454神猫 ミーちゃん、しんの~じつりょくぅ~。
「それでどうなのレティ?」
「み~?」
「少年は神出鬼没だからな。馬鹿共は少年を追いきれていない。だから、泳がせている。足を出したところで、釣りあげてやるさ」
一網打尽にするようだが、そんなに上手くいくかな?
「ということは、少し餌を撒いたほうがいいのかな?」
「まだ早いな。いずれ焦れて向こうが動きだす。そのときが狙いだ。万全の態勢で誘き出してやるさ。少年」
「手を貸すかい?」
「必要ない。奴らは少年の持つ戦力を舐めている。最強の
「み~!」
うちにいるドラゴン勢のことを言っているんだろうな。でも、グラムさんは炎のブレスが吐けないから、残念ながら消し炭にはならない。氷の彫像が出来るだけだろうね。
「ほう。聞き捨てならないね。男爵はそんな戦力を隠し持っているのかい?」
「
「白狼? どこから白狼が出てくるんだい? 奴らはモンスターだよ? 王都にいるわけないじゃないか」
いますよ? うちに。
「み~」
「耄碌したな、先代の影の長。引退して正解だ」
「くっ……何を言うか、小娘!」
「私の下で白狼たちが敷地の警備をしているぞ? 把握してないんだろう?」
「なっ……な~に~! ニーアは何やってるんだい!」
「み~?」
知ってます。なにせモフモフ大好き、モフラーですから。
そういえば、ずっと忘れていたけど、ゼストギルド長に許可をもらいに行くのすっかり忘れてた。まあ、今更か。
「ふっふっふ……その程度も調べられぬのであれば、少年の真の実力を知ることなど無理だな」
「み~!」
真の実力って……俺の力じゃないですから。ミーちゃんも悪ノリしない!
「真の実力は置いといて、レティさんがうちの警護をしてくれてますし、今日は連れて来てませんが強力な護衛もいますから大丈夫ですよ。注意はしますけどね」
義賊ギルドをあとにして家に戻り、フレアさんにお茶でもごちそうしようかと思ったら、
「慣れ合うつもりはないよ」
と断られた。そんなフレアさんの態度にレティさんの額に青筋が……。ピィーと指笛を鳴らすと、孤児院のほうから白狼三頭が走ってくる。
レティさんの指示でフレアさんに向かって唸り声をあげる。フレアさんの乗ってきた馬車から、フレアさんの部下も飛び出してきて一触即発状態。
だから、やめなさいって。
「み~!」
ミーちゃんのお座りなの~! の一言で白狼たちはミーちゃんの前でお座り。さっきまでの表情から一転して、キラキラした目でハフハフし始めるする。
はいはい、お終いですよ~。さあ、帰った帰った。
「ちっ、引き上げるよ」
悪党の去り際に放つようなことを言ってフレアさんは帰っていった。
「お前たち! なんで私の言うことを聞かない!」
レティさん、拳を握りしめプルプル震るわして言い放つ。白狼たちはだってねぇってという表情でなんで怒られているのかわからず、お互いを見て首を傾げる。
そりゃ、最上位者はミーちゃんだから、ミーちゃんの命には逆らえないよねぇ。
はいはい、孤児院に行きますよ。そんなレティさんを残して、白狼たちを引き連れ敷地内の孤児院に向かった。
白狼たちが戻って来たのでお子ちゃんたちは、白狼に抱きついてモフモフ。警備していない時は白狼たちは孤児院のおこちゃまたちの相手をしてくれている。何をされても怒らない、優しいいい奴らなのだ。
孤児院の院長であるヨハネスさんの娘のアイラさんに、ちょっとしたお願いしに来たのだ。
「ネロ様、ミー様。なにか御用がおありであれば、お伺いしますものを」
「まあまあ、すぐ近くだし、ちょっと頼みたいことがありましたので来ました」
「み~」
「頼みとは?」
白玉粉の作製依頼だ。作製依頼なんて大仰な言い方をしたけど、石臼でのもち米の水挽きのことだ。
新粉と餅粉は業者に頼んで水車小屋で製粉を頼んである。残念なことに水挽きはしていないそうなので、自分でやるしかない。
試しに昨日の夜にやってみたが苦行だった……。永遠と石臼を回しながらもち米と水を足していく。すぐに飽きた……。ミーちゃんはクルクル回る石臼を、飽きもせずにずっと見つめていたけどね。
なので、孤児院のおこちゃまに丸投げしようと思った。児童虐待? 遊びの一環だよ! おしゃべりしながら交代でやれば一人で黙々とやるより楽しいだろう。お小遣いも出すしね。
「みぃ……」
アイラさんが年長の女の子たちを集めてきたので実演。食べ物なのでエプロン、三角巾、マスクを着ける。もちろん、ちゃんと手を洗った。大きな桶に布を敷いて石臼を置く。事前に水に浸しておいたもち米を水と一緒に石臼で挽く。
水はブロッケン山で汲んできた湧き水。ゴリゴリと挽いていくと白濁した水と一緒に挽かれたもち米が出てくる。この出てきて沈殿したものを乾燥させたのが白玉粉だ。
「簡単でしょう? 疲れるけど……」
だから、児童虐待じゃないからな!
「みぃ……」
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