297神猫 ミーちゃん、豪儀な依頼をする。

 寝ていたレティさんを叩き起こして孤児院の件を話す。ベルーナに関しては働いてくれる人は教会から来てくれるので、そろそろスラムのお子ちゃまを集める準備をして欲しいと言ったら速攻着替えて出て行った。着替えは俺が出て行ってからすれば良いのに……眼福でした。


 夜に戻って来たユーリさんに夕食の後、獣人さんから貰った硬貨を見てもらう。ミーちゃんとカイはソファーの上でルーくんとラルくんのモフモフに埋もれてます。



「す、凄い物を持って来ましたね……」



 ユーリさん、顔が引きつっているのですけど?


 ユーリさんが説明してくれた事によると、金貨、黒ずんだ銀貨は違う大陸で使われている硬貨だそうです。今でも十分に通用するのでヴィルヘルムでなら両替が可能だろうとの事。


 問題は二つの硬貨、一つは緑色の硬貨、もう一つは白銀っぽい軽い金属の硬貨だ。それ以外の硬貨は古銭で貨幣としての価値は無く、コレクターに需要のある硬貨だそうです。詳しくはわからないので専門の方に聞いた方が良いと言われたので、ウイラー道具店に持って行けばシュバルツさんが上手く捌いてくれるでしょう。


 そして、さっきの二つの硬貨なんだけど、ディメールの白金貨の上の硬貨らしい。どちらも失われた技術で造られた貨幣でオーパーツ的な物だそうだ。


 白銀っぽい軽い金属の硬貨はアルサイト硬貨と呼ばれていて一枚で一千万レトの価値で流通してるそうです。数は比較的出回っているので商業ギルドなどでは普通に使われているらしいけど見た事ないね。


 でもね、これってよく見るとアルミニウムじゃね? 試しに鑑定すると、アルミニウムでできた硬貨って出ている。ユーリさんにアルミニウムって知ってます? って聞いたら???顔になってたので知らないようだ。鑑定はその人の知識によっても内容が変わるみたいだね。


 時間軸のずれた異世界人が過去に居たのかもしれない。電気の知識を持ってるのは異世界人くらいなものだ。俺はなんとなくくらいしかわからないけどね。



 さて、一番問題になるのが緑色の宝石のような硬貨。鑑定すると人工宝石でできた硬貨と出ている。ユーリさんの説明によると、市場には出回らない硬貨で国家間のやり取りで使われる通称国貨と呼ばれる物だそうです。ユーリさんも始めて見たと言ってる。その価値一億レト。もうこうなると硬貨じゃないね……。


 問題はこの硬貨がたくさんあるって事……国家予算を超えるんじゃないの? ってくらいある。王妃様に相談してみよう……。ユーリさんに一枚あげるって言ったら、プルプルと首を振っていた。そんなユーリさんが可愛いかったので、代わりにアルサイト硬貨を十枚渡しておいた。これなら商業ギルドに行けば両替ができるからね。ユーリさん固まったまま動かなくなっちゃったよ。


 ミーちゃん、カイ、ルーくん、ラルくんお風呂に入ろう!



 次の日、クイントの蒼竜の咆哮のホームに行くと、皆死屍累々の有り様……スルーさせて頂きます。ハンターギルドに向かいましょうか。



「みぃ……」



 朝は暇な買い取りカウンターで美猫親子のフェルママとパルちゃんと一緒にヘンリーさんの話を聞く。



「防具としての素材は百体分で良いそうだよ。他はすべて肥料行きだね。どうする?」


「残りの素材は売らずに持っておきます。なので、解体だけはお願いしたいです」


「了解したよ。コアが千五百レト、素材が二千レト、肥料に回すのが素材を取った後なので千レトになるけど良いかい?」



 九百体だからコアで百三十五万レト、素材の買い取りで二十万レト、残りが九十万レト合計で二百四十五万レトになる。日給二万レトで五十人雇っても百四十五万レトレトの儲けで全員で分けても一人十万レト以上の配分になるね。オークとロングテイルエイプは別だから、これまたウハウハですな。



「構いません。一人二万レトプラス昼食付で五十人お願いします。解体ナイフの無い人はこちらで用意しますので」


「ご、豪儀だねぇ。よし、見習優先だったよね。明日の朝七の鐘にハンターギルド前集合で良いね?」


「よろしくお願いします」


「み~」



 ヘンリーさんにお願いしてから、ハンターギルドの酒場に行きサイクスさんに明日のお昼五十人分と腹ペコ魔人達の分をお願いすると、お弁当を作ってくれる事になった。昼前に取りに来る事を約束して美猫親子を存分にモフってからギルドを後にした。


 蒼竜の咆哮のホームに戻る途中に解体ナイフを買っておく。流石に一軒では足りなくて武器屋を三軒買い歩いた。


 ホームに戻ると屍達がウロウロ動き回っている。



「頭痛てぇ」


「気持ち悪りぃ」


「「お腹空いた~」」


「ネロ、ご飯どこにゃ?」


「にゃ?」



 こ、こいつらは……。取り敢えず、ご飯を用意して食べさせながら明日の予定を話す。



「護衛たって街の傍だろ。問題ねぇな」


「匂いに誘われた来たところで、このメンバーなら余裕だろう」


「お昼はお弁当ですか?」


「わーい!」


「サイクスにゃんのお弁当にゃら期待できるにゃ」


「にゃ」



 ピクニックじゃないんですけど……まあ、このメンバーならよほどのモンスターでも出てこない限り瞬殺だろうね。スミレを連れてきて遊ばせようか?



「み~!」




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