302神猫 ミーちゃん、パルちゃんの言い分に頷く。
ルーさんが飛び出し、オークと吹き飛ばされた北壁の盾役との間に割って入る。
「チッ。行くぞ、お前ら」
「「おぉー」」
「おっちゃん達、弱いにゃ……」
「にゃ……」
始原のうねりのメンバーが這う這うの体で逃げ帰ってくる中、大気スキル持ちの銃使いが残って銃を撃ちオークをけん制している。完全武装のオークには焼け石に思えたけど狙い所が良いのかオークが嫌がっている姿が見られる。そこは経験の差のようで、俺にはまだできない攻撃だね。
うちのメンバーが北壁のパーティーと入れ替わるようにオークと戦い始めた。
「た、助かる」
「邪魔だ。早く行け」
「あぁ……」
勝手知ったるなんとやら、うちのメンバーは余裕の表情で戦っている。俺、どうしようか? 雷スキル以外有効な攻撃手段が無いんだよね。雷スキルを使うと悪役っぽく見えるしなぁ。
「み~」
「みゅ~」
まあ、うちのメンバーならいつものルーチンワークだから問題ないし、ミーちゃんとパルちゃんをモフって見ていよう。
「ネ、ネロ君。余裕だな……」
「いつもやってる事ですし、俺が居なくても問題ありませんよ」
「そ、そうなのか?」
ミーちゃんとパルちゃんのモフりを堪能した頃、決着がついた。もちろん、うちのメンバーの圧勝。倒されたオークをミーちゃんバッグに回収してくる。
回収を終えて戻ってくると、セリオンギルド長の雷が落ちていた。始原のうねりのパーティーにね。仲間を見捨てて逃げたから仕方がない。大気スキル持ちの人以外だけど。
北壁の吹き飛ばされた盾役の人も掠り傷程度で問題ないようだ。この先に今と同じ完全武装のオークが居る。どうします?
「正直、この者達では力不足……ネロ君達に任せる」
「しょうがにゃいにゃー」
「「お任せください!」」
「にゃ!」
「みゅ~!」
何故、そこでパルちゃんがお返事するのかな? お兄ちゃんにわかるように説明してくれる。
「みゅ、みゅみゅ~!」
「み~!」
パルちゃんはテシテシ俺の肩を叩いて何か力説し、ミーちゃんはウンウン頷いてるけど俺にはわかりません……。
「お姉ちゃんの友達に任せるのが、一番っていってるにゃ」
にゃるほど、流石猫語のわかるペロ。通訳ありがとう。そうだね、みんなに任せておけば大丈夫。ミーちゃんを信頼しきってるパルちゃんにチュッチュッしてあげましたよ。
次の広場までの道中、始原のうねりと北壁の皆さんは一言も話さずうつむいたまま歩いてきた。セリオンギルド長も難しい顔をして何か考えながら歩いていたようだ。うちのメンバーは平常運転です。
「さあ、やるぞ。いつも通り一体は残すから宗方姉弟で倒せよ」
「「らじゃー!」」
「お腹が空いたにゃ……」
「にゃ……」
「お前らいつも腹減ってるよな……」
ルーさん、もっと言ってやってください。腹ペコ魔人達は燃費が悪過ぎます。
「ネロの作るご飯は美味しいのにゃ……だからペロのお腹がネロの作ったご飯を要求してくるにゃ」
「にゃ!」
お、お前らなに言ってるんだ……しょうがないな、後でピラフおにぎりを出してやるか。特別なんだからな。
オークとの戦闘が始まり、俺はオークが嫌がる攻撃を意識してけん制の為銃を撃つ。正直、たいして役には立っていない。最後の一体になったところで後ろに下がる。
「二人の訓練かね?」
「はい。いつも最後の一体は宗方姉弟にやらせています」
「危険じゃないのか?」
「ジンさんが見てますし、ルーさんにペロ、セラもいつでも助けられるように構えてますから問題ありません」
「み~」
宗方姉弟もこれまで多くの場数を踏んできたので、今では危なげなくオークを倒せるようになっている。今はいろいろな攻撃パターンで戦い実践経験を積んでいるところだ。
うちのメンバー以外が見ればオークに押されているように見えるかもしれないけれど、ジンさんが一切声も手も出さないことから問題ないとわかる。
「ふぅー」
「今回のパターンはいまいちだったねぇ」
「姉さんが変な攻撃するからだろう」
「ふっふっふっ。トシくん、あと少しなのだよ! あと少し!」
「姉さん……不気味です」
「まあ、悪くはなかったぜ。カオリが何かしようとしてたみたいだがよ」
「こうご期待!」
カオリン、何か必殺技でも思いついたのかな? ちょっと楽しみだ。
「食べて良いよ」
「おぉー、ピラフおにぎりにゃ!」
「にゃ!」
「僕も欲しいです!」
「あたしもー!」
ハァ……どうぞ、お食べください。俺って甘いかなぁ?
「み~」
「みゅ~」
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