426神猫 ミーちゃん、レーネちゃんを巻き込むことに賛成です!

 べつにペロが全部やる必要はないと思うけど?


 例えば、ペロとセラが資本金を出して誰かにやらせるとか、方法はいくらでもあると思う。ペロオーナー、セラオーナーなんてね。



「ペロオーニャー……いい響きにゃ!」


「にゃ!」


「ネロ! お金頂戴にゃ! ペロはオーニャーににゃる!」


「にゃ!」


「み~?」



 ペロとセラから預かっているお金は結構ある。流れ迷宮での配当金にハンターとして稼いできたお金の三分の一は貯金している。それでも、プリン屋を始めるには心許ない。


 サイクスさんのように、玉子や牛乳を毎日卸してくれる農家さんを知らない。サイクスさんは料理人として実績があり、そういう人脈があったからこそ開業できたと思う。


 もう一つ問題がある。王都はほかの町に比べるとい物価や家賃が高い。その分、プリンの単価が高くなる。庶民が気軽に買える値段にはならないだろう。


 逆にお金持ちを対象とするなら、店舗や装飾にそれなりの見栄えにしないといけなくなるので、更にお金が掛かることになるね。相当な資本金が必要になってくるだろう。



「た、足りにゃいにゃか……」


「にゃ……」


「みぃ……」



 ペロとセラだけで無理なら出資者を募るのもありかな。宗方姉弟は迷宮で稼いでいる。オーク狩りもしているので貯金は十分にある。


 あとはルーさんかな。ベテランハンターだし、流れ迷宮で稼いだ分もある。レティさんも稼いではいるけど、孤児などの救済にお金を使っているから無理だろう。



「トシ、カオリン、ルー兄ぃ、出資してにゃ~」


「にゃ~」


「にゃんこ先生たちが、プリンを全部食べてる姿しか思い浮かばない……」


「にゃんこ先生は石橋を叩いて渡っても、足元のバナナの皮ですべって川にドボン! 駄目だこりゃ~」


「甘いの苦手なんでな、パス」


「そんにゃ……」


「にゃ……」


「みぃ……」



 ミーちゃんもペロたちと一緒に悲しそうな顔をしているけど、ミーちゃんも出資する気はないようだね。



「みっ!? み~♪」


「姫ぇ……」


「にゃ……」



 となると、外部から出資者を募るのもありか?



「あてはあるにゃ?」


「にゃ?」



 ないこともない。いや、おそらく、話を振れば必ず乗ってくると思う。農家の伝手や店舗、人材関係も解決する。問題は相手のほうがペロたちなんかより、やり手すぎることだろう。ペロたちが相手するには少々役不足だ。うーん、教えるべきか……。



「義賊ギルド……」


「みっ!?」


「義賊ギルドにゃ?」


「にゃ?」



 ペロたちはレティさんを見る。



「少年。にゃんこくんたちでは手玉に取られるぞ」



 ですよねー。正直、お薦めできない。だが、そこにもう一つ組織を加えればどうだろうか? 面白くなるなるのでは?


 それに、それはペロじゃないと上手くいかないことだ。



「そこで、王宮……というよりレーネ様を巻き込んでしまえばいい」


「み~?」


「レーネちゃんにゃ?」


「にゃ?」


「み~!」



 レーネ様はペロが大好き。ペロの言うことなら嫌とは言わないだろう。出資者の一人にレーネ様を入れれば。ミストレティシアさんも阿漕なことはできない。できれば監査役に人を出してもらいたい。フレアさんとか……。



「み~!」



 まあ、もう少し計画を練らないと駄目だ。後はペロとセラが本気かどうかだな。



「ペロはオーニャーににゃる!」


「にゃ!」


「そして毎日プリンを食べるにゃ!」


「にゃ!」



 だから、その動機が駄目駄目なんだよ……。



 次の日、オーク狩りが終わった後、宗方姉弟を伴ってパトさんの村に来た。



「ネロさん、ミーちゃん、新しいお友達もよく来たワン」


「姉さん、可愛いわんこだよ」


「モフモフ~」


「み~」



 ミーちゃんはパトさんにダイブして、お耳にスリスリ、ペロペロ。


 おい、宗方姉弟、その手をワキワキさせるのやめなさい。どう見ても不審者だぞ。気持ちはわかるけど。


 宗方姉弟がおこちゃまたちと戯れてる間に話を進めよう。



「塩かわん? 山で岩塩が取れるワン。そこまで不足はしてないワン」



 そ、そうなんだ。意外と多くの岩塩が取れるようだね。欲しい場合は塩や藻塩を譲ることにしよう。


 じゃあ、本命だ。商隊の護衛の件だ。妖精族のみなさんが生活できる建物が完成している。いつ来てもらっても問題ない状況だ。



「まだ、商隊は出せませんが町に慣れるため、生活してみるのはどうでしょう?」


「み~」


「いいのかワン? 迷惑じゃないのかワン?」


「全然迷惑じゃありませんよ。牙王さんの所からも新たに商隊の護衛をしてくれる白狼を頼んでいますので、一緒に王都に来ればいいんじゃないでしょうか?」


「み~」


「そうワン。みんなで行けば楽しいワン。牙王さんと話して出発する日を決めるワン」


「途中、フォルテの町に寄ってください。一泊できるように話をしておきます」


「助かるワン」


「み~」



 残念だけどフォルテだけ、俺の領地では苦労させたくない。


 さて、こっちの話はついたので、今度はフォルテだな。向こうでもいろいろ話をつけないといけないことがあるからね。



「み~」

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