438神猫 ミーちゃん、新しい神猫屋のメニューの感想に辛口です。
さて、ミーちゃんが去ったところで続きを開始。飲み物は十分なので食べ物だな。本店の営業が始まれば油で揚げるポテトフライやポテチなんかでもいいけど、屋台では油を使うのは厳しい。
そこで考えた。芋ははたくさんある。油で揚げる以外で美味しく食べる方法。それは……蒸かすだ! 芋をゴシゴシ綺麗に洗ってから、蒸かしてアツアツの芋に十字に切れ目をいれ、少量の塩とバターのひと欠けらをのせる。じゃがバターだ!
「こ、これは……美味しいです」
「素朴な味だけど、バターをのせると高級感がでるね」
バターは高級品とまではいかないけど意外と高いからね。載せるのと載せないのでは、別次元の味になる。
これなら手間もかからない。腹持ちもいいので老若男女問わず売れるだろう。
もう一つは団子の新作。地味だがとても美味しいくるみだ。露天街でくるみが売っているのを見て思い出した。そこで、殻を取ったものを買ってきた。
作るのは簡単すり鉢ですって水飴を加えるだけ。ねっとりとして濃厚な味わい。俺は大好きだ。
「こんな食べ方があったなんて……」
「この濃厚な味はやみつきになるね」
最後に栗を用意。
「栗ですか……」
「栗はよしたほうがいいと思うよ……」
エフさんまでそう言うか……。あまりにも栗は忌避されている。栗は美味しいのに貧乏人が食べるものとの風評被害を受けている。なので栗の名誉挽回のためにも頑張る。
熱湯に皮ごと栗を入れ少し煮る。お湯を捨てて皮むき。皮が剥けたら、再度お湯に投入して灰汁取り。灰汁取りが終ったら水と水飴で煮る。何度か水飴を投入し煮詰める。十分に煮詰まったら蒸留酒を少々投入。なんちゃってマロングラッセの出来上がり。
「これがあの栗ですか……」
「これは高級菓子だね……」
ついでにもう一つ、蒸かした栗の皮を剥いて裏ごしして水飴を加え綺麗な布で包んで絞れば、栗きんとんだ。
「これは栗だとわかりますが、なにかこう
「これはお茶うけにぴったしだよ」
さて、冬のメニューを考えてみたけど、どうでしょうか?
「はい、これなら今までのものと変えても十分に売れると思います」
「本店が営業を開始すれば、また別のメニューも増やせるので、それまでは屋台神猫屋で頑張ってください」
今回作ったものをみんなにも試食。
「へぇ、ワインを温めても旨いんだな」
「これは栗でしょうか? この香りは蒸留酒?」
「新しいお団子は、いままでににゃい濃厚で深みのある味にゃ」
「にゃ」
「み~」
ミーちゃんも栗きんとんをルーくんたちとおチビちゃん姉妹と食べてみて、まあまあなの~でも餡子にはかなわないの~との辛評。美味しいと思うけどなぁ。ルーくんたちは気に入ってくれたようだ。
ヤンくんとカヤちゃんも一口ずつ食べ至福の表情。お互いに顔を見合わせ頷いている。
明日から神猫屋に出すために、イルゼさんとエフさんとクリスさんとで仕込み。その間にホットワイン以外のハチミツ生姜湯とホットハチミツレモンの作り方をクリスさんとカヤちゃんに伝授。
ホットワインはイルゼさんとクリスさんに伝授する。アルコールが飛ぶとはいえ、さすがにカヤちゃんには教えられない。
なんとか、明日にならずに仕込み終えた。
翌朝、ゼルガドさんとミンサーの改良点を話し合い、火薬の原料が見つかったので近々王宮で実験が行われることを伝える。
「そうか、見つかったのか……平和利用じゃなく戦争に使われるんだな」
「利用する人の考え次第ですね。でも、もう後戻りはできません」
「そうだな。作らねぇことには始まらねぇな」
そこで、ゼルガドさんに簡易の火縄銃の作製をお願いする。既に図面は作ってある。
「ネロの銃をベースに改良すれば、すぐに造れるぜ」
「あと、これを見てもらえませんか、迷宮で見つけた増幅装置というものなのですが」
「増幅装置ねぇ。言葉の意味どおりならまんまだろな。ちょっと預かって調べてみるわ」
「よろしくお願いします」
ペロたちは依頼を受けにハンターギルドに出かけている。レティさんはこたつの中でおチビちゃん姉妹と丸くなっている。北国の人なんだから寒さに強いのでは? 夏は暑い暑いって言ってるし。
「それは違うぞ。少年」
「なにが違うんですか?」
「寒ければ厚着したり、火にあたればなんとかなる。しかし、暑いのは服を脱ごうが、風を受けようが、暑いものは暑いんだ! わかるか! 少年」
「みぃ……」
こたつから顔だけ出して、亀みたいな姿で言われても説得力がない。こたつの中にいたクオンとセイランもレティさんの両脇から顔を出す。ケルべロスかぁ!?
そういえば、そろそろ牙王さんの所に毛布を持っていかないとな。ちょこちょこと露天街で買い溜めしてるので、かなりの量になっている。
「今日はどうした? ミー様」
「み~」
「頼まれていた毛布を持ってきました」
「それはありがたいです。ネロ殿。ブロッケン山もだいぶ冷え込んできていますので」
洞窟に入り動くことができなくなった白狼たち一頭一頭に毛布を敷いてあげる。みんなミーちゃんに感謝のペロペロを送っている。俺にはないけどね。気持ちだけで十分さ……。
次はおこちゃまたちの部屋。枯れ草が敷いてあるその上に毛布を敷いていく。フカフカだ。おこちゃまたちがフカフカの毛布にダイブ! なぜか、ミーちゃんもダイブ!
「み~!」
楽しそうでなによりです……。
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