486神猫 ミーちゃん、ご利用は計画的に~?

「それより、あの荷馬車どうしたんですか?」


「あ、あれはな……せっかく国から呼ぶからな、向こうでしか手に入らないものを買ってきてもらったんだ……」


「買って来た?」



 借金を抱えていたのに買えるのか? フーリアさんがバッグからなにか書類らしきものを出しをゼルガドさんに渡す。それを、ゼルガドさんがそぉっと俺に差し出してくる。



「み~?」



 中身を確認すると職人ギルドと商業ギルドからの借用書だ……俺に払えということだね。


 荷物だけでなくあの荷馬車二台とバロ二頭も借りたお金で買ったようだ。はははは……まあ、使い道はあるからいいけどね。


 荷馬車で来たというから護衛を雇ってきたのかとおもったら、ドワーフの国からルミエールまで来る商隊と一緒に来たそうだ。人が多いほうが盗賊やモンスターに襲われ難くなるから、商隊も喜んで認めたらしい。



「これでいろいろ作れるようになったぜ。まずはネロの武器造りからだ」



 蒸留器の研究に加えダイナマイトの研究もしてもらている。開いてる時間にはニトロセルロース作りもしてもらっている。ほかにもいろいろ頼んでいるが、ダイナマイトと俺の武器は急務だ。


 年明けにはロタリンギアとの戦いがある。その後にはゴブリンキング戦も控えている。俺自身の戦力強化は必須だ。今使っている銃では威力が心許ない。自分の命を守るため、仲間の命を守るため必要な物だ。



「構想はもう練ってある。まずは試作品を造って検証だ」


「了解です。年内中完成させたいのでよろしくお願いします」


「み~」



 ゼルガドさん一家が来たので、夜は歓迎会だ。夕食の準備があるから烈王さんの所に行くのは明日にしよう。


 俺は唐揚げ、エフさんは魚市場で買った大きなマスに似た魚をパイ包み焼きにする準備を始める。


 いつものから揚げに今回はネギニンニクソースを作る。みんなの好きななんちゃってタルタルソースも作ろう。パンに挟んで食べてもいい。


 そして豆腐もだ。フーリアさんにこれから作ってもらうものだから、一度見て味わってもらいたい。自分が何を作るかわからないのもなんだからねぇ。


 夕方になるとペロたちが帰って来た。



「おっちゃんの家族にゃ? やっぱりイカレてるにゃか?」


「イカレてねぇよ!」


「ユンに言われたくねぇ!」


「ペロはユンじゃないにゃ! ケットシーにゃ!」


「同じようなもんだろう!」


「違うにゃ! これだからイカレ頭は困るにゃ……」


「「「イカレ頭、言うな!」」」



 意外と仲がいいのか? この親子。それと、ペロは誰とでもすぐに仲良くなるな。



「み、み~?」



 いいんだよ。逆にヤンくんは同年代だけど声を掛けれずもじもじしている。まあ、間にペロが入るから問題ないだろう。


「今日、塩の買付の合同商隊が出発したぞ。ネロ」


「うちも今年中に、商隊を出す予定ですのでお願いしますね。ルーさん」


「準備はどこまで出来てるんだ?」


「荷馬車の手配は済んでます。積荷のほうも問題ありません」



 二台ほど荷馬車が増えたけど問題ない。問題は御者なんだけど、レティさんがスラムの若者を何人かスカウトしてきて訓練させている。間に合うかな?



「護衛はハンターを雇うのか?」


「いえ、妖精族と白狼族に頼んでいます。間もなく到着するはずです」


「み~」



 ケットシーのように迷子にならなければだけど……。白狼族もついているから大丈夫だとは思っている。



「大丈夫なのか?」


「慣れるまでは大変かも……。ですけど、腕は確かですし、なにより信頼できる方たちです」


「み~!」


「妖精族だろ……その慣れるが大変なんじゃね?」



 ルーさん、ペロをチラ見して苦笑い。妖精族というよりペロが特殊なんじゃないだろうか? だって、パトさんは至って落ち着きのある紳士だ。カエル妖精さんはペロと同類かな……。



「で、うちからは誰を連れて行く?」


「にゃん援隊でいいんじゃないですか?」


「み~?」


「セラは頼もしいとして、ヤンも連れて行くのか?」



 ヤンくんはイルゼさん次第かな。交易となると二か月は帰ってこれないはずだ。俺としては連れて行ってあげたい。



「ブーセまでの野営は問題なかったんですよね?」


「ああ、問題なかった」


「じゃあ、連れて行って経験を積ませてください。将来どうするかはヤンくん次第ですが、実績としては申し分ないと思います。あとはイルゼさんと相談でしょうか」


「み~」


「それなら、ハンターギルドに指名依頼を出せばいいんじゃね?」



 それも考えた。でも、今回はパスだ。



「その件はおいおい考えます。ゼストギルド長との相談もあるので」


「そうか、わかった。ネロに任せるぜ」


「み~」



 できれば、ペロと同じように今度来る妖精族に、ハンター証明証をゼストギルド長に発行してもらいたい。妖精族が大手を振って町に入れるようにね。



「あと、希望があれば言ってください」


「了解。考えておく」



 一度、実際に商隊を出してみないとわからないこともあるだろうけど、長旅になるから、みんなの負担軽減になることならなんとかしてあげたいよね。



「み~」



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