329神猫 ミーちゃん、不愉快です!

 信じられないと言われても実際にここに居る訳で……鑑定してみたらどうですか? って、言うか鑑定持ってないのか? 前に会った時も鑑定できてないような話方だった。でも、烈王さんには気付いたような感じがあったよね?



「例え上位者とあれど、やって良い事と悪い事がある!」



 ミーちゃん、びくっとして服の中に隠れちゃいました。ミーちゃんにとって竜はお友達だから、助けて当然。ミーちゃんは悪くないよ。



「み~」



「俺の眷属を隷属させてた奴が何を言う。だから貴様達は神から神界に戻る事を許されなかったんだよ」


「ぐっ……」



 烈王さんどうやら神人の痛い所を突いたみたいだ。流石、烈王さん情報通だね。そうなのか、神人は神界に戻れないないのか。理由は違えど、ミーちゃんと同じだね。



「みぃぃ!」



 あれ? ミーちゃんなんか怒ってます? あんなのと一緒にされるなんて不愉快です! って? 確かにどんな理由があるにせよ、隷属させるってのは良くないよね。うん。



「じゃあ、俺は帰るぞ」


「み~」



 ミーちゃんが烈王さんに手を振って挨拶した後、烈王さんは来た時と同じように消えていった。うーん、俺も早く自由に転移が使えるようになりたいな。


さて、こちらの問題は片付いた。残すは後一つ。



「さてと、話は変わりますが、最下層に行っても良いですか? まさか、まだ難所があるなんて言わないですよね?」


「……無い。ある訳ないだろう。ここの反対側の岩陰に最下層に続く道がある。好きな時に来たまえ」



 そう言って、管理者も消えてしまった。彼も転移が使えるようだ。羨ましい。


 最下層にはすぐにでも行きたいけど、精神的にダダ疲れモード。ゆっくり休みたい。一度、手前の安全地帯に戻ろう。



「グラムさんって人族の姿になれます?」



 目の前の白い竜を見上げて言うと一瞬光ったと思うと、白髪イケメンが目の前に居た。やっぱりイケメンかよ……ミーちゃんに潰されろ!



「これで良いか?」


「ミーちゃんの許可がない限り極力その姿で居てください」


「み~」


「……承知した」



 何か考え事をしていたジンさんを立たせてペロ達の元に行き、いろいろ聞きたそだったけど有無を言わさず取り敢えず安全地帯に戻る。



「この人、もしかしてドラゴンですか?」


「ちょーイケメン!」



 カオリン、グラムさんから離れなさい。嫌がってるじゃないか。怒らせると喰われるぞ。



「きゃー! 食べられても良いかもー」


「姉さん……」



 うん? 宗方弟が呆れてる? そう言えば、宗方姉のニュアンスがちょっと違った?



「み~」



 いつも騒がしいペロとセラが、グラムさんに近寄らず俺の後ろに隠れてる。余程、ドラゴンが怖いらしい。ルーさんもさっきからドラゴン……ドラゴン……ってブツブツ言ってます。



「グラムさんは、ラルくんとクリスさんの叔父さんにあたるドラゴンだよ」


「にゃ? ラルくんの叔父さんにゃのか?」


「み~」


「おいおい、俺はおじさんじゃないぞ。まだ、十分に若い!」



 いやいや、なに言ってるのこのドラゴン。あなたが若かったら他の人皆卵以下だよ。


 ん? そう言えば、グラムさんは何百年もこの迷宮に居たんだよね? って事は、クリスさんやラルくんの事を知らないのか?



「ラルくんとクリスさんは、グラムさんのお姉さんと烈王さんの子供ですよ」


「ま、まじか?」


「まじです」



 ラルくんはまあ、まだ小さいからわかるけど、クリスさんも若かったぁ……せ、背筋に悪寒が……闇の波動を感じる!? うん、クリスさんは若くて美人ですよー。


 家に帰れば感動のご対面になるのかも。ラルくんもクリスさんも音信不通だった身内に会えば喜んでくれるよね? ねっ?


 さて、グラムさんの事は置いといて、この後の事を話をしよう。残すは最下層のみ、もう危険な場所は無い。精神的な疲れを癒して早めの昼食を取ったら、最下層に皆で行く事に決まった。


 いつものようにシートを敷きテーブルを出し、オムライスとから揚げを出す。うん、美味しそう。



「から揚げは至高の食べ物にゃ!」


「にゃ!」


「「オムライス! オムライス!」」



 グラムさんが不思議そうに見ているので、グラムさんの前にもオムライスとスプーンの載った皿を置き食べるように促す。



「み~」



 ミーちゃんもどうぞ~って言ってますよ。



「ミー様が是非にと仰るなら……」



 グラムさん、恐る恐るオムライスの載ったスプーンを口に運ぶ。口に入れてモグモグとして飲み込んだと思ったら、皿を持ち上げ口の中に掻き込み始めた。


 ドラゴンは基本、生肉が主食。大人になると少量の食事で問題なく活動できるので、食生活にこだわりを持つ事が少ないらしい。でもやっぱり美味しいものは美味しいのだ。うちで働いてるドラゴンさん達もうちで働くようになって、三食食事を取っている。休みの日には食事をしにお店に出掛けているらしい。お酒も大好きだって言ってたね。酒癖にちょっと不安があるけど、仕事に支障が無い事と周りの人に迷惑を掛けないなら何も言うつもりはないよ。


 オムライスを食べ終わったグラムさんとペロ達とで、から揚げの奪い合いが始まっている……。セラは素早く自分の分を咥えて退避してる。セラはなかなか、機を見るに敏だね。



「こいつは、旨すぎだ!」


「それ、ペロのから揚げにゃ!」


「僕の皿から取らないでください!」


「私の皿からも奪ってー」



 こいつら、本当に静かに食事ができないのかな? 更に新たな腹ペコ魔人も出現しそうな予感。


 ミーちゃん、どーなのよ?



「み~」




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