419神猫 ミーちゃん、キャベツがどうしたの?
武器無しオークも狩り終わると、宗方姉弟は疲れてぐったり。仕方ないので、少しだけご褒美を揚げよう。
狐獣人の村に戻り、長老がいつもあやしている赤ちゃんを抱っこさせてもらう。ミーちゃんが赤ちゃんの顔をペロペロするたびに、赤ちゃんがキャッキャッと笑顔になる。
「「癒される~」」
「にゃ」
「み~」
セラも尻尾を使って赤ちゃんをあやしている。猫と赤ちゃんの組合せは、見ていて飽きることがないね。
周りに集まって来た、お子ちゃまたちにミーちゃんクッキーを配ってモフモフを楽しむ。お子ちゃまたちはふかふかだ。
「み~」
ということで、本日はこれまで。明日も特訓だからな。
「「えぇー」」
うちの戻り、窓際の椅子に座り思考にふける。ミーちゃんは俺の膝の上でお昼寝。ルーくんと、ラルくんも足元でお昼寝中だ。
さて、考がえることはいっぱいあるが、まずはレーネ様の誕生会に出すケーキの件だ。
白砂糖が手に入らない以上、白いケーキは諦めるしかない。見た人を驚かせるインパクトがあり、尚且つ誰が食べても美味しいと言わせなければならない。
すぐに思いついたのはタルト。フルーツをふんだんに使ったタルトならインパクトも味も申し分ない。がしかし、冬に入ったこの季節にフルーツは手に入りにくい。ヴィルヘルムに行けばいくらかは手に入るだろうが、種類と数を揃えるのは難しい。
となると、ナッツ系のタルトも考えたが、色がねぇ。みんな茶色になってしまう。
市場で栗を見つけたのでモン・ブラン・オ・マロンいわゆるモンブランも考えた。だけど、栗って庶民の食べ物で、それもどちらかというと貧困層が食べるものらしい。なので、レーネ様の誕生会にはちょっと出せない。美味しいのにね。
ちなみに、栗の甘露煮を大量に作って瓶詰にして保管している。サツマイモもあるので栗きんとんを作りたい。神猫屋のお団子の季節限定で出してもいいかも。ずんだより作りやすいから、大量に作れる。これは売れる予感。
話がそれた。そこでケーキ屋さんのディスプレイを思い出す。前にケーキ屋でバイトしていたのですぐに頭に浮かぶ。
やはり、彩的にはフルーツのタルト、フルーツを乗せたショートケーキ、フルーツの盛られたババロア辺りだろうか。次に思い出すのがチョコレート系。これはカカオが見つからないので論外。
うーん。チーズケーキ? 味はともかく地味だ。パイ系も同じだ。リンゴのボストンも好きなんだけど地味だからねぇ。
ショーケースの端のほうにあるのはプリン。バケツプリンか!? ホイップクリームで飾ればインパクト的には最高だ。造るのが大変そう。特に材料が。
さて、あとはなにがあったかな? そうそう、忘れてはいけないあいつがいた。誰にも愛され、俺の好物でもある。
そいつは……シュークリームだ!
「み、みぃ……?」
待てよ。シュークリームといえば、あれがあったな。確か結婚式などでウエディングケーキにも使われていたはず。
シュークリームを重ねて飴をかけたもの。そう、クロカンブッシュだ。
作り方は簡単。難を言えばやはり玉子かな。どこかにダチョウのような大きな卵を産む鳥はいないだろうか。
夕方までまだ時間もあるし作ってみよう。
「み~」
ミーちゃんを最近だいぶお腹の大きくなったカティアさんに預けると、ミーちゃんはカティアさんのお腹に大きくな~れ~と言ってスリスリ。
「み~」
生まれてくる赤ちゃんが待ち遠しいミーちゃんを、一撫でして調理場に移動。
エフさんと材料を確認しながら、手順の確認もする。材料的に十個くらいかな。カスタードがどうしても卵が必要だからね。
エフさんに手伝ってもらってささっと作る。シューもしっかりと膨らんでいい感じだ。商業ギルドに行く時間になったのでカスタードは入れずに冷ましておく。
「神猫商会様の条件で構わないと、ギルド長より許可を頂いています」
今日、王宮での話し合いで塩の買い付けに王都の商会の合同での、商隊が出されることが決まったそうだ。
早急にことを進めても、どうしても二十日は準備にかかるそうだ。レーネ様の誕生会の後に出発となる。仕方ないだろう。だけど、ブロッケン山の街道を使えるので少しは時間短縮になると思うしかない。
担当さんと話をして、王都に千五百箱、クイントに千箱、フォルテに五百箱卸すことになった。そこから各町に分配してもらうことになる。クイントの商業ギルドには行きたくないのだけど、そうも言ってられないので行くしかない。王都の商業ギルドで手紙を書いてもらうことにした。
クアルトに運ぶ術がないのが残念、クイントから商隊を出してもらうことになる。最悪、国の歩兵と輜重隊を出すらしい。スミレがいれば簡単だったのにね。
ユーリさんとスミレはいつ帰って来るんだろう? あの二人なら問題はないとは思うけど。
「み~」
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