436神猫 ミーちゃん、聞いて驚け、見て笑え!
「……わ、我々、義賊ギルドには義賊ギルドなりのやり方があるから、今回は遠慮しておきますわ……」
「ごうつくババァが」
「レティ、なにか言ったかしら?
「いえ、なにも」
「みぃ……」
ははは……やっぱり人選間違えたかも……。
「王宮から人を出すということは、我々の監視ってところかしら?」
ミストレティシアさん、気を取り直してさっきの話を切り返してくる。
「さすがにレーネ様のポケットマネーを使うので、不正支出や横流し、脱税は許されません。国民の指標となるお方ですから」
「我々がそんなことをするとでも?」
「もしもの時のリスクヘッジですよ。王宮側も出資する以上、失敗は許されないでしょうから。内部の問題なら尚更です」
「み~」
ミストレティシアさん、考え込んでいる。別にそこまで考えることか? 軌道に乗せるまでは大変だけど、利益はかなりでるはず、ローリスク、ハイリターンだと思うのだけど……人の欲とは際限ないからね。
「いいでしょう。この話、義賊ギルドも出資、協力いたしましょう!」
ミストレティシアさん、考えがまとまったのか、なんか吹っ切れたようだ。だが甘い、監査役は義賊ギルドの
「み~!」
そして最後にペロとセラのことだ。二人は出資金が回収された後、配当は不要。代わりに商品の品質管理役に任命し抜き打ちでの品質確認をさせることを認めてもらう。
「ペロちゃんが品質確認?」
「これでもペロはうちでもっとも優秀な舌の持ち主です。彼の舌を満足させられるものであれば、間違いなく一級品でしょう」
「み~!」
「そ、そこまでなのね……」
「味見はペロとセラにゃんに任せるにゃ!」
作っておいた計画書をミストレティシアさんに渡す。計画書に沿って準備は進めていてもらう。細かい打ち合わせは後日三者が揃った時にすることでまとまった。レーネ様の誕生会に間に合わせるため、急務になる。
忙しくなりそうだ。
「そうそう、最近、ネロくんのことを嗅ぎまわっている連中がいるわ。うちでも注意を払っておくけど、身辺には気を付けなさいね」
「みぃ……」
また、さらりと言ってくれる。どこのどいつだよ! 本当に面倒だな。そろそろ、グラムさん帰ってこないかなぁ。
「みぃ……」
帰りは馬車で送ってくれるというのを断り、ペロを連れて露天街お散策。パセリとローズマリーなどを買って帰る。ペロは焼き串と焼き栗を屋台から買っていた。焼き栗はホクホクしていて美味しかった。追加で大人買いしてしまった……。ミーちゃんバッグに入れておけば出来立てだから問題ない。
さて、せっかく
使うお肉は
エフさんに手伝ってもらいながら、ミンサーにお肉を入れミンチ作業開始。ミンサーを回すのはエフさん。俺はミンサーに水を掛け、水スキルで冷やす係。いい感じでミンチになり出てくる。ゼルガドさん、やるな。
混ぜるのもエフさんに任せて、俺はお肉を冷やすボールの水を冷やす係。まだ、口以外出していない。
すべて混ぜ終え、二種類のタネが出来た。あとは腸詰の名のとおり腸に詰めていく。やっと、俺の出番だ。ねじり方をエフさんに伝授して、出来上がったものを茹でる。
今日の夕飯に出すので火が通れば完成。出来を確かめるために各数本ずつしっかりと茹でる。
なぜか、ペロが皿を持って立っている。後ろにはルーくん、ラルくん、そしてクオンとセイランまでお座りして待っていた……味見だけだからね?
「こ、これは……肉汁の大噴火にゃ~」
どこの食レポだ? ペロはあまりの旨さに放心状態になっている。
しかし、これは旨い! 脂の少ないほうは香辛料を利かせたので、ちょっとぴり辛。これはちょっと大人の味かな。脂の多いほうはハーブを利かせてある。プリップリで口の中で肉汁があふれ出す。これはパンに挟んで食べたい。
ルーくんたちはもっとくれとすがりついてくる。だから、夕飯にだすから、今は駄目!
ルーくん、ラルくん、クオンにセイランは悲しそうにトボトボと居間のほうに歩いていく。たまに立ち止まり、振り返って俺を恨めしそうに見る。そ、そこまでか……。
居間に行くとミーちゃんがこたつから顔を出す。そう、こたつだ。猫用品に新たに加わったのだ。五十セン四方なのだが敷き布から布団までちゃんと完備。寒くなってきたこの時期を知っていたかのようなチョイス。実はポンコツ神様、見てるんじゃないですか?
神ねこたつ あったかぽかぽか。ちゃんとお布団で寝ましょうね!?
誰に訴えかけているのだろう? 自分自身か? ポンコツ神様だからな、朝までこたつで寝たんだろうな……。
「み~」
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