395神猫 ミーちゃん、部下のことで謝罪する。

「前にも言いましたが、一度会っています。ついでに言うとそのドラゴンが王都から飛び立って行った迷惑ドラゴンです。あれだけ気をつけるように言っておいたのに……」


「みぃ……」



 レーネ様たちもテーブルに座ってお茶を飲み始めたので、ミーちゃんクッキーを出す。ルカもノアもカイもカリカリ美味しそうに食べている。レーネ様はハムスター状態……明らかにペロの行義の悪さの悪影響が出ている。



「考えられる人物は二人ね。ネロくんの第二夫人のレティさんはないわね。残るはネロくんの護衛の……グラムさんだったかしら? その人しか考えられないわ」


「み~」



 ニーアさんも王妃様と同じ考えに至ったようで頷いている。



「只者ではないと思っていたけど、ドラゴンだったのね……」


「不遜な態度も頷けます。ドラゴンであれば致し方なかったと思われます」


「みぃ……」



 うちのドラゴンがご迷惑おかけしました……ってミーちゃんが謝る必要はないと思うよ。ドラゴンから見れば人族の王族といっても、なんの意味もないことだから仕方がない。まあ、グラムさんは他のドラゴンと比べても不遜だけどね。クリスさんたちが優秀すぎるだけなのかな?



「それで、そのドラゴンのグラム様はどうなされたの?」



 グラム様……ってさすがに手の平を返しすぎでは?



「実家に帰ってます」


「み~」



「実家に帰ってるって……夫婦喧嘩じゃないのですから……」



 この世界でも夫婦喧嘩すると実家に帰っちゃうんだね。どこの世界でも同じなんだ。子どもを連れて実家に帰らせていただきます! は定番なんだな。



「み~」



 女は大変なのよ~ってミーちゃんは経験ないでしょうが! それとも、ポンコツ神様と見ていたマンガやテレビの影響か!?



「み、み~」



 目が泳いでますよ。本当にあのポンコツ神様は……こっちも悪影響だ。



「もうすぐ戻って来るはずです。ペロたちも戻って来てもいい頃なんですけどねぇ」


「ペロしゃん! セラしゃん!」


「戻って来たら必ずお連れしてね。もちろん、ペロちゃんたちもよ。迷宮や道中の話が聞きたいわ」


「ペロ様であれば、話題は尽きぬかと」



 ニーアさん、恐らく、いや必ずそうだと思います。絶対に自分から厄介事に首を突っ込んでいるはずです。ルーさんが頭を抱えている姿が目に浮かびます。



「み~!」



 そんな話をしていると一人の侍女さんが来て、ニーアさんの耳元で何かを話している。



「アンネリーゼ様。準備が整ったようです」


「そう。では、ニーアお願いね」


「承知しました。それではネロ様、ご同行お願いします」



 話をしている間に転移門の設置の準備をしていたようだ。


 椅子から立ち上がるとなぜか侍女さんたちに囲まれて厳重に目隠しをされ、尚且つ頭から袋を被せられる。



「ネロくん。これも国家機密だから許してね?」



 まあ、しょうがない。でも、息苦しいうえ真っ暗で足元がおぼつかない。両脇に誰かが来て腕を組んでくる。ポムっとした感触が腕に当たったことから、侍女さんが支えてくれるらしい。むふっ♡



「みぃ……」



 ミーちゃんのなんとも言えない呆れ鳴き声が近くで聞こえるので、ニーアさんでも抱っこしているのだろう。



「ネロくんにはこのまま転移門の設置をお願いするわ。こちらで用意した馬車で移動し帰りも送るから、乗ってきた馬車はこちらで帰らせるから安心して」


「わ、わかりました」



 その後、両脇を支えられてドナドナされる。どうやら、城内を歩き回って俺にどこに設置するかわからなくさせるつもりのようだ。


 だけどね? 俺ってマップスキル持ちなわけで……全部マップに移ってますよ? いいのかな? 俺がマップスキル持ちって知ってるはずだよね? まあ、形式美って言葉もあるから余計なことは言わないよ? コンクリートに詰められて湖にドボン! は嫌だから。


 地下に行ったり塔を登ったり、ちょっと疲れた頃にその場所に着いた。場所はゴモゴモ……内緒です。


 被っていた袋を取られて目隠しも外してもらう。誰も一言もしゃべらないで俺を見ている。さっさとやれってことですね。


 転移門の紙を出して火をつける。体から何かが抜ける感覚があるので設置できただろう。



「み~」



 設置できたと言おうとしたら口を塞がれ、また目隠しと袋を被せられドナドナされる。


 だいぶ歩き回った後に今度は馬車に乗せられて移動。貴族街をあちらこちらに移動してから平民街に出た。平民街に出てからも大きく道を変えながら二周して貧民街近くに止まる。



「みぃ……」



 ミーちゃんも飽きちゃった……と言っております。


 また両脇を支えられて歩き出す。だがしかし! 両脇を支えてくれているの女性じゃない! 明らかに男だ。腕に当たる感触がゴツゴツしてる……。周りも数人に囲まれているのも気配でわかる。



「み~! み~! みぃ……」



 えっ!? レティさんがいたの? 目を合わせたのに無視して行っちゃった……ってしょうがないと思うよ。この状況で声はかけずらいでしょう。ニーアさんのことは知ってるから、面倒事にならないように隠れたんだと思う。


 それに貧民街にいたってことは、病気の子たちの所を回っていたんだろう。ミーちゃんのミネラルウォーターを渡しているから。


 それよりまだ着かないんですか?



「み~?」




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