484神猫 ミーちゃん、そこはアッパーなの~!
まずは仕入れてきた白身魚を三枚におろし、みじん切りにしてして冷水に入れてかき混ぜ、何度か切り身を洗う。
洗った切り身をしっかりと水気をとり、ミンサーですり潰す。この時に冷やしながらやるのがコツ。俺は水スキルを使って冷やしながらやったけどね。
すり潰したものを更にすり鉢で卵白や塩に片栗粉、みりんがないので少々の砂糖を加えて混ぜる。ばあちゃんは昆布出汁も入れてたな。昆布どこかにあると思うんだけどなぁ。
混ぜ終わったら煮沸消毒した板にヘラで半円形に形成しながら載せ、常温で二時間ほど寝かせる。
そのほかに木の棒に平たく形成したものも作って寝かせておく。
みんなが帰って来たところで板に載せたすり身を蒸し器で蒸し始める。木の棒に平らに形成したのはコンロで焦げないようにエフさんと焼いていく。
蒸し上がったものはまさしくぷりんぷりんのかまぼこ。焼いたほうは笹かまというより、ちくわみたいになった……修行が必要だ。しないけどね。
このすり身を油で揚げればさつま揚げなんだけど、今回はパス。ヴィルヘルム支店で売り出そうかと思っている。魚はいくらでも手に入る環境だ。
それに、さつま揚げなら白身魚じゃなくてもいいので安く提供もできる。ライバルとなる店もないので独壇場だ。需要が多いようなら別にかまぼこ店を作ってもいいと思っている。豆腐とかまぼこ、ウハウハの予感だ!
一口サイズに切って食卓に並べる。ミーちゃんたち用に塩分控えめのかまぼこも作っている。
さあ、ご堪能あれ!
最初に手を付けたのは、やはり食に並々ならぬ探究心を持つ腹ペコ魔人のペロ。
「くにゃくにゃとほどよい噛み応えにゃ。噛めば噛むほど旨味が溢れてくるにゃ! これは豆腐に劣らぬ至高の食べ物にゃ!」
ルーくん、ラルくんも美味しそうに食べ始めると、クオンとセイランも食べ始める。
ミーちゃんもスンスンと匂いを嗅いでからハムハム食べ始めた。ほぼお魚だからミーちゃんも食べると思っていた。美味しい?
「み~」
それはよかった。このすり身に豆腐を加えれば、お豆腐かまぼこになるのだろうか? お豆腐かまぼこ、好きなんだよねぇ。
あと、わさびがやっぱりほしい。このかまぼこを醤油とわさびで食べたい。ブロッケン山の沢にないだろうか? パトさんに聞いてみよう。
みんな美味しいと言ってくれている。特にカヤちゃんが気に入ってくれたようで、ちくわ風笹かまぼこをパクパク食べている。
ルーさんとベン爺さんはワインと、ゼルガドさんはエールで食べている。魚の臭みがない淡白な味だからエールはもちろんワインにも合うらしい。
「おでんが食べたいぞぉ~。トシ」
「大根はあるし、あとはこんにゃくかな?」
そうだな、材料はほとんど揃っている。豆腐があるから厚揚げや油揚げは作れる。はんぺんもなんとかなる。寒い冬には最高だろう。
「しかしだ! 昆布とかつお節がない……」
「おふぅ……」
「Oh my God!」
そんな恨めしそうな目で見るなよ……。かつお節の代わりに煮干しでなんとかなると思うけど、昆布は如何ともし難い。落ち着いたらゆっくり探そう。
次の日、烈王さんの所に行くか迷いながら、ミーちゃんとムニュムニュ姉妹を抱っこしてダラダラしてると呼び鈴がなる。
お客さんかな?
と、待てどルーカスさんがやって来ない。郵便か新聞の勧誘かな?
ちなみに新聞あるよ。月に三回だけどね。うちでも定期購読を契約している。王都だと新聞社が三社あるらしいね。貴族向けと一般向け、それと商業系の新聞だ。うちは一般の新聞ね。
神猫商会は商業系の新聞はあまり役に立たないんだよね。神猫商会の商品は仕入れから加工、販売まですべて神猫商会で完結している。
商隊での交易を始めれば別だけど、それでも役に立つのはベルーナ、フォルテ間までで、ルミエール、ヒルデンブルグ間の交易には役に立たないんだよ。
「フーリア!」
「み~?」
ゼルガドさんの声だね。知り合いかな? もしかして、呼び寄せていた家族かな?
玄関に向かうとゼルガドさんがふくよかな女性と抱き合っていた。その後ろにはヤンくんと同年代くらいの男の子二人が佇んでいる。
「お前たちよく来た!」
「「父ちゃん!」」
親子の感動の再開シーンだ!
「み~」
と、ミーちゃんと俺は思っていた……。
始まったのは感動の再開シーンどころか、殴り合い。いや、ゼルガドさんが一方的にボコられていると言ったほうが正しいのか?
「み~!」
ミーちゃん、なぜか興奮気味? 格闘好きか!?
しかし、奥さんのフーリアさん? が微笑ましく見てるからこれがドワーフ流の挨拶なのかも?
「借金残して、勝手に出て行きやがって!」
「それどころか、更に借金抱えてとうとう身売りしたって? ふざけんな! なんで俺たちまで巻き添えにするんだよ!」
「おふぅ……」
ルーカスさんも目が点になってるから、違うみたいだね。
「み~?」
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