351神猫 ミーちゃん、お友達は大事だと思う。
「ネロ君はこの大陸にどれくらい魔王がいるかご存知?」
「み~?」
さて、この大陸となるとどのくらい居るのだろうか?
「四体よ」
あれ? 意外と少ない。
ミストレティシアさんの説明によると、元々この大陸に人族が渡って来た時に古の魔王と呼ばれる魔王が四体居たそうだ。
そのうちの大陸の東側を支配していた魔王を人族が倒して、ディメール王国を建国した。後にディメール王国が滅んで、いくつかの国に分裂するが、分裂した各国共に魔王達と争う混沌とした時代が続く。そんな時に、どこからともなく現れた勇者が大陸の中央部を平定して国を建てた。
それがルミエール王国。
それから何代か先の王様の弟が、南の魔王を竜と共に倒してヒルデンブルグ大公国を建国する。
更に時が過ぎ北の魔王を、獣人族、エルフ族、ドワーフ族が中心となって倒す事になる。
この時点で古の魔王は西を支配する魔王だけとなる。
しかし、古の魔王を倒しても時が経つと、どこからともなく魔王が現れ国が乱れる。ゴブリンキングやオークキングと言った輩だ。突然魔王として現れる災害と言うか、災厄が何度もこの大陸を襲う。
その他にも、倒された古の魔王の部下が自称魔王を名乗り、同じ自称魔王同士で争いを続けている。それに、巻き込まれる方はたまったもんじゃないね。
ごちゃごちゃしてきたところで、ミストレティシアさんがこの大陸の現状を整理してくれた。
ゴブリンキング、オークキングは言わずも知れた最近現れた魔王。そのゴブリンキングが現在ちょっかいを出しているのが、ルミエール王国の西に居る古の魔王。ゴブリンキングさん、戦火を広めるのはやめてください!
そして、最後の魔王の一体はロタリンギア王国の東に居る、この大陸で最初に倒された魔王の部下でディメール王国が滅ぶ原因となった争いで台頭して魔王になった奴となる。こいつも古い魔王なので、今では古の魔王と呼ばれるようになった。
後は、実際は準魔王と言ったところなんだけど、自称魔王がヒルデンブルグ大公国の南西と南東に、それ以外だと北の方で獣人族達に倒された魔王の部下が四体程自称魔王を名乗り、群雄割拠状態で争っているらしい。
最後に魔王を名乗っていないけど、牙王さんも準魔王だそうだ。知らなかった……。
と言うことで、この大陸の現状を理解したけど今回呼ばれたことと、どう関係あるのですか?
それから、ミーちゃんおはよう。そろそろ、本題に入るようだよ。
ミーちゃんはミストレティシアさんが説明してくれている間、気持ちよさそうにおやすみしてました。今のミーちゃんは授業中に居眠りして、ハッと目を覚ましたけど周りの状況についていけない状況といった感じ。
「み、み~?」
執事さんが新しいお茶を淹れてくれて場の雰囲気を変える。つまり、ここからが本題と言うことなのだろう。
「ロタリンギア王国の東に居る魔王に不審な動きがあるそうなの。それだけならさして問題はないのだけれど、その魔王の動きに呼応して南の自称魔王達も動き出してるそうよ」
「狙いはヒルデンブルグ大公国ですね。以前、知り合いに南の魔王達に動きがあるので気を付けろと忠告をもらっています。大公様もご存知ですので、対策を講じていると思います」
「そう……。その情報提供者とお友達になりたいわ……どれほど……ブツブツ……」
「み~」
いやいや、ミーちゃん。流石に無理だと思うよ? 烈王さんにお友達を紹介するなんて。会いに行くのも俺達以外だと大公様くらいなものだし、島に渡るのも簡単じゃないよ。
「み~」
そうだね。確かに友達は大事だけど、あの暢気なペロでさえ烈王さんにビビッて会えないのに、ミストレティシアさんが烈王さんと顔を合わせられると思う?
「みぃ……」
でしょう。それに、烈王さんに必要なのは友達じゃなくて暇潰しだと思う。お酒とか、戦う相手とか? 烈王さんが本気で戦ったら、この星がなくなりそうだけどね。
「ネロ君がなかなかの情報通でびっくり。でもね、もう一つ驚きの情報があるのよ」
どうやら、ミストレティシアさん立ち直ったようだね。
「良いことですか?」
「み~?」
「残念。悪い話よ」
良い話なら聞きたいけど、悪い話は聞きたくないなぁ。
「帰って良いですか?」
「あら、良いの? ネロ君にも関わりのある話よ?」
「むぅ……」
「ロタリンギアの王が亡くなって、ネロ君の知り合いの勇者が王になったわ」
ここ最近はロタリンギアの前王は王宮に引き籠って表に出ることはなかったらしく、病に臥せっているなどと噂されていたそうだ。それが先日急に前王の訃報が民衆に知らされ、それと同時に前王の王女と恋仲だった勇者こと遠藤勇が王位についたそうで、前王の喪が明けてから王女との婚姻をあげる事も公式に発表しているらしい。
と、同時にヤンキー勇者こと陸山総司が将軍職に就いたことも聞かされた。
優等生委員長勇者こと奥村真はどうなったのだろう? 残念ながら、奥村さんについてはミストレティシアさんもなにも情報は持っていないらしい。
ロタリンギア王国の国民は新しい王の誕生に沸いているそうだ。オークキング討伐の先陣を切る勇者が王になったのだ、国民にとっては心強いことだろう。
……本当の勇者ならね。実際はニセ勇者なんだよねぇ。ある意味、時限爆弾を抱え込んだようなものだよ。
で、それが悪い話ですか?
「み~?」
どちらかと言うと、どうでも良い話のような気がする。
「この話にはまだ続きがあるのよ?」
「続きですか?」
「そう続きがね……」
な、なんです? その意味深な間は……。
ちょ、ちょっとトイレタイムを要求します。
「みぃ……」
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