479神猫 ミーちゃん、毒見はどうかと……。
ドラグラブラッドの検証なので、グラムさんが簡単に倒してしまったら意味がない。なので、グラムさんはオークリーダーを押えておくだけ、攻撃は禁止。
「わかった押えておけばいいんだな?」
「ただ押えておくだけでなく、氷スキルを体に纏っていてください」
「だが、どんな効果があるのかわからないんだぞ?」
「だからこそ、使ってその効果を検証するんです。実戦で使ってみれば、訓練の時とは違う見方ができるかもしれませんから」
「そんなものか?」
「そんなもんです」
「み~」
グラムさんがオークリーダーに歩み寄り正面に立つ。オークリーダーのほうが背が高いので、グラムさんが見上げるかたちだ。
オークリーダーがグラムさんを見下ろし、やんのかごらぁと睨む。このオークリーダーはグラムさんとの力の差がわからないようだ。これも個性ってやつなのだろうか?
グラウさんがそんなオークリーダーを鼻で笑えば、キレたオークリーダーの腕が振るわれる。
剣を使わず殴る姿は初めて見た。しかし、グラムさん、簡単に受け止めオークリーダーの拳を掴んだまま動かない。
そうこうしたやり取りの間に、俺はドラグラブラッドの射程である四メルまで近寄る。オークリーダーに指輪を向け。やれ! と命令。
指輪からドラゴンというより蛇の顔がニョロニョロと勢いよく伸びていき、オークリーダーの首に噛みつく。
トクントクンと血を吸っていると思われる感触が指に伝わる。気持ち悪いぃ……。
オークリーダーは血が吸われていることに気づいていないようで、まだグラムさんと力比べを興じている。が、それも、血を吸われたせいかどんどん弱々しくなり、ついに膝を付いた。
オークリーダーはまったく自分に起きていることに気づいてない様子。その後すぐに倒れ伏したと思ったら、ドラグラブラッドの先端が戻ってきて元の指輪の姿に収まった。
血を吸いつくしたのか……?
オークリーダーに近寄ると目を見開いて絶命していた。
「エグい攻撃だな。攻撃されていたことに気づいてなかったぞ。こいつ」
確かにエグい攻撃だ。しかし、血抜きは完璧。最高の
「これは最高の武器というより、最高の調理器具だ! アレックスさん、ありがとう!」
「み、み~?」
「ネロがまた強くなった……」
「さあ、次行きますよ!」
次のオークもグラムさんは攻撃なしの防御だけ。オークの数が増えなかなかに大変。でも、楽しい。
このドラグラブラッド一度噛みつくと、射程外に出るか俺がやめろと思うまで離さない。射程内であれば相手がどんなに動こうとも、グニャグニャとついて回る。オークが剣で斬ろうとしたがオークの剣を弾く強靭さを持っている。
唯一、不満なのが一対一ってことだ。複数を対象にできれば時間が短縮できたのにな。一体一体相手にすると時間がかかる。
その後、十体分ほど血を吸うと吸わなくなった。お腹がいっぱいのようだ。
せっかくなので、最後の部屋で必殺技を試してみよう。
「み~」
部屋の中央に屯っているオークたち、まだこちらに気づいていない。部屋の入口前から使ってみる。指輪に意識を向けると、防御するか攻撃するかとなんとなく伝わってくる。
今回は攻撃だ。範囲指定できるようで範囲を広げれば効果が薄く、狭めると効果が高くなるようだ。なので、オークたちを範囲指定して発動。
「みっ!?」
ミーちゃんが驚くほど、急にオークたちを赤い霧が覆う。覆ったと思ったらオークたちの目や口、鼻、いや体全体から血を噴き出し倒れ込んだ。霧が晴れてもピクリとも動かない。
「毒か?」
「違うようです。指輪の効果……呪いのようなものでしょうか?」
鑑定で確認したが毒とは出ていない。血を噴き出して絶命しただけのようだけど、食べても大丈夫だろうか?
ドラグラブラッドを向ける、残った血を啜り始める。大丈夫なのかな?
もったいないし、一度烈王さんに食べさせてみるか。烈王さんなら何かあっても問題ないだろうしね。
「みぃ……」
しかし、恐ろしい攻撃だ。範囲攻撃なので、味方を巻き込むフレンドリーファイアがあり得る。使いどころが難しい。防御のほうはどんな感じなんだろう? 今度どこかで試してみよう。
「グラムさんのほうはどんな感じですか?」
「み~?」
「うむ。なんとなくだが、もう少し続ければなにかがわかりそうな気がする」
それは重畳。氷スキルは持っている人が少ないから、グラムさんの固有技になるかもね。まあ、クラウディアさんも氷スキル持ってるけど。
今日は有意義な一日だった。
能力向上した上に、AFをもらい新しい戦術も得た。
少しずつだが俺も強くなっている。
いつかはゴブリンキングをガツンとやってやるぜ! 止めを刺すのは宗方姉弟だけどね。
「み、み~」
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