321神猫 ミーちゃん、眼の色が変わる!?

 ウッドゴーレムが居ない、ラッキーだ。代わりに泥でできたマッドゴーレムとサンドゴーレムが居る。


 俺のスキルを試すにはおあつらえ向きだ。



「チッ、二体も居やがる。厄介だぜ」


「もう、帰ろうっす。二体は無理っす!」


「なんにゃ……ルーにぃは臆病にゃ」


「現実的と言ってくれ!」


「で、どうするよ? ネロ」


「もちろん、このまま最下層を目指します」


「み~」


「オーガだ。オーガが居る……ネロ~」



 現実的に考えればルーさんの言う通り撤退を考えるところだろう。普通のハンターがこのゴーレム二体と戦うなら、二パーティー以上は必要になってくる。


 まあ、普通のパーティーならね。言っておくけど、俺達は普通のパーティーじゃない! 言うなれば非常識極まりないパーティーだ。ちょっと自分で言ってて悲しくなる。


 だがしかし、これは事実だ。この国周辺で五本の指に入るジンさん。高ランクパーティーで斥候兼剣士をしていたルーさん。義賊の長の懐刀だったレティさん。ケットシーの凄腕剣士のペロ。黒豹族の族長の孫のセラ。俺と同郷の元勇者見習いの宗方姉弟。


 そして、一番の非常識……もとい、みんなのアイドルで神の眷属、ミーちゃん! プラス、俺。



「み~?」



 このパーティーが普通な訳がない。



「ここは俺に任せてもらいましょう」


「「おぉー」」


「にゃんかネロがやる気にゃ?」


「にゃ?」


「ネ、ネロが燃えてるっす……」


「本気か? ネロ」


「み~」



 漢に言葉は要らぬ。行動で示すのみ。


 ミーちゃんをレティさんに渡して、ゴーレム達の前に進む。


 悪いがゴーレム達よ、お前達は俺の視界に入った時点で、生きてるかは知らないけど既に死んでるのだよ。フッ……。


 ゴーレムを見据えて指をパチンと鳴らした瞬間、空中にエナジーコアを残しゴーレム二体は崩れ去り、ポトンコロコロっとエナジーコアが落ちる音だけが部屋に響く。


 決まった……。


 ちなみに、指を鳴らした意味はまったくありません。格好良いかなって思ったからですよ。何か?


 そう言えば、まったく反応が無いのは何故だろう? 皆さんはポカーンと口を開けて崩れさったゴーレムの方を見てますね。ペロ、エナジーコアを拾っておいてね。ついでに宝石も探しておいて。



「わ、わかったにゃ……」



 ミーちゃんレティさんの腕の中から飛び降りて、ペロと一緒に宝探しに行っちゃったよ。



「ネロ! 何しやがった!?」


「ネロさん。非常識だと思ってましたけど……」


「ここまでだとはねー」


「にゃ~」



 君達に非常識だとは言われたくない! 俺はこのパーティー唯一の常識人です! しかし、ここまで上手く行くとは……。正直、俺が驚いてる。


 ペロとミーちゃんが戻って来たので説明しよう。ちなみに、ミーちゃんはトパーズとアメジストを見つけたようで、満面の笑みです。


 では、説明しよう。土スキルを使いました。はい、説明終わり。



「って、説明になってねぇぞ!」


「ネロさん、ちゃんと説明してくださいよ~」


「説明プリーズ!」



 いやね、宗方姉の戦い方見てて思った訳よ。砂や泥って土スキルで操作できるから、サンドゴーレムやマッドゴーレムの素材である砂や泥も操作出来るんじゃねぇって。


 どこにあるかわからないエナジーコアを探すより、体その物の砂と泥を操作して地面に落とせば良いんじゃねって。結果的に、土スキルに反応しなかったエナジーコアだけが空中に残りゴーレム本体から切り離された為、ゴーレムを倒した事になったと推測されるのよ。わかった?



「まあ、ネロだからな」


「ネロだしにゃ」


「にゃ」


「少年だしな」



 な、なんですか? その白い目で見るのやめてくれません!



「み~」



 だよね~。ミーちゃんだけだよ。俺の事わかってくれるのは……って、ミーちゃん、なんか眼の色が変わってません? なんで、そんなに俺の足を叩いているのでしょうか? さっさと次に行こうって?



「み~!」



 ちなみに、金属も土スキルで操作出来る。できるけど、砂や土などのようには簡単に操作は出来ない。一度、ネタ用にスプーン曲げの練習をした事があるけど、めちゃくちゃ疲れた。なので、金属ゴーレムには対処出来ないと思う。まあ、他の案があるからそちらを試したい思う。





「今度こそ無理っす……」


「どう見ても金属ゴーレムだったぞ。少年」



 先にある部屋を確認してきたルーさんとレティさんが首を振りつつ言ってきた。



「流石に金属ゴーレムじゃ、俺でも対策無しじゃ厳しいぜ」


「一旦、戻るしかないのでしょうか?」


「えぇー」


「面倒だにゃ」


「にゃ……」



 流石に皆、諦め顔。


 だがしかし! さあ、進め突貫あるのみだ。ここで引き返すなんて時間の無駄。我にはまだ秘策あり! なのだ。



「おいおい、流石にネロでも金属ゴーレムは無理じゃねぇか?」


「でも、ネロさん非常識だし……」


「何気に期待できるのでは?」


「ネロだしにゃ」


「にゃ」


「み~!」



 本当に君達失礼だね。我に秘策ありと言ってるでしょう。これも上手くいったら俺はゴーレムハンターを名乗るんだからね。


 ゴーレムハンターネロ。良い二つ名だと思わない?



「み~」



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