365神猫 ミーちゃん、掴みはOKです。
桶で氷を作ってはミーちゃんバッグに収納を繰り返す。
前回同様、氷の皿の失敗作でルーくんとラルくんが遊んでいる。寒くないのだろうか? 一応、風呂は沸かしているのでこれが終わったらみんなで入ろう。
「み~」
陽が暮れるまで作り続けていたら、ヤン君親子とクリスさんが神猫屋の屋台と共に帰って来た。
「明後日は商業ギルドでイベントを行うので、神猫屋も参加してください」
「今度はどんなイベントをやるんですか? ネロさん」
ヤン君とカヤちゃんがバムを屋台から外しながら興味深げに聞いてきた。
「町の人に海の魚を売るんだ。ルミエールの王都では海の魚はなかなか手に入らないだろう? 喜んでくれると思うんだ」
「み~」
カヤちゃんはキョトンとした顔をしている。うちでは普段から魚料理がでるのでカヤちゃん的にはなんで? って感じなのんだろうね。
「カヤ。ネロさんの所にお世話になる前に、海の魚なんて食べたことがなかったろう。この町に住むほとんどの人も海の魚なんて食べたことなんかないんだよ」
「そうなの?」
貴族やお金持ちなら高級レストランで食べることができる。或いは商隊や旅などで海のある国に行ったことがある人なら食べたことがあるだろうけど、この王都に住む人でも一生涯食べないで終わる人の方が多いだろうね。
「神猫商会って凄いんだね~」
「み~!」
「ミーちゃんもね♪」
ミーちゃん、嬉しそうにカヤちゃんの顔をペロペロしてます。なんといっても神猫商会の会頭ですからね。
さて、氷の準備は整いました。明日の朝、また早起きして魚を買いに行こう。
イルゼさんとクリスさんに明日の午後に神猫商会本店に来るように言っておく。お店の部分の改装は終わっているので、一度みんなで確認したいと思う。
みんなで確認して使いやすいように改修してもらう。まだ、店舗部分以外は改修工事中なので、今なら手直しをしてもらえる。
氷の皿の作成も一段落ついたので、みんなでお風呂に入る。みんなといってもミーちゃん、ルーくん、ラルくんとだ。クリスさん? 烈王さんの娘ですよ? 恐れ多いです……。
風呂から上がったところで、ゼルガドさんをみんなに紹介する。腕の良い職人なのでして欲しいことがあったら、なんでも頼んで良いよと言っておく。
さっそく、クリスさんが神猫屋の屋台のメンテナンスを頼んでいた。美人にお酌をされて、ゼルガドさんは鼻の下を伸ばしながら承諾してたね……。奥さんが来たらチクってやろう。
翌朝、ヴィルヘルムで魚を買って帰って来ると、ゼルガドさんに捕まった。
「取り敢えず、試作品だ。使って見てくれ。俺は寝る……」
「み~?」
目の下に隈を作って徹夜で作ったのだろうか? 渡された物を見れば、手回し式の泡だて器。ハンドルを回すと歯車に連動して泡だて器が回る。
こ、これを、徹夜とはいえ、この短時間で作ったのか!? いかれ頭は化け物か!
せっかくなのでマヨを作ろう。うちの台所を預かるエフさんとマヨ作りをしてみる。
「「……」」
「み~?」
声が出ないとはこういうことを言うんだね……。
文明の利器って、すんばらすぅいー!
あれだけ苦労したマヨ作り。本来なら需要が高いので大量に作りたいところだけど、誰も攪拌を手伝ってくれないので少量しか作れなかったマヨ。
売れる。売れるぞ! ミーちゃん! 手回し式の泡だて器もマヨも! ウハウハだ!
「み、み~!」
試作品だから作りが荒いし、不格好で重い。でも、そんなのはどうとでもなる。カティアさんに言って、早急に職人に改良させ販売用の物をいくつか作ってもらおう。
お昼はマヨをたっぷり使ったサンドイッチにしてもらった。大好評でした。
昼過ぎになるとうちの外に多くの人が集まって来る。神猫商会に高級魚の買い付けを依頼していた、王都に店を構える高級レストランの料理人に貴族の専属料理人たちだ。
今日、うちで高級魚を販売することを事前に連絡してもらっていたのだ。
先払いで頂いていた分の魚以外に、ちょっとしたイベントを行うことにしている。
実は、今朝行った市場でミーちゃんたってのお願いで仕入れた魚がいくつかある。
ミーちゃん、どうやら
カティアさんは身重なのでそれ以外のうちの人総出でお手伝いをしてもらう。レティさんはルーくんとラルくんを連れて孤児院に逃げたけどね。チッ。
大きなテーブルを表に出してシートを被せておく。後でここに大きな氷の皿を置いて、競りに出す魚を載せるためだ。
周りを見ると、みなさん多くの買い手が集まったことで、自分の店が良い魚を仕入れられるか心配になりイライラしているようだ。
神猫商会に依頼を出した方たちが全員揃ったことなので始めますか。
「み~!」
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。と会頭が仰っております」
「み~」
周りから穏やか笑みを浮かべる人や、クスクスと笑う人で場の雰囲気が良くなる。
掴みは良い感じ。
さあ、ミーちゃん。始めましょうか!
「み~!」
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