378神猫 ミーちゃん、烈王さんだからね。で突き通す。

 すごすごと歩いて来たミーちゃんを王妃様の前にお座りさせる。


 さて、どこから話したものか。



「そもそものきっかけは大公様です」


「父から聞いているわ。竜神島に住まうドラゴンの長がネロくんに会ったという話ね」



 そう、そこから烈王さんとの付き合いが始まったんだ。


 みなが恐れるドラゴンの長。ヒルデンブルグの盟友でこの世界の絶対強者。どれだけ怖いのかと思ったけど、とても気さくなドラゴンさんでした。


 気さくなドラゴンというのは、いまだに信じてもらえないけどね。



「そこで、ドラゴンの長である烈王さんがミーちゃんをいたく気に入ってくれたんです。それに、烈王さんはお酒が大好きで、神猫商会から定期的にお酒を買う約束もしてくれました」


「そ、そう。ミーちゃんの可愛さはドラゴンも認めることなのね……」


「み、み~♪」



 ミーちゃん、くねくねダンスを踊り照れてます。



「でも、どうやって竜神島に渡るのかしら? 父に頼んでるの?」


「いえ、直行便がありますので、大公様にはご迷惑をお掛けしていません」


「み~!」


「直行便?」



 直行便というより直行道? ここは言い訳に使うために使ったことはないけど、もう一つの方法も開示しておこう。



「ドラゴン直行便と転移門があります」


「「!?」」



 王妃とニーアさんの目が厳しくなる。なにか変なこと言ったかな?



「ネロくん。自分で言ってることを理解してる?」


「なにかおかしな点でも?」


「ドラゴン直行便は良いわ。予想がついていたから。でも、転移門ってなぁに? ネロくんはそれを何度も使っているのかしら?」


「道具は使ってこそ意味があると申します」


「み~」



 王妃様は更に厳しい目付きになり、ニーアさんは目頭を押さえて首を振っている。



「一応聞いておくけどその転移門は誰が作ったものかしら?」


「烈王さんですが? 逆に長距離用の転移門って作れる人って居るんですか? 短距離なら作れる人が居るって聞いたことがありますが」


「居るわけないでしょう!」



 じゃあ聞かなくてよいのでは? と思ったのは俺だけじゃないはずだ……。



「ネロ様。長距離を移動できる転移門となれば国宝級の代物です。誰でも使えるものなのでしょうか?」



 ほう。国宝級なんですね。でも、使えるのは俺とミーちゃんだけです。



「俺とミーちゃんだけですよ? 短距離で良ければ烈王さんが作った、誰でも通れるものはありますけどね」


「み~」


「「!?」」


「ネロくん!? その話詳しく話して!」



 なんか凄い喰いつきだ。



「構いませんが……」


「ちょっと待って! ニーア!」


「承知しました。これより戒厳令を敷きます。聞こえていますね。これよりこの場にはネズミ一匹近寄らせてはなりません! 近づくものは全て排除しなさい」



 ニーアさんは侍女さん軍団だけではなく、見えない護衛さんたちにも言ったようだ。侍女さん軍団は数人を残して、この場に繋がる出入口に散って行く。



「さあ、ネロくん。キリキリ吐きなさい!」



 いやいや、吐きなさいなんて、俺は犯人じゃないぞ。


 そんな俺の心の渇きを癒すため、ミーちゃんクッキーを出してルカたちを呼ぶ。必然的にレーネ様も来るので一緒にミーちゃんクッキーを渡し、ミーちゃんのミネラルウォーターも飲ませてあげる。



「にゃ~」


「「「みゅ~」」」


「おいちぃ」



 そうでしょう。そうでしょう。ミーちゃんのミネラルウォーターは元気になるし、美味しくて最高だからね。


 カリカリとクッキーを食べてるルカたちをモフって、心を癒し説明を始める。



「最初に言っておきますが、このことはハンターギルドには内緒ですからね」


「内緒もなにも、誰にも話せるわけがないわよ……」



 なら良いんです。


 なので、簡単にクイントの流れ迷宮のことを話して、本来であればハンターギルドの専属の転移門を作る人が作るはずだったのだけど、時間がかかるということで、急いで転移門が欲しいと烈王さんに言ったら作ってくれたと説明した。


 ハンターギルドのセリオンギルド長には迷宮で手に入れたと誤魔化して、納得してもらったことも話す。



「烈王様の作られた転移門はどのくらいの性能なの?」


「ギルドの建物の後ろに転移門を設置して、クイントの町から四キロほど離れた流れ迷宮の五階層と七階層に設置しました。実際何度も使っていますが、なんの異常もなく転移できています。そういえば統括主任のエバさんが他の迷宮の転移門を使った時は気持ち悪くなったけど、烈王さんの作った転移門ではなんともなかったって言ってましたね」


「み~」


「それは凄いわね。転移も転移門も移動した後の体にかかる負担が大きいのよ。あれがなければとても便利なのよね。それで、その転移門のコア使用量はどれくらいなのかしら? それだけ凄い転移門なら相当量のコアが必要だと思うけど」


「み~?」



 コア? コアってエナジーコアのこと? 何に使うんだ? そんなの使ったことがないんだけど。



「コアを何に使うんですか?」


「み~?」


「ネロ様。それだけの転移門を動かすとなれば相当量のエネルギーが必要になります。……まさか、対価なしで動くのですか?」



 そうなの? そんなことセリオンギルド長もエバさんも言ってなかったけどなぁ。



「烈王さんの作ったものですから必要ないんじゃないですか?」


「「……」」



 王妃様もニーアさんも目が点になって口をパクパクさせている。


 レーネ様、ミーちゃんジャーキー食べます?



「食べましゅ!」


「にゃ~」


「「「みゅ~」」」


「み~」




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