320神猫 ミーちゃん、光り物大好きです!

 ミーちゃん、一生懸命砂をかいてます。でも、かいてもかいてもミーちゃんの何倍も大きい砂山なので、全然減らない。逆に、砂山が崩れてミーちゃんが埋まりそうになる。それでも、ミーちゃんは砂をかいている。



「姫。ペロが代わるにゃ」


「み~」



 俺はミーちゃんが楽しそうにやっていたので見てただけだけど、ペロは黙って見ている事が出来なかったようだ。


 ミーちゃんが砂山から脇に移動して、ペロが砂山を崩し始める。



「この辺で良いにゃ?」


「み~」


「にゃんこ先生。何してるんです?」


「ミーちゃんと棒倒しー?」



 ペロがわしゃわしゃと砂山崩していくと、キラリと光る物が砂山から見えた。



「み~!」


「なんにゃこれ?」


「水晶っぽいですね」


「おぉー、大きいね」



 砂山から出てきたのはミーちゃんと同じくらいの大きさの水晶の原石。


 ミーちゃん、その水晶の原石を見てうっとり顔。ミーちゃんも光り物好きの女の子ってとこだね。だから、あれだけ頑張ってたんだ。


 水晶の原石は大きいけどたいした価値は無い。加工すれば占い師が持つ水晶球くらいにはなると思う。ミーちゃん、占い師でも始める気か?! 紫色のベールで着飾ったミーちゃん……似合いそう。



「み~?」




 次の部屋に注意しながら進むと、さっきと違ったゴーレムが居る。



「ウッドゴーレムだ。トシの出番だぜ」


「任せ……」


「ちょっとまった~!」



 ウッドゴーレムなので宗方弟の炎スキルで燃やそうと言う事だろう。しかし、そこで宗方姉が待ったをかける。



「ここは私にお任せなのだよ。諸君」



 なんか凄い自信だ。どっから湧いてくる自信なんだ。牛丼でも食べたのか?



「姉さん。本当に大丈夫?」


「カオリンに任せるにゃんて心配にゃ……」


「にゃ……」


「むむむ。己らぁ~。聞いて驚け、見て笑え!」



 なんて言って一人でずんずんゴーレムに向かって行く。



「止めなくて良いんすか?」


「まあ、大丈夫じゃねぇのか? 嬢ちゃん、自信あり気だしな」



 ウッドゴーレムはとても愛くるしい顔をしていて、宗方姉が近づいて行ってもきょとんとしている。まだ、敵と認識してない感じ?


 宗方姉はそんなウッドゴーレムに十メル程近づいた所で、びっしと腕を伸ばし指を突きつける。



「チャララー。あんたにゃ、なんの恨みはございませんが、これも仕事人稼業の掟てござんす。己がウッドゴーレムだった事を恨むんですなぁ。チャララー」


「……」


「み~?」



 チャララーって、どこの仕事人だよ? って、いつから仕事人になった……頼み人は誰だ!



「大地の息吹、我が命に従い咲き誇れ草木。百花繚乱。舞い散れウッドゴーレム!」



 おいおい、なんか目がいっちゃってません? 宗方姉の黒歴史を垣間見てしまった感が……見なかった事にしよう。うん、そうしよう。良く見れば他のメンバーも目を逸らしている。ペロ以外ね。



「おぉー。にゃんか格好良いにゃ!」


「み~!」



 って、ミーちゃんもですか?!


 そんな中、ぽけーとしていたウッドゴーレムに異変が起きる。体中から枝が伸び始め、芽が出て花が咲き始める。花が枯れる頃にはウッドゴーレムの体は枝だらけになり身動きが取れなくなっていた。


 凄い。の一言しか出てこない。


 百花繚乱、宗方姉のレアスキル。確か植物の成長を早めるって言うスキルだったはず。ウッドゴーレムには天敵なスキルのようだ。



「チャララー。またくだらぬ物を切ってしまった。チャララー」



 いやいや、切ってないからね! 貴方はどこぞの怪盗さんのお仲間ですか!



「すげぇには違いねぇけどよ。どうすんだ、これ?」


「み~?」



 どう、しますかねぇ? 動けないのだから、そのままで良いのでは?



「一刀両断にゃ!」



 って、何してるだよ。ペロ!


 ペロは高くジャンプしたかと思うと愛刀虎徹で一気にウッドゴーレムを両断。両断したけど虎徹の能力でウッドゴーレムは三枚おろしになってしまった。



「何か埋まってますよ。にゃんこ先生!」


「どれどれにゃ?」


「み~」



 ペロとミーちゃんが、宗方弟が槍先で突っついている物を確認しに行く。ペロがウッドゴーレムの体の中から穿り返したのはエナジーコアだな。ミーちゃんが咥えて俺の所に持って来た物は、鑑定すると琥珀と出ている。


 ミーちゃん、光り物好きねぇ。



「み~!」



 しかし、宗方姉やるなぁ。ちょっと見直してしまう。スキルを上手く使った宗方姉固有の技あり攻撃だ。ああ言う戦いを見ると自分の戦い方を考えさせられてしまう。もっとスキルを研鑽しなければ駄目だって。


 そこで自分のスキルを思い浮かべて対ゴーレムの仮想戦闘をしてみる。いろいろ考えた末、これいけるんじゃない? って作戦を導き出す。



「考え事か? 少年」


「はい。次のゴーレム戦で試したい事を思いつきました」


「カオリンの様な戦い方か?」


「相手によりますが効果的なスキルの使い方を思いついたんです」


「何をする気だ? 少年」


「まあ、見てのお楽しみってことで」



 うーん。なんかやる気が満ちてきたぞ。俺の考えが上手くいけばゴーレム無双が出来る。


 ミーちゃん、光り物いっぱい集められるよ!



「み~!」



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