376神猫 ミーちゃん、グラムさんに雷スキルを授ける。
ミーちゃん、グラムさんの頭をポンポンと叩きお得意の、
「み~!」
そう、任せなさ~い! いただきました。でも、どうするつもり?
「み~?」
ミーちゃん、俺を見て首を傾げる。なにも考えてないんですね……。
しかし、絶対強者のドラゴンになにを教えるというのだろうか?
うーん。
やっぱり、あれか? 宗方姉弟には逃げられたが、グラムさんで試してみるか?
「グラムさんは雷を知ってますよね?」
「もちろんだ。嵐の中を飛んでいる時、雷を喰らい気を失って何度も海に落ちたものだ」
雷に打たれても、気を失う程度なんだ……。いや、考えようによっては、ドラゴンに気を失わせることができる強力な力ということだ。やはり、雷スキルは強力な武器になる。
さて、俺は知識として
ゲームの中のドラゴンだって、サンダーブレスを吐くドラゴンンが居るんだからきっと使いこなせるはずだ。そうに違いない!
「良いでしょう。グラムさん。あなたに新しい力を与えましょう」
「ほ、本当か!」
「み~!」
ミーちゃんも、今のやり取りで俺がやろうとしていることがわかった様子。フンスとやる気を漲らせている。
ってなにをするつもりでしょうか? ま、まさか、神雷をぶつける気ですか!?
とは言っても、ミーちゃんの神雷いろいろ検証した結果、
ミーちゃんに全幅の信頼をおいているスミレ、セラ、ルーくん、ラルくんは神雷を受けてもまったくダメージがない。じゃあ、姫と慕うペロはというと静電気程度のぴりっとするらしい。これはペロがミーちゃんをちみっ子扱いするので、ミーちゃんの怒り分だろう。
かく言う俺もミーちゃんが神雷を覚えた時に、静電気のようなダメージを受けている。あれは、俺があれだけ苦労して覚えた雷スキルを、ミーちゃんは見てるだけで上位スキルの神雷を覚えた嫉妬心からきたと思う。
今は、まったくなんともないし、何度もミーちゃんの神雷と共闘してるからね。俺とミーちゃんとの間の信頼関係は完璧だよ。まあ元々、完璧だったけどね。
さて、グラムさん。道具を用意するのでちょっとお待ちを。と言っても、ミーちゃんバッグから出すだけなんだけど。
はい、じゃあ始めますよ。
金属の棒を毛糸の布でこ擦ります。一生懸命こ擦ります。
はい、グラムさん、指出して。
「み~」
「こうか? あうちっ!?」
グアムさんの指と金属の棒の間に青白い稲妻が走る。グラムさん、とても驚いた顔をしている。
ミーちゃん、なぜかどや顔。ついでに、私もできるんだよ~ってパチパチと全身に神雷を纏う。
「なっ!? ミ、ミー様も雷を扱えるのですか……」
「み~!」
それより、グラムさん声をあげたけど痛かった?
「いや、痛くはないが……そのなんと言うか……精神的なダメージを受けたと言うべきか……」
要するにドラゴンだから肉体的ダメージはないけど、ドラゴンでさえあっても敵わない、大いなる自然の力を何度も体に刻み込まれているせいで、雷への畏怖がどうしても出てしまうということだ。
まあ、自然が相手ではどうしようもない。言わば、神の領域だからね。
で、その神の領域に居るミーちゃんですが、そろそろ痺れを切らしてきたみたい。目をうるうるさせて、まだ~って見てくる。
その姿、表情はとても可愛いのだけど、やろうとしてることは鬼畜の所業ですからね。ミーちゃん!
「み~?」
でも、面白そうだからやっちゃってください!
「お、おい……な、なにをする気だ?」
大丈夫。グラムさんはミーちゃんの下僕……もとい、眷属。ミーちゃんを主として信頼していれば問題ない……はずだよね?
「み~!」
いっくよ~って神猫だけど、天使の笑顔でグラムさんに猫手型神雷が放たれる。
「痛っ!? ちょ、ちょっと待って! ミー様、止めて! お願いします! 止めてください! おふっ……」
グラムさんの制止のお願いも虚しく、ミーちゃん嬉々として神雷の連打……。
ミーちゃん、グラムさん痛がってますよ?
「みっ!?」
ミーちゃん、気付いてなかったようだ……。グラムさん、さっき会った時と同じようにボロボロになって膝から崩れ落ち倒れこんだ。し、死んでないよね?
「み、みぃ……」
ミーちゃん、憐れむような目でグラムさんを見ているんですけど、やったのミーちゃんですから!
「みぃ……」
み~ちゃん信頼されてないんだぁ……と逆に目をうるうるさせ始めちゃったよ。そうだね。悪いのはグラムさんだ。自業自得だ。ミーちゃんは悪くないよ~。間違いない。
とは言うものの、グラムさんの下に行きミーちゃんのミネラルウォーターを、ドバドバとかけてやる。
「はっ!? 俺はいったい……」
どうやら、気を失っていたようだ。取り敢えず、グラムさんを鑑定。雷スキルが増えている。ついでに、精神苦痛軽減も増えていた……。そ、そこまでだったのか?
「おめでとうございます。雷スキル覚えましたよ」
「み~」
「ほ、本当か!? ドラゴンで雷スキルを持つ者は過去にも居ない。俺は最強の力を手に入れた! 待っていろよ。姉上! これまでの屈辱、すべて返してやる!」
グラムさん、雷スキルを覚えて高揚し興奮して、その場でドラゴン形態になりどこかに飛んで行ってしまった……。
あれほど、町や町の近くではドラゴン形態になるなと言っておいたのに……。間違いなく今頃大騒ぎになってるよね? エレナさんの
はぁ……。ミーちゃん、王妃様の所に謝りに行こうか……。
「みぃ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます