434神猫 ミーちゃん、レーネ様を籠絡する!?

「発色剤はすぐに手に入れてやる。すぐに成果をみせろ。現物を見る。まずはそこからだ」



 王妃さんの所に戻り、先ほどのことをご説明。俺の言葉足らずのところはニーアさんが補ってくれる。



「そうね。研究費用を出すのはやぶさかではありません。でも、ネロくんがそこまで大見栄を張ったのだから……わかるわよね?」


「み~?」



 ぐぬぬぅ……そう切り返してくるか。さすが侮れぬな、王妃様。



「今、義賊ギルドと神猫商会の共同出資であるお菓子のお店を出そうかと考えています。うちからはペロとセラが出資しレシピを提供します。義賊ギルドからは、店、人、材料を出してもらおうと思っていますが、どうでしょう? レーネ様もその話に乗りませんか?」


「ペロしゃんとセラしゃん? やりまちゅ!」


「み~!」


「ちょ、ちょと、ネロくん!? 何を企んでいるの!?」



 何も企んでなんかいない。そう企んでなんかいないんだ。ヒッヒッヒッ。


 そこで、説明。ペロとセラが王都でプリンのお店を開きたいと思っているので、以前、義賊ギルドのほうで興味があることを言っていたので共同出資でやれないかと考えていること。


 だけど、ペロとセラでは義賊ギルドに、いいように手玉に取られるであろう未来が見え見えであること。そこで、出資者を増やし、義賊ギルドをけん制することを考えていること。その出資者にレーネ様を誘い、共同出資者として監査役を派遣してもらおうと思っていることを話す。



「それと、研究資金にどう関係があるのかしら?」


「み~?」



 ペロとセラの出資金回収の後は、ペロとセラのオーナー権限のプリンを食べる権利以外は、神猫商会分の配当金は全て研究資金に差し出すと話す。



「そこまで売れるかしら?」


「売れます。間違いなく」


「み~!」


「なら、どうして神猫商会がやらないのかしら?」


「面倒……忙しくて手が回らないからです!」


「みっ!? み。み~」



 王妃様のそれが本音か……という目線が痛い。それに、レーネ様のお店の売り上げの一部は医学の発展に使われると言えば、更にレーネ様の株が上がり、売り上げもアップするだろう。



「監査役ねぇ。どうかしら? ニーア」


「おそらく、ネロ様に考えがあるかと」



 ほれ、言ってみろと、ニーアさんが目で促してくる。



「フレアさんなんかどうでしょうか? 義賊ギルドとは長い付き合いのようですし」


「み~」



 ニーアさんがなるほどという顔になる。そして、ニヤリと笑った。ニーアさん、悪い顔してますよ! 俺が考えたことなんですけど。



「レーネ様のたっての願いとあれば、フレア様もお断りになられないでしょう」


「そう、フレアね。適任ね。フフフ……」



 王妃様も悪い顔をしている。哀れ、フレアさん。



「それでは、それで話を進めてきます」


「み~」


「いいでしょう。レーネが出資して、その収益が医学の発展に使われるわけね。いいわ、急いで進めて頂戴。レーネの誕生会で発表して貴族にも医学発展の一翼を担うよう寄付をさせましょう」



 ははは……さすが王妃様、抜け目がないな。



 じゃあ、急いで話をつけてきますか。王妃様には火薬の原料が集まり次第、王宮の職人と俺と数人を交えて実験を開始したいとお願いして了承された。


 そして、ゼルガドさんを参加させえるつもりだ。あの人の頭脳は絶対に役に立つ。あとは宗方姉弟かな。知識を広めた以上最後まで見届ける責任があるからね。


 帰る前に宮廷料理長に頼まれていたオークを置いていった。量が量だけに宮廷料理長の顔が引きつっていたね。解体する人は大変だ。


 家に戻りレティさんにミストレティシアさんとのアポを取ってもらうと、すぐに了承がもらえ明日の午後に迎えの馬車を出してくれることになった。


 明日は俺とミーちゃん、ペロとレティさんだ。セラも行きたそうな顔をしていたけど、ルーさんと一緒に宗方姉弟を鍛えてもらうようにお願いした。


 本当はフォルテのローザリンデさんに預けたいが、ゼルガドさんとの打ち合わせもあるので当分はこちらにいてもらう。ある程度、話がまとまればローザリンデブートキャンプに送り込む。これ、決定。



「ようこそ、ネロくん。可愛いお友だちもね。始めまして」


「ペロにゃ! よろしくにゃ。おばぁ、フガフガ……」



 最後まで言わせないよ。耳元でお姉さんと言えとドスを利かせ囁く。



「お、お姉さん!」


「ペロちゃんは可愛いわねぇ~」


「ババァがお姉さん、笑わせる」


「レティ、なにか言ったかしら?


「いえ、なにも」


「みぃ……」



 やばい、人選間違えたかも……。



「みぃ……」



 応接室に案内されお茶を飲みながらの歓談。ペロはお茶うけに出されたクッキーを口いっぱいに頬張り、まるでリスかハムスターだ。



「最近は教会で水飴が売られ始めたおかげで、庶民でも安価に甘味料が買えるようになったわ。一枚噛ませてもらえれば、いくらでも儲けれるのに惜しいわ」


「フローラ様印ですからね。暴利は許されません。売り上げのほとんどが孤児院の運営に充てられるそうです」


「み~」


「新しく神官長になられたヨハネス様とネロくんは懇意の仲だとか。前の神官長はゴミでしたけど扱いやすい御仁だったのに、今の神官長は堅物だそうね?」



 あのゴミ神官長に、義賊ギルドが一枚噛んでいたのか……。彩音さんのいない今、教会に手を出せば火傷じゃすまないぞ。


 一言、注意が必要だな。



「み~」


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