349神猫 ミーちゃん、餡子が好きなんです!
ちょっと涙腺が緩んでしまったけど気を取り直して、みんなにバニラアイスを勧める。
さて、みんなも頬を緩めてバニラアイスを食べ始めたので、メインディッシュのメインイベントを始めよう。
みんなが美味しそうにバニラアイスを食べているのを、しっぽをゆらゆらさせて嬉しそうに見ているミーちゃん!
お待たせしました。ミーちゃん専用newアズキアイス、満を持しての登場です!
「み、み~!」
ミーちゃんの前に綺麗なお皿に盛った、アズキアイスを出す。
いつものただ餡子を凍らせたものとは違う、材料も手間暇かけた正真正銘の、どこに出しても恥ずかしくないアズキアイス。
さあ、ご堪能あれ!
ミーちゃん、いつものアズキアイスと違うnewアズキアイスをスンスンと匂いを嗅いでペロリと一舐め。
「み~」
……あれ?
「み~」
え!? いつものアズキアイスはどこ?
「み~」
そ、そうだね……ちゃ、ちゃんと用意してるよ?
「み~!」
ミーちゃん、いつものアズキアイスとnewアズキアイスを交互に舐めてるけど、いつものアズキアイスを舐めてる時は恍惚の表情をするのに対して、newアズキアイスを舐めてる時はまあまあねって顔してます……。
newアズキアイスが負けただとぉー!
……ショックです。
その後、みんなにもアズキアイスをご馳走したら大好評だったことから、ミーちゃんは単に餡子が好きってだけのようだね……理解しました。はい。
我が家のお風呂を堪能してゆっくりと休んだ翌日の日が明けたばかりの早朝、ヴィルヘルムに飛んで港に急ぐ。
スミレが居ないので港までは歩き。ベルーナの朝は肌寒さを感じさせたけど、ヴィルヘルムはまだまだ暖かいと言うか暑い。着ていたコートを脱いで、活気溢れる港までミーちゃんと歩く。
グラムさん? 夜遅くまでクリスさんとOHANASHIしていたようなので、朝早く連れ出すのは可哀そうなので置いてきた。ヴィルヘルムで襲われることはないだろうからね。
港に着いてからは高級魚を中心に買って行く。意外と注文数が多いんだよね。特に王宮から……。粗方目をつけた高級魚は買ったけど、まだ足りない。明日も来て買い付けしよう。
後は、うちで食べる魚や貝に海老、蟹、こないだ見つけたイカの一夜干しなどを買い込む。やっぱりタコは見つからない……。
ヴィルヘルム支店に戻ると、アレックスさん、クラウディアさん、アルベルトさん以外に見知らぬ男女四人が居た。誰?
「み~?」
「おはようございます」
「ネロ。来てたのか」
「そちらの四人は初見ですが、新しい従業員さんですか?」
「そうよ。クリスが抜けたので二人応援で来たわ」
「こっちのはベルーナから来た二人だ」
ドラゴン二人はコンラートさんとリーザさん。どちらの二十代前半のイケメンと美女だ……。
ベルーナから来た二人はダミアンとロッテ。まだ、十代半ばくらいかな。
クラウディアさんがベルーナから来た二人に俺とミーちゃんが神猫商会の会頭と副会頭で貴族と説明したら、速攻で土下座してきた。
今日のところは顔見せということで、後日改めて来る事を伝えてベルーナに戻る。忙しいからね。お互いに。
ちょうど、朝ご飯の時間だったのでトーストにカスタード載せをみなさんにご提供。
「「「甘~い」」」
女性陣とお子ちゃま組には大好評だったけど、ベン爺さんはいつも通りトーストとスクランブルエッグだけを食べていた。ルーカスさんはうーんと唸りながらもなにも言わずに食べている。
ミーちゃんにも出してみたけど一舐めしただけで、猫缶とお味噌汁を食べて見向きもしない。
うーん。美味しいと思うんだけどなぁ。
朝食を食べ終わった後、ベン爺さんと打合せに入る。
迷宮で手に入れたサトウキビの苗を来年までに株分けして数を増やしたいのだ。しかし、今はもう秋。難しいかな?
「金は掛かるが試してみたいものがあるんじゃが」
「み~?」
なんでしょう?
ベン爺さんが試したいのは温室。ガラス張りの温室を作って温度管理をすれば可能だと言っている。但し、ガラス張りの温室は非常に高価なもの。貴族などが屋敷の隅に建てて季節外れの花を育てるのに使う、所謂贅沢品。一平民が持つようなものではない。
「お主も貴族じゃろうて……」
「みぃ……」
そうでした……。じゃあ、作っちゃおうか? ベン爺さん、手配お願いします。お金はルーカスさんにもらってください。
「うむ。それとな、流石に温室も増やすとなると、儂一人では手が足りん。一人雇いたいのじゃが良いかのう?」
ベン爺さんの弟子の一人が最近職にあぶれて困っているらしい。どうやら、凄い人見知りらしくて、以前働いていた貴族の元で上手くいかなかったそうだ。コミ障って奴だね。
なので、温室と一緒に温室の傍にその人が住む小屋を建てたいともお願いされた。問題無いけど、食事とかどうするの? ベン爺さんは食事はここに取りにこさせると言っている。まあ、それで良いなら俺としては断る理由はないね。
「み~」
と、ミーちゃんも了解を出したのでベン爺さんにゴーサインを出した。
ついでに、甜菜についても試験栽培してもらおう。
さて、午後に義賊ギルドに呼ばれているので、ミストレティシアへのお土産のお菓子でも作ろう。
「み~」
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