470神猫 ミーちゃん、実験します。
大量破壊兵器の発端となるダイナマイトの作製。完全にこの世界に影響を与えるものだ。いずれ、科学が発展すれば開発されるものだろうけど、どうなんだろう?
でも、ニトログリセリンはドワーフが開発したもの、俺が開発したものではない。ニトロセルロースは……。
ダイナマイトにしても、ちょっとだけ手を加えたにすぎない……よね?
さすがに、推進火薬や通称TNTと呼ばれるトリニトロトルエンを作る気はない。そのうち、開発競争が始まれば誰かが作ると思うけど。
ヤバい、不安になてくる。作ってしまったものはしょうがないとしても、神罰くだらないよね?
「み、み~?」
教会に行ってお祈りしながら聞いてみようか?
「み~!」
一旦、実験はここまでで終了。ゼルガドさんが本国に防護服一式を注文することになっている。それが届いてから本格的な実験、検証を行うことになった。
毎回、グラムさんにやってもらうのもなんだからね。
実験道具を片付けて狐獣人村に戻る。
ヤンくんが、狐獣人の赤ちゃんを抱っこさせてもらっているところだった。
「か、可愛いですね」
狐獣人の赤ちゃんはいつもどおり、キャッキャッと笑顔を振りまいている。物怖じしない性格のようだね。将来、大物になるな。
ペロと宗方姉弟からオークとオークの武器をもらい、ミーちゃんバッグに収納。
オークとの戦いでヤンくんは弓スキルを開眼したそうだ。弓スキル、羨ましい……。ヤンくんは着実に強くなっている。同年代の見習いハンターからは出遅れたものの、うちのメンバーの英才教育の賜物だな。
家に戻り俺とミーちゃんは神猫商会本店に移動。
改装工事は終わっていた。店の中はレースで飾りつけられていて、なかなかにケーキ屋さんらしく見える内装だ。
外に回って外装を確認。立派だけど可愛らしい看板に仕上がっていた。四隅に猫のデフォルメ絵が描かれているのがチャームポイントだね。
「み~」
壁周りは白で統一されていた。純白という意味ではレーネ様のお店として合っている。正面の神猫屋とは対照的だ。同じ建物にあるから、区分けとしてはいいのかもしれないな。
「凄く可愛いね……」
「み~」
いっしょに看板を見上げていたカヤちゃんがポツリと言葉を漏らす。そういえば、うちには看板がないな。暖簾やのぼりはあるのに盲点だった。
「うちも看板作ろうか?」
「うん! 可愛い看板がいいね!」
「み~!」
か、可愛いいかは別として、看板はあったほうがいいな。町のみなさんは、ここが神猫屋だと思っているに違いない。神猫商会の一部を使って神猫屋をやっていることに気づいている人はどのくらいいるだろう?
でーん! と神猫商会を前に押す看板にしよう! 可愛いかは別としてね。
帰る前に教会に寄って行こう。
ヨハネスさんに見つからないように、そっとお祈りをして帰る。お祈りといっても今回の爆薬作りについて、問題ないですよね? との確認だ。そう確認なのだ。間違っても神罰下らないですよね? なんて聞かない。
作ってしまった以上、あとは使うか、使わないかの選択だ。使っては駄目と言われれば、仕方ない封印するしかない。その場合、どんな条件で封印を解くかも確認したいところだ。
お祈りを終え家に帰りお茶を飲んでると。ミーちゃんがハウツーブックを咥えている。どうやら連絡が来たようだ。
気を引き締めて本を開く。後ろにページが増えている。
なになに、宗方姉が書いている同人誌を奉納しろ? 漫画も描け? この世界に二次元娯楽を広めろだと!?
二次元娯楽を広めるのはいいとして、宗方姉の同人誌は駄目だろう! 禁書目録に載ろうとしたものだぞ。もしかして、フローラ様は腐女神か!? それでいいのかこの世界!?
「みぃ……」
緊張して読んだのが馬鹿だった……。そして、当然書く場所が少なくなり、最後のページに極小の文字でびっしりと本題が記されている。学習しねぇな~。
「み、み~」
テッテレェー! ここで取り出すは拡大鏡! 望遠鏡があるのだからと、ゼルガドさんに聞いたらありました。そこで、ウイラー道具店のシュバルツさんに頼んで手に入れた。とても高価でびっくり。
おぉー、見える。私にも文字が見えるぞ!
なになに、歓迎すべきことではないが、しょうがない。偽勇者が来た時点で覚悟はしていた。今回の偽勇者が来なくとも、いつか異世界人が来たらこうなるとは予想していたらしい。神の意志とは関係なく間違って来る人もいるからね。
ただ、少し早すぎると書いてある。時間をかけて研究を重ね、知識を育て開発されるならいいが。何世代も吹っ飛ばしてニトロセルロースはない、とのこと。
ダイナマイトは安全性が増すので許可。ニトロセルロースは世間に公表するのは却下となった。しかし、俺が使う分には許可が出ている。魔王対策の一環として認めるそうだ。
ロタリンギアの後ろに魔王がいると考えれば、ロタリンギアに対して使ってもいいとの拡大解釈だな。なら、自分の武器だけは造っておこう。俺って弱いから……。武器に頼るしかない。
最後になんとかこの世界の学力を上げろと書いてある。俺にどーしろと? 宗方姉弟と覚えている限りの知識を書き出してはいるけど、そんなの微々たるものなんだよねぇ。
「み~?」
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