455神猫 ミーちゃん、ペロたちを見送る。

 女の子たちにエプロン類を渡してやってもらう。問題ないとのこと。沈殿したものをそのまま布で濾して乾燥させるのだが、水スキルを使える子がいたのでだいぶ楽。あとはカビないように外で干せばいい。


 道具も三セット用意した。事前に準備も必要なので時間のあるときにやってねとお願いしておく。


 自分たちが何を作っているのかわからないのもなんなので、調理場を借りて白玉作り。作っているとおこちゃまたちが集まりだす。


 全員分作るしかないのか……。



「み~」



 しょうがない。ペロたちの分は今度だな。昨日、作っておいた分も全部使っちゃおう。


 水で捏ねて量を見る。まだ、少し足りない。貴重だが豆腐も入れちゃえ。宮城のばあちゃんちでは豆腐を入れて、口当たりをよくしていたのを思い出したのだ。


 茹でている間に、黒砂糖と水飴で黒蜜作り。茹で上がった白玉にきな粉をと黒蜜をかけて出来上がり。



「「「甘~い!」」」


「「「美味し~い!」」」



 そうでしょう。豆腐が入っているから普通の白玉団子より柔らかくて、フワフワ、ほのかに豆腐の風味もあり美味しいのだ。


 ミーちゃんには特別に、餡子の載った白玉を皿に出してあげる。



「み~!」



 ペロペロ、ハムハムと餡子と白玉を交互に味わい、至福の表情。どうやら気に入ってもらえたようだね。



 手伝ってくれる女の子たちは、お小遣いはいらないから白玉団子をたまに食べさせてほしいと言ってきた。俺的にはどちらでも構わないので承諾。


 将来的にはなにか考えないと駄目だけど、いまはこれでいいかな。今後、やりたいというおこちゃまも増えるかもしれないからかね。



「み~」



 家に戻るとルーさんたちが旅の準備をしている。



「ネロ、準備ができたぜ。いつでもいけるぞ」


「じゃあ、明日の朝、出発しますか」


「任せるにゃ」


「にゃ」


「が、頑張ります!」


「み~」



 ヤンくん、まだ始まってもいないのに緊張気味。初めての野営になるからしょうがないか。


 翌日の早朝、馬に鞍と荷物を載せ準備する。このくらいの荷物ならペロの猫袋に入る量だけど、今回はヤンくんの野営の勉強も兼ねているので、一般的な方法で行ってもらう。


 代わりに、ペロの猫袋には食料がいっぱい入っている。三日ほどの行程なのに、その倍以上の行程でも大丈夫なくらいだ。ペロとセラ的には、足りないんじゃないかと不安がっているが……腹ペコ魔人!?



「で、どうすんだ? ネロ」


「ルー兄ぃ、飛ぶのにゃ!」


「にゃ!」


「み~!」


「「飛ぶ?」」



 準備が整ったようなので、全員で手を繋ぐ。馬の手綱もしっかりと握ってね。


 すぐに景色が変わる。



「村の中か? どこだ?」


「ルーさん! ユンです。珍しいですね」


「まさか、流れ迷宮の村か?」


「おしい! 流れ迷宮の村の分村になります」


「み~」



 なので、説明。転移装置からね。



「マジかよ……ネロはいくつAFを持ってんだよ……」


「ネロさん、凄いです!」



 ルーさんだって迷宮の報酬であげた、バリアの指輪持ってるでしょう。まあ、使える使えないは別として、俺はいっぱい持っているけどね。それから、ヤンくんのその尊敬するような目が眩しすぎる……。



「じゃあ、ここはニクセの北でブロッケン山の山裾てわけだな。この街道を東に進めば鉱山の町ブーセなんだな?」


「はい。街道沿いに行けば迷うことはありませんので、ペロにだけ注意して見ておいてください」


「にゃ、にゃんでにゃ~!?」



 なんでって? ケットシーは迷子がデフォルトでしょう?



「み~?」


「ひ、姫までにゃのか……」



 まあ、セラもいるから大丈夫だろう。出発する前にペロに転移プレートを渡す。



「四日目の朝にそっちに行くからよろしくね」


「しょうがにゃいにゃ。預かるにゃ」


「帰りは一瞬なので、ブーセまで楽しんで行ってください」


「おう。じゃあ、出発だ」


「が、頑張ります!」


「行ってくるにゃ!」


「にゃ!」


「み~!」



 みんなが出発した後、村を見て回る。建物や家が立ち並び、だいぶ村らしくなてきたね。


 獣人さんの代表と話をすると、第二陣を連れて来てもいいと言っている。建物のほうは順調なので、今度は畑のほうの準備を始めたいらしい。


 香辛料の苗を早く植えてちゃんと根付くか確認したいようだ。俺もそれは知りたい。実が生るには時間が掛かるだろうけど、この村の特産品となるものだからね。


 このまま、迷宮の狐獣人の村に飛び長と話をする。



「そうですか。そこまで進んでいるのですか。わかりました、みなに話をしておきましょう」



 狐獣人の赤ちゃんを抱っこさせてもらっている。いつもは邪魔者が多いけど今日は俺とミーちゃんだけなので可愛さ独占だ。


 ミーちゃんが狐獣人の赤ちゃんの顔をスリスリ、ペロペロするとキャッキャッと笑う姿は癒されえるねぇ。



「み~」


「いつ頃、向こうに移りますか?」


「そうですなぁ、畑のほうの準備が出来ているのであれば、家財道具一式に苗などの準備も必要になりますから十日ほどでしょうか」



「じゃ、その頃に一度来ますね」


「み~」



 可愛い狐獣人の赤ちゃんと別れるのは名残惜しいけど、家に戻ろうか。



「み~」


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