418神猫 ミーちゃん、ニャイトに特命を与える。
さて、どうするか?
ヒルデンブルグで手に入れて来た塩を高値で売る。そうすれば、ウハウハだね。
ここは、損して得取れで商標ギルドに恩を売っておくの二択だ。
神猫商会の本店で売るには三万箱は多すぎる。それに本店では藻塩を売るつもりだ。
「み~」
ですよねー。仕方ない、商業ギルドに恩を売りますか。だけど、こちらの条件を飲んでくれたらだ。
「先日、ヒルデンブルグに行った際に、塩を仕入れてきたのですが売ってもいいと思っています」
「み~」
「本当ですか!」
「ただし、条件があります」
「じょ、条件ですか?」
「今回仕入れた塩は仕入れ値でお売りします。代わりに、塩を売りに来た商人から高く買ってあげてください。低利益でも塩を運んでくれているのですから」
「み~」
塩は嵩張るし重い。高利益もあげられない。それでも運んでくれる商人はできた人だ。少しでも、そんなまっとうな商人を応援したいよね。
「み~!」
担当者さん、考え込んでいます。
「私個人としては問題ありませんが、ギルド長と相談させて下さい」
「わかりました。それでは、明日の夕方にまた来ます」
「み~」
家に帰るとペロたちも戻ってきている。
「み~!」
「なんにゃ? 姫。特命にゃ?」
「そう、特命を与える。謹んで受けよ。ニャイトペロ」
「お、おぉー。にゃんか格好いいにゃ!」
ペロは扱いやすくていい。では、使命をを言い渡しましょうか。
「ニャイトペロ。明日、ヴィルヘルムにて王宮に養子に出す子猫を、いつものとおり探して支店まで連れて来るのだ!」
「拝命するにゃ! ……にゃ、にゃ? えぇー、またにゃのか!」
「み~」
そう、またにゃのだ! 頑張って可愛いミーちゃんの弟妹分を探して来るのだ! ニャイトペロ!
「というわけで、ルーさん。すみませんが明日はお休みでお願いします」
「おう、構わねぇよ」
「宗方姉弟とセラは、朝一俺と一緒に行くところがあるから、そのつもりで」
「み~」
「にゃ」
「「はーい」」
翌朝、ペロをヴィルヘルム支店に置いて、夕方に迎えに来ると言って戻る。頑張ってくれたまえ、ニャイトペロ。
「み~」
今度はセラと宗方姉弟を連れ、流れ迷宮の狐獣人の村に飛ぶ。当分の間、朝はオーク狩りをするからだ。二日あれば、宮廷料理長からの依頼数は集まるけど二人の訓練も兼ねている。
村で塩が必要ないか長老に聞くと、こちらも近くで岩塩が採れるそうで必要ないと言われた。さすが流れ迷宮、至れり尽くせりだな。
「み~」
オークリーダーはいつもの如く、部屋の真ん中に佇んでいる。ずっと立っているのだろうか? 食事などはどうしているのだろう?
上の階層の隠し部屋にいたオークは飢餓、狂気といったバッドステータスが付いていた。飢餓があるのだからお腹が空くと思うのだけど?
管理者がエサを与えているのだろうか? 謎だ。この前、聞いとけばよかった。
戦うのは宗方姉弟。危険と判断された場合のみセラが加勢する。
「僕たち二人だけでですか!?」
「鬼がいる。オーガがいるぅ……」
宗方姉弟は身に付けた雷スキル全開で攻撃。されど、オークリーダーもダメージを負いながらも反撃。トシが盾役になり、隙を突いてカオリンの百花繚乱がさく裂しオークリーダーを雁字搦めしたように見えたが、馬鹿力で引き千切られる。
「決定打に欠けるね」
「み~」
「にゃ」
「今の逆で、カオリンがけん制して、トシが攻撃に回らないと駄目だね」
「み~」
「にゃ」
終らない……宗方姉弟は疲れてきて動きが悪くなってきた。対してオークリーダーはボロボロだが体力的にはまだまだ行けそう。
「セラ、二人が怪我する前にお願い」
「にゃ!」
走り出したセラが分身で分かれ、後ろに回ったほうのセラがジャンプしてオークリーダーの頭を猫パンチ! 脳震盪でも起こしたがふらついている。そこを見逃さず、正面にいたほうのセラがオークリーダーの喉を噛み千切って終了。
「まだまだだね」
「み~」
「にゃ」
「「はい……」」
さあ、次行くぞー!
「「鬼がいる。オーガがいるぅ……」」
君たちが強くなるためだ、優しくしたい心を抑え、心を鬼にしてやってるんだ。この気持ちを汲んでほしいものだよ。
スキルの使い方、戦術も含め話し合いながらオーク狩りを進める。オークリーダー以外は無難に狩れている。後は攻守の入れ替えと慣れだろう。
カオリンが戦いの中立ち止まるたび、セラの弱猫パンチでの指導が入る。なかなかの鬼教官だ。強くなれよ。二人共。魔王討伐は君たちの両腕にかかっている!
「み~」
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