298神猫 ミーちゃん、ハンターギルドに転移門を設置する。

 ハンターギルドの朝は早い。時間前だと言うのに集合場所に多くの人が集まっている。多くは十代前半の見習ハンターくん達だけど、中にはそうじゃない人も居る。引率の先生みたいに世話を焼いているエバさんに聞くと、怪我をしてたり病み上がりのハンターさん達だそうです。依頼料は見習いと同じで良いのでお願いされたそうです。


 全員集まったので出発します。肥料の業者さん達は後から荷馬車を率いてくるそうです。


 町から出て街道から少しはずれた草原で作業開始、コアを取る部隊と素材を取る部隊に分れて作業してもらう。


 うちのメンバーは周りの警戒、一緒に連れてきたスミレは自由にさせる。スミレ姐さん嬉しそうに爆走して視界から消えて行ったよ……。



「み~」



 業者さんの荷馬車も到着して、解体の終わったものからどんどん積み込まれて街に戻って行く。今は白亜の迷宮での戦いがあるので定期的にゴブリンは集められているそうだ。それでもゴブリンを引き取りに行く危険が無いから業者さんはホクホク顔。喜んでもらえてなによりです。win-winの関係って良いね。


 ルーさんや中堅ハンターさん達が見習いくん達に、解体の指導もしているので見習いくん達には良い勉強になっている。そんな中、解体中の匂いに誘われたモンスター達が現れるけど、ペロ達に瞬殺されすぐに解体に回されていく。


 みんな頑張ってる間に、お昼の時間が来る前にハンターギルドに行ってお弁当を貰ってきた。サイクスさん、おにぎり弁当とサンドイッチ弁当の二種類用意してくれたみたいです。どちらもボリューム満点。


 お昼になったので、桶に水を入れてお湯にしてから手を洗ってもらい。手を洗った者からお弁当を渡していく。水筒は持参して来ているので希望者に果汁水を入れてあげる。



「から揚げにゃ!」


「カツサンドだよ!」


「ナポリタンロールまである~♪」



 おにぎりは肉そぼろ混ぜだね。うーん、美味しいけど海苔が欲しい。もっと美味しく食べれるのにぃー。もう一つは、こないだ教えた醤油の焼きおにぎり、最高ですの一言。日本人に生まれて良かったーって感じ? 


 スミレも戻ってきてミーちゃんと一緒にご飯を食べてます。食べたらもう一度、走りに行くみたいだね。タフだねぇ。



「ぶるる」


「み~」



 昼食後は、スコーピオンローグとピルバグスイパーの解体は見習いくん達に任せて、中堅ハンターさん達にはロングテイルエイプとオークの解体をしてもらう。こちらはそれなりの技術が必要になる。オークを見た瞬間驚いてどこで狩ったか聞かれたけど、セリオンギルド長から口止めされてると誤魔化した。教えたところで、今は中堅ハンターでは四階層にたどり着くだけで大変だと思う。


 高級肉オーク肉は今回ハンターギルドに売る気は無い、どうせこれから転移門ができればオーク狩りが始まり出回るはず。それにあの商業ギルド長の傲慢な顔を思い出すとムッとしてしまい、高級肉オーク肉をハンターギルドに売れば結果的に商業ギルドに卸されるので売りたくないんだよね。えぇ、俺は狭量な男ですよ。でも、やだ。


 ミーちゃんも同じ考えみたいだね。



「み~!」



 見習いハンターくん達は高級肉オーク肉なんて見た事も食べた事もないので憧憬の眼差しを送っている。残念だけど、君達にはまだ早い、いろんな意味でね。精進あるのみだよ。


 全てが順調に終わりハンターギルドに戻り買い取りカウンターで清算をする。



高級肉オーク肉は売らないって!?」


「はい、売らないです」


「商業ギルドが熱望してるて話だよ」


「だから売らないのです」



 ヘンリーさんにこないだの商業ギルドでのやり取りを聞かせた。



「ハァ……あの人は貴族嫌いって有名だからねぇ。でも、公私混同は頂けないねぇ」


「でしょう!」


「み~!」


「一度は食べてみたかったなぁ」


「これから嫌でも市場しじょうに出回りますよ」


「だと良いんだけどね」



 実際にどの位この街の市場しじょうに出回るかはわからないけど、多少は出回るでしょう。なんぼなんでもねぇ?


 支払いをすべて終わらせると、エバさんが来てセリオンギルド長が呼んでいると呼びに来た。転移門設置の件だろう。



「ギルドの敷地内に設置してくれ」


「よろしいのですね?」


「み~?」


「ああ、その方が管理しやすい。馬鹿者が居ないとも限らんからな」



 香辛料とオーク狩りの事だろう。特にオーク狩りはハンターギルドで管理するそうだ。数が限られてるし一度狩るとすぐには復活しないので、その辺もハンターギルドで調べるみたい。


 セリオンギルド長の後に続き敷地内の一角に来た。後日、建物を建てる予定と言っている。エバさんと数人の職員さんに見つめられ、セリオンギルド長に指定された場所で転移門の紙に火をつける。


 また、体から力が抜けて倦怠感に襲われる。ブロッケン山の洞窟の時と同じように空中に魔法陣が浮き上がり固定された。



「私の知っている転移門と違うな」


「入っても大丈夫なのでしょうか?」



 美猫親子を抱っこしたエバさんが不信がってる。じゃあ行ってみますか、烈王さんの転移門だから人族が作った転移門に比べたら確実に信頼性は高いからね。俺が最初に行くのが順当だろう。



「み~」





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