377神猫 ミーちゃん、レーネ様の後ろに隠れる!?
もう、夕暮れ時だけど急ぎ馬の用意をして王宮に向かう。
借りていた馬車は返してしまったのでしょうがない。急用ができて急ぎ王宮行かなければならなくなったと、ルーカスさんにため息をつかれてしまった。
馬車を買うしかないですね……などとぶつぶつ言っていたけど、お任せです。
ルーくんとラルくんも行きたそうに足下に寄って来たけど、謝罪に行くので楽しいことじゃないよといって聞かせ諦めてもらう。
まあ、ラルくんにとっては当事者の甥なので、関係あるといえばあるけどね。
ミーちゃんと王宮に向かう間、王妃様になんと言うか打合せ。
ミーちゃん、どうする?
「みぃ……」
だよねぇ。困ったよねぇ。どう説明しようか? もう、正直に話しちゃおうか……駄目だよね。でも、王妃様はヒルデンブルグの出だけあって、薄々感ずいてる気がする。
多少の情報公開は良いんじゃないかな? なにかあった時の後ろ盾は大事だからね。ゴブリンキングとの戦いでもドラゴンの力を借りるから、少しは話しておかないと味方が逆に混乱するおそれもあると思う。
ヒルデンブルグ出の王妃様だけに、ドラゴン関係のことは任せてしまえば良いじゃないか。うん。これは良い考えだ! これで、宰相様に睨まれることも少なくなるに違いない。
どう思う。ミーちゃん?
「み~!」
丸投げしちゃえぇ~って……でも、王妃様には貸しがあるしね、対価としてはちょうど良いかも。
王宮に着くと門の衛士さんが怪訝な顔で挨拶してくる。今日二度目の登城だからね。それでも、ちゃんと王妃様に取りついでくれるあたり、俺とミーちゃんも顔パスになったってことだ。
「アンネリーゼ様がお待ちです。ネロ様」
「み~」
いやぁー、全然待っててくれなくて結構だったんですけどね。ニーアさん、俺たちが来ることを知ってたようで、普段通りの対応。
ミーちゃんも場を和ませようと挨拶を返したけど、全く相手にされない。
「みぃ……」
ミーちゃん。こりゃあ、完全に俺たちが黒だとバレてるね。
「あら、ネロくん。どうしたの? こんな時間に」
王妃様気持ち悪いくらい機嫌良さそうにニコニコしている。そう、ニコニコしているが、目が笑っていない。
レーネ様、この異常な雰囲気に耐えられなかったようで、ルカ、ノア、レア、カイを抱いたままニーアさんの足にしがみついてる。
いや、俺の腕の中に居たミーちゃんもこの雰囲気に耐えられず、レーネ様の所に脱兎の如く退避して行ったよ……裏切り者め。
「どうしたの? こちらに来て座ったら?」
ぐぬぬぅ……行きたくない。
「
「ははは……ちょっとカイの顔を見に来ただけですので、すぐにお暇します
」
「……良いから、そこにお座りなさい」
「はい……」
感情のこもっていない声で話されると、ある意味ドスの利いた声より怖いんですけど……。
「今、王都中大騒ぎになってるのは知ってるわよね」
「えぇ、町中を通って来ましたから」
「
申し開きって言ったって、どう話せば良いんだ? 気分が高揚して我を忘れて飛んで行ったとでも?
「これといって、なにもありませんが?」
そうなんだよ。よくよく考えたらなんで俺が怒られ役なんだ? って逆ギレしてみようか? まあ、それができたらここには居ないはな……。
「ネロくん。今の状況がわかって?」
「私に落ち度はございません。確かに家の前からドラゴンが飛び立ちお騒がせしましたが、苦情なら
「ドラゴンを呼べるの?」
「前にも会ってます」
「みぃ……」
ミーちゃん、そこはレーネ様の陰に隠れないで堂々と言ってください。
「えっ!?」
王妃様だけでなく俺の声が聞こえていたニーアさんや侍女さんたちも目をまん丸にして驚きの表情をしている。
「ラ、ラルくんかしら?」
「惜しい」
でも、間違いではないね。やっぱり、王妃様はラルくんがドラゴンだって気付いていたようだ。
「まあ、今度連れて来ますよ」
「そんなに簡単に連れて来るって言って、王宮の警護にどれだけ必要だと思っているのかしら?」
「どう警護するのか知りませんが、人如きの力でどうこうなる相手ではないですよ? 焼け石に水……無駄な行為だと思いますが?」
実際に戦った俺が言うのだから間違いない。人類の中で戦いに関してトップクラスのジンさんが居ても、手も足も出なかった。たとえ、第一騎士団が挑んだところで、空に上がってブレスのひと吹きでほぼ全滅だろう。
「み~」
「……」
だからミーちゃん、レーネ様の後ろに隠れてないでここに来て言いなさい。
「ハァ……。ネロくんにはいつも驚かせられるけど、今回は格別ね。そこまで話したのだから、ちゃんと話してくれるのよね?」
ということなので、当初の予定通り王妃様を丸め込んで面倒なことは丸投げ作戦を実行に移す時が来た。
ミーちゃん、出番ですから、ここに来てお座り!
「みぃ……」
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