303神猫 ミーちゃん、パルちゃんとお昼寝します。
これから出てくるオークは普通のオークになる。だけど、始原のうねりと北壁のメンバーは戦々恐々の様子。仕方がないか、また何かあるかと疑っているのだろう。
「ここからのオークは普通のオークだぜ。お前らでも倒せる」
「本当か? ジン」
「嘘は言わねぇよ。今までのオークは、そいつらの鼻っ柱を折る為に戦わせたんだよ」
「何故だ?」
「うちのメンバーを小馬鹿にした態度が許せなかったぜ。確かにこいつら強そうには見えねぇが実力は俺が保証する。次代の五闘招雷と言っても過言じゃねぇよ」
ルーさんは別として日本人の宗方姉弟はこちらの世界の価値観で言えば、まだまだお子ちゃまの部類に見える。ペロは愛くるしいケットシー。セラに至っては人ではなく黒豹たまに黒猫。誰が見ても実力派のパーティーには見えない。パーティー名はにゃん援隊だしね……。
広場の中にはいつも通りの
始原のうねりと北壁のメンバーは半信半疑の状態で武器を構えてオークに向き合う。
流石にこの人達が可哀そうになってきたので、一言助言をする事にした。
「オークは喉が効果的な弱点の一つですよ」
「み~」
「「「本当か!?」」」
始原のうねりの銃使いの男性がオークの喉を狙って撃つ。一体のオークの喉にヒット! オークが喉を押さえてのたうち回る。威力的には俺の方が上だけど狙いの正確さは向こうの方が上に見える。精進せねば。
オークとの戦いを見ながらパルちゃんをムニュムニュしてると、パルちゃん疲れたのかお寝むのようだ。ミーちゃんのキャリーバッグを出してパルちゃんを中に入れて寝させてあげようとすると、ミーちゃんもスルリとキャリーバッグに入ってきてパルちゃんと添い寝の状態に入る。お姉ちゃんだからね。
「み~」
「みゅ……」
キャリーバッグの蓋を閉めてあげればキャリーバッグは例え火の中水の中まではわからないけど、神様仕様の防音防振機能で安心安全。ゆっくりとお昼寝してね。
先程までの醜態を挽回するかのように、始原のうねりのメンバーは貧弱オークを攻めたてる。
「いける。いけるぞ!」
「三体は俺が引き付ける。残りを頼む!」
「俺の血となり
なんか旨い事言ってる人がいるね。今の状況なら問題なくこのパーティーで対応できるだろう。そうして、若干時間がかかったような気がするけど、オークを倒す事ができた。
残りの広場のオークも交代で倒して周り、最初の安全地帯まで戻って来た。
うちのメンバーはミーちゃんとパルちゃんが起きたので、おやつタイムに突入している。
始原のうねりと北壁のメンバーはホクホク顔で座り込んで雑談中。それに引き換えセリオンギルド長は苦虫を噛み潰したような表情だ。正直、俺も何故始原のうねりと北壁のメンバーがニコニコしているのかがわからない。
「どうします? セリオンギルド長」
「中堅ハンターでは無理だな」
セリオンギルド長の言葉を聞いて始原のうねりと北壁のメンバーはえっ!? って顔してます。気付いてないのでしょうか?
「中堅の中でも腕の良いハンターじゃなきゃ無理だと思うぜ」
「このパーティーでは力不足っすね」
「「「なっ!?」」」
「仕方あるまい。当分はジン達に任せる」
「ま、待ってください!」
「俺達でオークを倒せたぜ!」
「弱いオークをな……」
あ、やばい。セリオンギルド長の肩がプルプルと震えてる。これは決して笑いをこらえている訳じゃない。ジンさんとルーさんは、肩をプルプルさせ笑いをこらえてるけどね。
そして、雷が落ちる。ミーちゃんとパルちゃんがビックリして硬直してます。ほーら、大丈夫だよ~。怖くないよ~。ミーちゃんとパルちゃんを抱っこしてほっぺにスリスリして安心させてあげる。
ペロ達は我関せずとばかりにミーちゃんクッキーをハムスターのように頬張っている。カオリン、ペロに対抗するのやめなさい。一応、女の子なんでしょう?
セリオンギルド長の雷がおとされた始原のうねりと北壁のメンバーは、それでもギルド長に食ってかかっている。
「オークリーダー以前に、途中のオークさえ倒せないお前達に何ができる」
「ジクムントさんと共同で狩れば良い!」
「それって寄生って言う奴じゃないですか?」
「最低だ~」
宗方姉弟の言うように寄生するってのも酷い話だけど、ジンさん以外のメンバーを完全に無視してるところが気に入らないね。
「お前達、自分で何を言ってるか、わかっているのか……」
「俺達に何のメリットもねぇだろうがよ」
「そうっすね……」
「な、ならジクムントさんを俺達が雇います」
始原のうねりと北壁のメンバーの皆さんウンウン頷いてる。まあ、オークは高く売れるから、完全に金の魔力に目がくらんで目の前が見えてないようだ。
セリオンギルド長の目が相当ヤバイです。
「五闘招雷のパーティーに指名依頼をしてオーク狩りか……どうする? ジン」
「構わねぇぜ。あいつらが借金抱えるだけだろうがな」
当たり前の事だね。俺達だけでここのオーク達を狩れるのにわざわざ譲ってやるなら、その補填分頂かないといけない。それにジンさんを指名依頼する費用も考えると確実に赤字だろう。
「「「……」」」
始原のうねりと北壁のメンバーの皆さん、やっと気付いたようでアワアワしてます。女の子のアワアワしてるところなら見てても良いけど、おやじ共の慌てる姿を見ても嬉しくない。
「どうしてもオークを狩りたいと言うなら、一階層から攻略して行くんだな。マップは彼らが提供してくれてる」
「何の為の転移陣ですか!」
「言っとくが転移陣も彼らの提供だ。文句があるなら、お前らを除外する事も可能だぞ」
「「「……」」」
もう、ダメダメです。セリオンギルド長もこれ以上何を言っても無駄と思ったようで帰り支度を始めた。彼らには悪いけど諦めてもらうしかないね。
俺達も帰ろう。やる事がいっぱいある。時間の無駄使いはしたくない。
気分もブルーなので、こんな時はお風呂に入ってさっぱりしよう。パルちゃんもお風呂屋さんに行く?
「みゅ~!」
「み~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます