでの威力とは……。
「みぃ……」
「なんなのじゃ……その武器の威力は!?」
「対ロタリンギアの新兵器。かな?」
「なんという、兵器を生み出したんじゃ。ネロくんは悪魔に魂を売ったか……」
いやぁー、そこまではしてませんよ? でも、人を殺す武器に天使も悪魔もないと思う。所詮、武器は人殺しの道具。今まで使っていた銃となんら変わりはない。少しだけ使うのに躊躇する威力ってだけだ。
しかし、今の一発の凶弾に倒れた犠牲者のおかげで、襲ってきた連中は及び腰になっている。
俺が銃を向けると地べたに伏せたり、味方の後ろに隠れたりと、おいおいって感じだ。
「なんでネロは
「「ウォン!」」
いやいや、あなたたち鑑定持ってないから! 洗脳された人の区別つかないでしょう!
もう一発試したかったけど、みんなの目線が痛いからしょうがないので封印。
仕方がない。ミーちゃん、やっておしまいなさい。
「み~!」
ミーちゃん、待てましたとばかりに、神雷肉球弾乱れ撃ち。ミーちゃんの神雷で痺れた奴らを、土スキルと重力スキルで拘束していく。
「ミー様!? 俺の分を取らないでください!」
「み~?」
「なんなのじゃ……」
「いったい何が起きている? ネロくんの仕業か?」
いえ、ミーちゃんの仕業です。
「み~」
はい、立っている敵はもういません。
「不完全燃焼だ……」
はいはい、そんなことはいいですから、こっちの人はそっち、そっちの人はこっちに移してください、
襲ってきた連中を洗脳された者とそうでない者に分け、土スキルで檻を作り閉じ込める。ついでに檻の周辺を含め重力三倍にしておく。
「その力はなんだね? ネロくん」
「重力スキルです」
「「重力?」」
セリオンギルド長もゼストギルド長もわからないといった表情。知らないらしい。
「重さを操るスキルだと思えばいいと思います」
セリオンギルド長に重力二倍をかける。
「ぐっ……なんだこれは」
「今、セリオンギルド長は体重が二倍になった状態です。結構、きついでしょう? 今向こうの檻には三倍の重力をかけています」
「これで二倍……。向こうがヒキガエル状態なのも頷ける」
「どうやってその力を手に入れたんじゃ? それに、あの武器じゃ」
「この重力スキルは、ドラゴンの長である烈王さんに教わりました。ちなみに、俺はミーちゃんのおこぼれです」
「み~」
ミーちゃん、俺の肩からぴょんと飛び空中でプカプカ浮いてみせる。
「「……」」
「武器に関しては……」
かくかくしかじかと経緯を説明。俺が悪いんじゃなくて、偽勇者が悪いんだと強調しておく、
「酷い戦争になりそうじゃな」
「多くの血が流れるでしょうな」
「もはや、我々の出る幕ではないのかもしれんな……」
「まさしく……」
それより、どうしますか? 俺たちハンターギルド本部から敵認定されているようですけど?
「行くしかあるまい」
「もはや引くに引けぬ状態。決着を付けねば終わらん」
じゃあ、行きますか。小山に出来た穴に入り階段を下りていく。
迷宮のような迷路があると思ったら、ここは獣人の村があった階層の町の中と、同じような場所に出た。太陽はないけど昼間のように明るい。
まさしく迷宮なんだね。
「み~」
ゼストギルド長の案内の下、町の中央に向かて歩いていくとクイントの流れ迷宮にあった町と同じように、神殿があった。
「まさか、あの中を抜けてくるとはな。さすが、英雄セリオンとゼストというところか」
神殿の上に人が立っている。ちょっと痛い格好だ。この世界にも中二病があったとは……。
「み~?」
ライダースーツに赤いマフラー、そして無地の白い面。俺なら恥ずかしくてそんな格好できないな。
「千手業衆がお出ましとは、これは本気で我らを始末しに来たようですな」
「さすがに、千手業衆相手はこの老骨には、ちと厳しいのう」
「あの痛い恰好の千手業衆ってなんです?」
「ハンターギルドの本部付きの殺し屋だぞ。基本表には出ない裏の者たちだ。私も初めて見たぞ。少年」
殺し屋って、ハンターギルドにそんなのいるんかい!
「腕は五闘招雷に匹敵すると言われておる」
「厄介な相手が出てきたものだ」
そんなことを話していたら、千手業衆というのが五人に増えている。マフラーの色がみんな違う……。赤、青、黄色、緑、ピンク、戦隊ヒーローか!?
「み~?」
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