457神猫 ミーちゃん、浮遊スキルじゃありません!

 さて、どんな検証結果だったのかな?



「僕は炎スキルを持っています。そこで、やってみました」


「「結果は?」」


「少しだけ力が強くなりました」


「「おぉー」」


「み~」



 それは凄い。てっきり火達磨になって死にかけたってオチがつくと思ってた。



「みぃ……」


「しかし、なのだよ。グラムくん!」


「な、なんだ?」


「この世界はズルチートを許さない。なかなかにシビアな世界なのだよ」


「この異世界のスキルはある意味、等価交換のようなものだと思います。使いこなすにはそれ相応の知識が必要です。MPという概念がないこの世界では気力や体力を消耗します。今回の使い方は体力やダメージが対価になるようです」


「雷スキルは使うともの凄く疲れます。炎スキルは全身に焼けるような痛みが残ります」


「みぃ……」



 マジかぁ……代償が必要になるのかぁ。



「ですが、まだ仮定ですが、熟練度が上がるとそれが軽減する感じがします。もしかすると、魂の器が育ったりしても軽減されるかも? 検証が必要です」



 それは考えられ得ると思う。ではなぜ、ミーちゃんとの合体技『紫雷』はミーちゃんの神雷を使ってもそれほど疲れないのだろう? まあ、普通には疲れるけど、神雷スキルを使った負荷は感じられない。



「み~?」



 ミーちゃんの神雷が特別なのかな? いや、違うな。ミーちゃんの神雷スキルの熟練度がMAXなんだと思う。もしこれが未熟練度だったら、神猫のミーちゃんならいざ知らずただの人間である俺では……考えるのも恐ろしいことが起きるかもしれない。



「そのくらいで強くなれるのなら、甘んじて受け入れよう」


「ほかのスキルに関しては?」


「残念ながら僕たちはほかのスキルを持ってませ~ん」


「ネロくん。後は任せたのだよ!」



 丸投げかい!? 大気スキル、水スキル、土スキルの三つは俺が持っている。 氷スキルはグラムさんが持っている。


 そういえば、ミーちゃんは重力スキルも持っていたな。



「もし重力を操れるとしたら強くなれるかな?」


「重力スキル。チートですね」


「チートではなく厨二の世界なのだよ」



 重力スキルのことは誰にも話していない。でも、ミーちゃんはたまにプカプカと家の中でも浮いている。みんな何も言わないけど。


 ミーちゃんに宗方姉弟の前で重力スキルで浮いてもらう。



「ミーちゃんのこれ、重力スキルだよ」

 

「み~」


「「……」」



 浮かんだミーちゃんを穴が開くのではないかというほど凝視している。



「浮遊スキルかと思っていました」


「みっ!? み~!」


「重力スキルあったんだねぇ……」



 グラムさんもミーちゃんの下に潜り込んで自分に影響がないことを確認している。それ、俺もやった。ミーちゃんだけが重力スキルの影響下にあるのか、ミーちゃんの周りにも影響があるのか知りたかったからだ。


 俺が思うに、ドラゴンがあの巨体で空を飛べるのがおかしい。だけど、意識しないで重力スキルを使っているのならば話は違ってくる。スキルとして顕現していなくても、本能で使っているのではないだろうか?


 ならば、少しだけ刺激を与えれば顕現するのでは?


 ミーちゃんにお願いして、烈王さんの所で重力スキルの練習した時の再現をしてもらおう。



「み~!」


「うがっ……」


「うぎゅぅぅ……」



 ミ、ミーちゃん、俺を巻き込まないでぇ……。



「なんか潰れてますね」


「ネロさんがヒキガエルになってるのだ」


「グラムさんは頑張ってますね」


「ドラゴンとしての意地だろうねぇ」



 ヒキガエル状態の俺に対して、グラムさんは立ったままで耐えている。肉体的強度なのか、本能で重力スキルを軽減しているのかはわからない。


 っていうか! そろそろ止めて!



「み、み~」



 その残念そうなお返事はなんですか! ミーちゃん!



「み~♪」



 た、楽しいから~だと~!? ならばくらえぇ! 愛の鞭!



「み、みゅぅぅ……」


「今度はミーちゃんが潰れてますね」


「潰れていてもミーちゃんは可愛いのだ!」



 そう重力スキルだ。烈王さんの所での訓練で覚えなかったのに、今覚えた。烈王さんの訓練で覚える寸前までいっていたのだろう。


 グラムさんを鑑定すれば重力スキルを覚えている。



「グラムさんも重力スキル覚えたようですよ」


「本当か!」


「うぎゃぁぁ……」


「ふぎゃぁぁ……」


「みゅぅぅ……」



 宗方姉弟が地面とハグしている。大自然を肌で感じたいお年頃なんだろう。


 ミーちゃんは反省したようなので解放してあげる。



「み~」



 俺の肩に登ってきて、頬にスリスリとごめんなさい~をしてくるので、もちろん許す!



「俺は新たなる力を授かった。これで、姉に勝つる!」


「みぃ……」



 始まった……グラムさんの勝つる! 宣言。間違いなく勝てないな。


 また、ドラゴンになって飛び立つつもりか!?



「み~!」


「うげぇぇ……」



 ミーちゃんの本気モードの重力スキルが、グラムさんを襲う。ひれ伏したね……。



「ミ、ミー様、なぜ……」


「み~」


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